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転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?  作者: 紙城境介
因果の魔王期:あの日の扉を開くために

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走馬燈


 ……いくつもの走馬燈を通り過ぎた。


 強さを求めて彷徨った7年。

 すべてが瓦解した学院崩壊事件。

 満ち足りていた、ほんの数年の教師生活……。


 涙が零れそうになる。

 あの頃は、ジャックも、フィルも、みんな楽しそうだった。

 明るい未来が待っていると、誰もが信じていた。


 悲しみが胸を突く。

 でも、その胸も、涙を零す目も、今のわたしにはないみたいだ。

 あるのは、歩くための足だけ。


 わたしは進む……。

 かつての幸せを、取り戻そうとするように。


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