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フィアー・ローエンド、終わり始める。

 ─王都ラシントン 酒場『せせらぎ亭』


 ザッカス達はラッシュから言われた雑務を全てスクエに丸投げし、酒を飲みながら高級な料理を食べ談笑していた。


「しかし、あの糸目のクソ雑魚ムカつくよなぁ。媚びしか売れねぇ癖にイキがってる感じがよ」

「それくらいの方が良いだろ。殴り甲斐があるしな」

「今までの奴隷で1番酷い目にしてやるぜ。あのゴミカスは、どうにもムカついてしょうがねぇ」


 ネチカルはスクロールを取り出してテーブルに広げた。


「オイ、見ろよコイツ。今、宿舎の部屋にいるぜ」


 罪人の印を付けられた者は、施行者から場所を特定されてしまう。ネチカルが出したスクロールにはマップが映し出され、スクエが居る場所は赤い点で表示されていた。


「今頃は泣きながら作業してるぜ、きっと!」

「ギャハハ! 間違いねぇ!」

「ああ。良い気味……だ……な……。うっ……」


 突如、リンタルは手で口を押さえ始めた。


「オイ、リンタル。どうした? ……うっ」

「ギャハハ……お前ら何……。ぐっ……」


 彼等に襲いかかったのは前触れもなく訪れた吐き気、頭痛、目眩、そして……腹痛。その全てが1秒を刻む後に強烈になっていく。


「う……ぐぁ……ヤベッ……!」


 そして彼等は、その場から動く事も出来ず……遂には……。


「オエェェェェッ!!!」


 まさに地獄絵図。公衆の面前で醜態を晒す。さらに今日の酒場は満員御礼……客は皆、恐怖で叫んだ。


「うわぁぁ! なんだコイツらっ! 急に吐きやがった最悪だ!」

「汚っったねぇ! 糞まで漏らしてやがる! くっせぇ!」

「キャァァ!! 早く誰か追い出して! 最低! 最低よ!」


 酒場はザッカス達による汚染が止まらず大混乱……とんだ惨事により、その日は営業終了せざる得ない事態となる。そして、この出来事は『せせらぎ亭最低最悪の事件』として瞬く間に広まっていくのだった。


♦︎


 ─翌日 カンパニー宿舎 ザッカス班部屋


 翌る日の朝、宿舎の班部屋にはザッカス達の姿は無くスクエ1人が熱心に掃除をしていた。


 そこへ扉を開けてラッシュがやって来た。


「よう! ん、別の部屋かと思うくらい綺麗になってんじゃねーか! 頑張ったな、スクエ!」


「ありがとうございます! ……あ、ボク1人でやったって何で知ってはるんすか?」


「昨日……奴等3人が酒場で、とんでもない失態を犯しやがってよ。つまり俺の言いつけを無視した挙句の出来事って事だ……。あのバカタレどもには呆れてモノも言えねぇ」


「……その噂はボクも聞きました。デオンズ商会の人が来てザッカスさん達は体調不良で、しばらく休むと言われたんです。……噂は事実やったみたいですね」


「もう、あいつらは駄目だ。俺が今日来たのは……スクエ、お前をクエストに連れて行く為なんだ。見込みがある奴を鍛えてやるのは先輩の責務だからよ」


「ホ、ホンマですか!? あ、ありがとうございます! あのラッシュ・スピンアウトさんに見込みある言われるなんて信じられませんわ……」


「こないだの戦闘しかり、この部屋の掃除まで(こな)す真面目さ……評価しない訳ねーよ。俺の後輩パーティに声かけてるから、そいつらと今からクエストに行くぞ。準備は良いか?」


「そりゃ勿論、いつでもいけまっせ! ……っ! ナハハ」


 ザッカス達から受けたリンチの傷が癒えてないスクエは痛みを堪えていた。


「ん? 大丈夫か? 無理はしなくて良いんだぜ」


「い、いやいや! 何言ってますの! 喜びすぎて身体おかしくなってしもたんですわ! さ、行きましょか!」


「……よし、わかった。着いて来い!」


 ラッシュはスクエの身に起こった事を、ある程度悟っていたが彼の気持ちを汲み、この時は敢えて何も言わなかった。だが、ラッシュはザッカス達に対し然るべき処置をしようと考えていた。


♦︎


 ─5日後 カンパニー宿舎 


 酒場での失態以降、吐き気目眩頭痛が取れずローエンド邸宅にて療養していた体調を取り戻しザッカスが宿舎へ戻ってきた。

 

(ったく……最悪の5日間だったぜ、変な物出した酒場の料理人は皆殺しにしてやる。とりあえずリンタル達と合流だ。アイツらも、酒場の出来事が広まらないよう『揉み消し』を全力でやったか確認してーしな)


 ザッカスがパーティ部屋の扉を開けると、そこに居たのはスクエ1人だった。


「……あ、おはようございます。ザッカスさん」


「チッ……。何でテメェしか居ねぇんだよ」


「そんな事、言われても知りませんわ」


「あ? なんだテメェ……? オイ、待て。部屋に荷物あり過ぎだろ。俺らの部屋なんだぞ、奴隷は主人が帰るまでに綺麗にしとくのが仕事だろうが! 殺すぞゴミカス!」


「ちょっと何言ってるか、わからないですね……。この荷物は5日間で集めた収集品ですわ。モンスターの素材とか収集品とか……。じゃ、これの整理整頓はアンタらの仕事なんで、よろしくお願いします」


「あぁ?! どういう意味だ?! トチ狂ったかテメェ?!」


「朝からトチ狂う程、ゴキゲンちゃいますよボク。ラッシュさんからの指示ですよ……アンタら3人は雑用から、やり直しやって事らしいですわ。まぁ、5日も休んだツケと思て頑張ってくださいや。あ、あと今日からボクがパーティリーダーなんで。ほな」


 ザッカスの横を平然と通り過ぎるスクエ。


「ゴミカスが調子乗んな!! テメェ、殺すぞ!?」


 ザッカスはスクエの胸ぐらを掴んだまま、壁まで叩きつける。が、スクエは顔色1つ変えず、口を開いた。


「くっさい手で触んなや。服が汚れるやろ、糞漏らし」

 



 

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