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vs『双頭のオルトロス』

 「自己紹介しとくぜ、俺達は『双頭のオルトロス』。最強目指す最高バディよ。ちなみに……この『第二形態』を見て生き残った奴は今まで、たった1人しか居ねぇ」

「そして、その1人に俺達は殺された……」

「……馬鹿野郎! テメェ、それ言ったら俺達が弱ぇみてぇに思われるだろうがコラァ!」

「馬鹿野郎! あの『銀色目玉の白銀野郎』に殺された怨みを忘れねぇのが大事なんだろうが! 魔界で再生するまでの日々を思い出せコラァ!」


 ……僕達を他所に口喧嘩をし出す、オルトロスと名乗る人狼達……。な、なんだコイツらは……。

 い、いや惑わされてはいけない……。人語を話すモンスターは発見次第速やかに駆除しなければならない、危険な存在……高度な知能を持つモンスターが繁殖すれば、人類を滅ぼす存在になりかねないからだ。

 しかも……高い知能に加えて強力な能力(ステータス)を備えているとなれば……『特S級危険指定種』……国が持つ騎士団一個大隊が投入されるレベルの相手だ。


「サニー……! 気を引き締めていこう……!」

「う、うん……! さっきより小さいけど……さっきより強いと思う……!」


 オルトロス2体の大きさは2メートル強ほど……スピードは間違いなく大狼の時より上がってるだろう。その分、パワーは──


「パワーは落ちてるだろっ……と思ったら残念でしたぁ!」


 ドズッ!!


「ぐあっ……!?」


 貫手の如く放たれた爪が僕の腹部に直撃した……!

 い、いつ攻撃されたか一切わからなかった……?!彼らから目を離していなかったのに接近に気付かないなんて……!?しかも……このダメージ……!大狼の時よりも遥かに攻撃力が高いっ!


「オイオイ……なんで、俺の爪が術士のローブすら貫けねぇんだ……? 鋼鉄をバターみてぇに引き裂けるってのに……よっ!」


 オルトロスの蹴り上げが、顎にヒットして僕は天を仰ぐように浮き上がる……!


「それ以上、あっくんに手出しさせないからっ!!」


 サニーの行く手を遮る、もう1体のオルトロス。


「おっと! 嬢ちゃん……悪いがアンタの相手は俺だぁ」

「頼むぜ『俺』。この術士は潰さなきゃいけない予感がするんでなぁ……第一形態の時から、どうも妙なんだよコイツ……普通の術士じゃねぇ」

 

 顎を蹴られた衝撃で眩暈がする頭を、必死に働かせ巡らせる……!……このままだと魔法射程外に分断されてしまう……!その前に、【重装騎兵(ヘビィアサルト)】を『重ねがけ』する!……これで、僕達2人の攻防速能力は『約10倍』。更にまだ『不壊の鎧』効果時間内だ……!必ず、勝つ!


「とりゃぁぁっ!」


 サニーの斬撃がオルトロスの腕部と腹部を斬り裂く。


「ぐおっ!? マジかよっ! 急に動き良くなりやがった?!」


「うおぉぉっ!」


 僕も負けじと振り下ろした鍛練棒を叩きつける……が、しかし。


「おっと、危ねぇ。スピードとパワーは中々だが……それだけじゃ俺には当てれねーよ♪」


 渾身の叩きつけは、見事に(かわ)されてしまう。それどころか……。


「隙ありだぜっ!」


 ドズッ!!


「ぐふぁっ!」


 強烈なカウンターを返される……しかも、補助強化しても、まだダメージを受けてしまうのか……【不壊の鎧】を『重ねがけ』しておいた方が良いかもな……。と、再使用の為の印を結んでいたところへ──


「わかったぞ、お前……指で呪文を発動しているだろ」


 !? たった1回で見抜かれた!?


 オルトロスに印を結んでいた手を掴まれてしまった!

 そのまま僕は遠くの岩まで放り投げられ、叩きつけられる!


 ドゴッ!


「くそっ……完全に分断させられた……」


 この敵は……かなり〝ヤバい〟。……これは、バニング達と競争なんて言ってる場合じゃない……こんな高い知能を持つ強力なモンスターが農村区に侵攻すれば、あっという間に崩壊させられてしまう。


 何としてもコイツらは、ここで倒さなければならない。


 オルトロスは威圧したオーラを出しながらゆっくりと此方へ歩いてくる。


 ブシャッ!


 !? 突如、オルトロスの胸元に斬り傷が現れて血が吹き出す。


「オイオイ……『俺』。あんな嬢ちゃん相手に、何やってんだ」


 何故、急に怪我をしたのか不明だが……チャンスだ!


「うぉぉぉ!」


 僕は気合を入れて連撃を繰り出す……しかし、全て回避されてしまった。


「頑張るなぁ、兄ちゃん。ちなみに……『人狼』の特性で傷は自動回復するん──」


 プシッ!


 オルトロスが負っていた先程の傷は徐々に消えていくものの、また新たに刻まれる切り傷。


「ったく……『地獄の番犬』と呼ばれた『俺』が押されてんじゃねーよ……」


 オルトロスは、もう1体の自分に目線を送る。その先には、見事な剣技で斬撃を当てていくサニー。そして微かに聞こえた彼女の声。


「な、なんで斬った傷が、すぐ無くなるのー!? も、もー!!」


 わかったぞ!コイツら……恐らく『傷を互いで移動させる』事が出来るのだろう。つまり……。


「くらえっ! うおぉっ!」


「オイオイ、当たってねぇぞ」


 僕が目の前のオルトロスを追い込まないと、人狼特性により自然回復し……サニーの攻撃が全て無駄になっていく……!

 情け無い事に【棒術】のスキルがない為、全く攻撃が当たらない……技量を補助できる手段を持ち合わせてない自分が恨めしい……!


 だが、諦める訳にはいかない!考えろ……勝つ手段を……!


 残りの消費魔力は、まだ余裕がある……自壊覚悟でありったけの魔力を使い、僕を強化するか……いや、駄目だ。自壊してしまえば僕達の補助は切れて全滅……リスキー過ぎる。


 どうにかサニーに近づいて【全開放(フルバースト)】に賭ける……?こちらもリスキーな手段だ。サニーの身体が持たない状態になるまでにオルトロスを仕留め切れなければ、詰み……。


 残る手段は……『新たなる可能性』……!




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