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邪魔者との対峙

 その男に続いて、美女2人が入ってきた。男は美女2人の腰に手を回して両側に(はべ)らせる……イケメンが両手に花のハーレムパーティというやつか。


 男は僕達に目線を送り話しかけてきた。


「あ〜、君達かぁ……。話に聞いてた通り、この村にお似合いな貧相な2人組だなぁ。ま、礼は言っとこうかな……ご苦労さん、僕達の代わりに()()()()してくれて」


 タダ働き……?意味がわからない。この酒場の受付嬢がクスクスと笑っている……。僕は彼女を問い詰めた。


「受付嬢さん……! どういう事ですか?」


「あ〜ごめんなさ〜い。言ってなかったけどジェノバース農村区はカンパニー領主派である、このお方……バニング・エフリート様が管理しているの。だから貴方達に報奨金は出せませ〜ん。お疲れ様でした〜」


 嘲笑いながら真実を語る受付嬢。……カンパニーと農村区がパトロン契約にある事を言わずにクエストをやらせていたというのか……最低の受付嬢だ。いや、もっと最低なのは……。


「貴方達は、一体今まで何をしていたんだ?」


 バニングという男と、取り巻き2人組に僕は問いた。


「ん〜。ちょっとばかしバカンス? みたいな? だってさぁ、こんな汚い村、僕みたいな華やかな人間は長居できないでしょ」

「そーそー、戻ってきてやっただけでも感謝して欲しいわ」

「カジノで大勝ちしたバニング様素敵でしたぁ♡」


 バニングと、取り巻きの女性がふざけた答えを返してきた。……僕は煮えたぎる怒りを抑えるのに必死だった。


「……僕達が来た時には既に農村区は災禍寸前だった。 村の人達から契約料を貰ってるのに守る責任を果たさず、遊び呆けるなんて言語道断だ!」


「え。災禍? いやいや……こんな田舎に起きるわけ無いでしょ。嘘はやめてくれたまえ」

「この人、話大きくして恩を着せようとしてるのよ」

「サイテ〜」


 僕より先に我慢の限界が来たサニーが前に出ようとする。


「もうっ! あなた達っ! 言わせておけば……」


 僕は、手を出してサニーを軽く制止した。


「! あっくん……」


「いいんだ、サニー。言わせておけば良い……村の為に頑張った事実は変わらない。……アンタ達、どいてくれないか? これから異界の門(ゲート)を閉じに行くんだ。余計な消耗はしたくない」


 それを聞いて、まず最初に受付嬢がクスクスと笑い出した。


「プッ……『補助専の無能』が何イキがっちゃってんの」


「補助の無能……? プッ……ハハハッ! 思い出した! 君、見た事あると思ったら……そうか、ハハハッ!」


 僕の最低な異名を聞いたバニングは、大爆笑しだした。


「アライズ! そう、アライズだ! 僕ら『黄金世代』の面汚し、Eランク判定の出来損ないが異界の門(ゲート)を閉じに行く? ハーッハハッ! 君、『ホラ吹きの爆笑王』と名乗った方が良いよ!」


 ……どうやら、僕の事を知っているみたいだな……。『氷の女王』とやらと同じくコイツも養成所の同級生らしい……悪名は無名に勝るとは、この事だ。


「いい加減にして!! これ以上、あっくんを馬鹿にしたら許さないから!!」


 制止をする間もなく、サニーがバニングに詰め寄る。僕の為に、怒ってくれるなんて……。


「君さぁ……カワイイね」


「「はぁっ?!」」


 予想外の返答に、面を食らう僕とサニー。


「なるほど、無能君がモンスター退治できたのは君が強いからかぁ。納得したよ。……ふんふん、それに顔以外も中々……」


「違うよ! あっくんが凄いの! ……ちょっと! 聞いてる?!」


 話を無視しながらバニングは、品定めするような目付きでサニーの周囲を歩く。


「……君が頼み込んでくれるならこの僕、『炎帝の申し子』が異界の門(ゲート)を閉じに行くのを手伝ってやってもいいけど?」


「べーっ! 誰が、そんな事たの……きゃぁあっ!?」


「う〜ん、おっきくて柔らかいエッチなオシリだねぇ……」


 事もあろうか、バニングはサニーのお尻を突然、鷲掴みにした!


「オシリに負けずオッパイも中々……こっちも触……」


 バチィン!!


 サニーの強烈なビンタがバニングに炸裂。彼女は身体を隠す仕草をしながら後退し、叫んだ。


「最っ低!! エッチ! スケベ! 女の子を……そんな風に扱う人、大っキライ!!」


 ショックを受けたのかバニングは頬を抑えて、静止している。


「……こんな事されたの初めてだよ。イケメンは何しても許されるのに……君、おかしいんじゃないか?」


 おかしいのは、お前だ。もしかして、普段からこうなのか?完全に異常者だ。


「せっかく、バニング様が目をかけてくれそうだったのに……馬鹿ねぇ」

「お金も地位も顔も完璧なバニング様以上の男性は居ないのに……勿体な〜い」


 取り巻きの女性2人も、オカシイらしい。……環境が人を歪めてしまったのだろう。


「……ねぇ、アロア。ルージュ。僕の手を見てよ。オシリ触ったら、あの子……めっちゃ汗かいててさぁ……」


 バニングは取り巻き2人に自分の手を見せ始めた。


「うわ〜ホントだぁ」


「言わないでおこうと思ったんだけどさぁ……、この場所……汗臭いよねぇ。きっと、あの子の臭いだよ」


 それを聞いたサニーはショックで固まる……! こいつ、急に何を言い出す……?汗の臭いなんて一切しないのに。


「あ〜やだやだ。高貴な僕にクッサイ臭いが付いちゃう……誰か消臭魔法使ってくれよ」

「ホント臭いわ〜……嫌な臭いねぇ」

「2人とも、可哀想よ〜あの子泣いちゃう〜」


 サニーは何も言わず下を向き……目に涙を溜めていた……!


 ダァン!


 僕は気づいた時には、バニングの胸ぐらを掴んで壁まで叩きつけていた。



「適当な嘘で、人を傷つけるクソ野郎め。サニーに謝れ……今すぐ!!」


(あっくん……! あ、あんなに怖い顔して怒って……私の為に……そんな……)


「……何イキがってんの? 一瞬で消し炭になるから止めた方がいいと思うけど」


 余裕の表情で僕を見るバニング……やれるものならやってみろ。


(無能を一瞬で焼却しても面白くないなぁ……。もっと屈辱的な目に合わせたいよねぇ)


「……分かった、謝るよ」


 ! 意外にもバニングは素直に事を飲み込んだので、僕は手を離してしまった。


「……君達が、僕らより先に異界の門(ゲート)を閉じれれば、土下座して謝罪しよう」

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