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お下がり愛用悪役令嬢  作者:


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18/40

わさび

 春になれば、虎の生息地に連れていくつもりだった。

 少し別れが早くなっただけだ…。


 目が潤みそうになるのを我慢していると、ラフさんが湯気が出ているカップを私の前に出してくれた。


(…この香り、色)

「いただきます」

(緑茶だ!)


「君さえ良ければ、ココを引き取ってくれないか」

「え」

「元々乳離れしたら引き取り手を探すつもりだったんだ」

「いいんですか!」

 嬉しい!

「火魔虎は賢いし攻撃力が高い。いい相棒になるよ」

「ありがとうございます。おいくらですか?」

 高いはずだ。誕生日プレゼントを前倒ししてもらおう。

「お代はいらないよ。もう諦めていたんだし、ここまで育ててもらったんだから」

「でも」

「じゃあ、代金の代わりに採取に付き合ってくれる? この障壁はいいね。雑魚を気にしなくていい」



 ラフさんの目的地である森の奥の渓流まで、トンネル状の障壁を出しながら、サンドラ、ラフさん、私、ココの順で歩く。

 火魔虎を恐れてか、魔獣は全く寄ってこない。

 障壁、木の枝のガードにしか役に立ってない。



(この人背が高いな…)

 広い背中を見ながら歩く。

 30歳くらいだろうか。火魔虎をタダでくれるなんて、随分太っ腹だ。

 火魔虎は騎士団の幹部が連れててもおかしくない。軽装備だがかなりいい防具のようだし、それにあれはアイテムボックスだ。この階層にいるランクじゃない。


 

「この渓流にわさびが生えてるんだ。魔岩魚(いわな)も釣れる」

「わさび!」

「ほら、これだ」

 緑色! 本わさび⁉


 ラフさんが魔岩魚釣り、私がわさび採りをすることになった。一応それぞれにかまくら状の障壁を出す。ラフさんは魔獣除けの香を焚いてくれた。


 火魔虎達は狩りに行った。ココはサンドラから狩りを学ぶだろう。私では教えることができないから幸運だった。


 十分わさびを採った後、スイちゃんへのお土産にするため、ラフさんに魔岩魚釣りを教えてもらう。


「水魔ハシビロコウは見たことがない」

「庭に居着いてて。川に流されてるココを魚と間違えたんでしょうね」


 帽子の影でわからなかったけど、横に座って近くから見上げると、ラフさんの目は綺麗な緑色だ。

 鼻筋が通っていて、顔の下半分は黒いヒゲに覆われている。思ったより若いかもしれない。ヒゲを剃ったら美形な気がする。


「せっかくだからここで釣りたての魔岩魚を食べて行かないか? 俺が作るよ」

 時間はまだ大丈夫だ。お言葉に甘えよう。



 ラフさんは魔岩魚の塩焼きと、身を薄くスライスしたものを皿に出してくれた。


「これ…」

「生に抵抗あるなら無理して食べなくていいから。刺身っていうんだ。おろしたわさびをのせて、これにつけて食べる」

「醤油…!」

「よく知ってるね。このあたりでは流通してないのに」

「探してたんです! どこで買えますか?」

「この国では売ってないね。俺のを分けてあげるよ」

「ありがとうございます!」

 やった…! 和食に遠慮はしない。

「あの、ご迷惑でなければ、緑茶も分けていただくことはできませんか?」

「いいよ、たくさんあるから。好きなんだ?」

「はい! どこで作られてるんですか?」

「醤油も緑茶も、大陸の東の島国だよ」


 春の旅、行き先を虎生息地からその島に変更したい。転移で買い物に行けるようになりたい!


「そこに行くのは大変でしょうか?」

「鎖国してるから他国の人間は入れないよ。交易に出てる島の商人から買うしかない」

「そうですか…」

 がっかり。


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