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お下がり愛用悪役令嬢  作者:


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夏季休暇

「あの、良かったらこれ召し上がってください!」

 今日も女子生徒から差し入れだ。そのパッケージは並ばないと買えないスイーツ!


「ありがとう」

 受け取っているのはオリビアだ。いつもお相伴でごちそうになっている。


 …私、男装の麗人のはずなんだけど。入学前は女子のファンクラブできちゃうかもなんて思ってたんだけど。

 フリフリドレス+縦ロールでも放たれるオリビアの宝塚オーラ。完敗だ。私どこにも需要がないな。


「オリビアお姉様、ルネ様は私達がシメておきましたわ!」

「まあ、皆様素晴らしいわ」

 同学年女子の集団に制裁を受ける攻略対象者ルネ。強く生きてほしい。



「アデル、夏季休暇は是非うちの領地に遊びに来て。四年に一度のゲラン競技会があるから。その…トリスタン様もお誘いするつもりなの」

 今更何を照れてるんだ。

「ありがとう。楽しみにしてる」


 トリスタンは…来るだろうか。

 例の乙女ゲーム本における夏季休暇のイベントは林間学校だった。自由参加だが、主人公と攻略対象者四人は参加していた。



 放課後は、公爵邸に帰宅してすぐに着替えてヒコミテの家に転移する。学院に通いだしてココと過ごす時間が短くなってしまった。


「ガゥッ」

 私の気配を察知するとココは走ってやってきて、ガバッと私の肩に太い前足を掛ける。

 知らない人が見たら人間を襲う虎だ。

「ココ、ただいまー」


 ココはもう普通の虎と同じくらいの大きさで、抱きつかれると重い。抱っこはできなくなった。サンドラはもっと大きかったので、まだ成長するだろう。

 白靴下だった足は今はピンク靴下。とっても可愛い。もちろん白も可愛かったし、赤も可愛いに違いない。

 添い寝してふかふかの胸毛に顔を埋めるのが幸せだ。


 スイちゃんは、相変わらず庭でじっとしている。好物の魔岩魚を池に放した時だけそばに来てくれる。


 赤ちゃんの頃のココはスイちゃんにじゃれに行ってはカタカタと威嚇され追い払われていた。スイちゃんはココの遊び相手にならず、ココはスイちゃんの餌にならないため、今は近付くこともトラブルもなく、ただお互い同じ庭にいるのが当たり前の存在って感じだ。



 和の食材は、テグペリ家が使っている商会に東の島国の商人から仕入れてもらうようになった。

 ヒコミテの家では自分で和食を作るし、公爵邸ではソースに醤油を使うなど和風メニューが増えた。


 わらび餅も作れるようになった。

 テグペリ領で採れるわらびの根から、試行錯誤してわらび粉が作れるようになり、父がサンジュ郊外に工場を造った。手間暇かけて僅かしか作れないので高級品だ。


 食べてほしい人は、もう私を思い出すこともないだろうけど。



 ◇◇◇


 夏季休暇をゲラン辺境伯領で過ごすため、オリビアと馬車に乗っている。オリビアは元気がない。


 トリスタンは林間学校ではなくオリビアの誘いを優先してくれた。一旦テグペリ領サンジュに戻った後で私達と合流する予定だった。

 しかし、林間学校にトリスタンが不参加なのを知ったマリーが、第二王子にトリスタンを誘うよう頼み、トリスタンは第二王子の誘いを断れず、結局乙女ゲーム本のイベントどおりになったのだ。


(マリー腹立つ~、第二王子を使うなんて)

 第二王子はバカなのか? なんで好きな女の子が他の男を侍らせるのに協力するんだ。

 

 ゲラン領は我が国の東の端なので移動に日数がかかる。トリスタンが林間学校の後で来るのは難しいだろう。

 転移で連れてくればすぐだが、兄とはいえ攻略対象者であるトリスタンに時空魔法を打ち明けるのは躊躇(ためら)われる。



 ゲラン領に入って宿場町まであと数時間という辺りで、馬車が急に止まった。

「何事?」

 オリビアが馬車の外の護衛に尋ねる。

「前方で魔狼の群れと男が戦っています。公爵令嬢の従魔が向かいました。…今、男が最後の一匹を仕留めたようです」


 ココは父に魔獣商から買ってもらったことにして一旦王都に連れてきて、この旅に同行させている。火を吹けるようになったので頼もしい戦力だ。


「珍しい。男も火魔虎を連れています。倒した魔狼は男がアイテムボックスに放り込んでいますので、すぐに通れるでしょう」


(火魔虎?)

 馬車の窓から顔を出して前方を見ると、ココが自分より一回り大きな火魔虎と激しくじゃれあっていた。

 オリビアが馬車から降り、私も後に続く。



 ──顔を横に向けたあの後ろ姿は。



「まあ、ラファエル殿下ではないですか」

 オリビアの声にその人が振り返った。


 ラファエル殿()()…?


 ヒゲがない。凄いイケメン。


「オリビア嬢。お久しぶりです」

 懐かしい声。


 その人がオリビアの後方にいる私を見て目を見開いた。

「…アディ⁉」


「ラフさん……」


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