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お下がり愛用悪役令嬢  作者:


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36/40

露天風呂

 ぽちゃん

「ふぅ…」 

 部屋で告白をどうするか考えていたら、入浴が遅くなってしまった。


 別邸の温泉はかけ流しで、24時間入れるようになっている。

 父とトリスタンは夕食前に入浴する派、私は寝る前に入浴する派だ。

 ヤカに来て一週間、毎日温泉に入っているのでお肌の調子がいい。


 今日の午後、ヤカ近くの雪山で魔猿の群れの目撃情報があったと村長から父に連絡があった。魔猿は凶暴なので人里に下りてきたら危険だ。

 ヤカのような小さな村に冒険者ギルドはない。話を聞いたラフさんが討伐を請け負って、ギーさんとサンドラ、ココを連れて雪山に向かった。今夜は野営だ。

 ラフさんが強いのは知っているし、アイテムボックスがあるから雪山での対策もばっちりとは思うが、心配だ。ココも大丈夫だろうか。



 女湯の内湯から、戸を開けて露天風呂へ進む。

「え?」

「え?」

 湯船に浸かったラフさんと目が合った。


 ◇◇◇


「やってしまった…」


 ここは私の部屋だ。

(やばい、咄嗟に転移で逃げてしまった…!)

 完全に見られたよね⁉ いや、裸はタオルで見えてないけど…!

 どうしよう。心臓がバクバクしてうまく考えられない。

 あ、討伐無事終わったんだな。早。

 ま、まずは服を着よう。それから落ち着いて考えよう。時空魔法で水気を取って、下着、服。

 お父様まだ起きてるかな? ああ私のバカ…。とりあえずお父様に相談を、


 ドンドンドン!

「アディ! アディ!」

 ラフさんだ! 廊下にいる、どうしよう!

「アディ! いるか⁉」

 ああもう、見られてしまったものはしょうがない。

 観念してドアを開ける。


「アディ!」

 顔を見た途端、ラフさんに抱き込まれた。

「良かった、突然消えたから…!」

 ラフさん、髪濡れてる。

 え、ラフさんに抱き締められてる。い、痛い痛い。

「ラフさん、痛いです」

 ラフさんがはっとして腕の力を緩めた。

「ごめん」

 見上げると、すぐ近くにラフさんの緑の瞳がある。


「アディ…良かった、いてくれて」

 ラフさんは私の頬を撫で、また私を抱き込んだ。すっぽりラフさんに包まれて温かい。


 ラフさんが私の頭に頬をすり寄せ、「アディ」と名前を呼ぶ。

 そして、少しかがんで顔を傾けたラフさんの唇が私の唇に触れそうに


「…何事だ?」

 ひえっ、お父様! むちゃくちゃ怒ってらっしゃる!


 ◇◇◇


 ラフさんは父に私から引き剥がされ、ミノムシのように首から下を土で固められて廊下に転がされている。


「そのままそこでお待ちください」

「え、お父様」

 廊下にはいつの間にかガスパーさんが来ていた。微妙な顔だ。


 私の部屋に入りドアを閉めた父に、簡潔に事情を説明する。

「私が露天風呂に入ろうとしたら、殿下が先に入浴されていたのです。咄嗟に、殿下の前で転移を使って逃げてしまいました。私が目の前で消えたので、殿下は心配して私の部屋までいらしたのです」

「なるほど。殿下と話をする必要があるな」


 私がドアを開けると、廊下に転がったままのラフさんの髪をガスパーさんが拭いていた。急いで土ミノを消す。

「ラフさん、申し訳ありません。部屋でお話ししたいのですが、お時間を頂けますか?」

「わかった」

 私の部屋の居間に招き入れ、ラフさんの髪の水気を取った。


 ◇◇◇


「私の娘の裸を見たのですか?」

「申し訳ありません」 

「お父様、裸は見えてません」

 それに一番の問題は転移を見られたことで、裸を見られたかどうかじゃない。


 父は、私が時空属性持ちであること、父以外には秘密にしていること、このことは黙っていてほしいことをラフさんに告げる。


「わかりました。決して秘密を漏らさないと誓います」

 ラフさんが神妙な顔をして頷き、息を吐く。

「…姿が消えたのがアディの魔法とわかって安心しました。突然転移陣が発現したか、もしくは未知の呪いかと恐ろしかったので」


「…夜も更けました。討伐でお疲れでしょう。今夜はもう休みましょう」

 父が場を切り上げる。


「明日、私から公爵にお話ししたいことがあります。その前に、アデル嬢をお借りしたい」

「…わかりました」

「アディ、明日、朝食後に温室で待ってる」

 ラフさんはそう言って部屋を出た。



 寝室のベッドに横になる。

(…ラフさん、さっきキスしようとしたよね…?)


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