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迷宮の王をめざして  作者: 健康な人
一章・鉄の王編
16/72

人間の町

この話からの主人公はとにかく逃げようという考えではなくなっていきます。



修正しました。  1/1

 意外なほど簡単に街に入ることができた。

 街の近くで商隊が襲われたということで警備の強化なり街に入るものを調べたりといったことがあるかと思ったがそのようなことはないようだ。


(これが人間の街か)


 一年もたっていないが久々に隠れることなく人間がいる場所を行動しているように感じるな。


『レクサスさんは今更正規品みたいな標準的なものは使わないよね?商人が地竜の卵を売るつもりだった盗品だのいわくつきの品だのがある店がある市場に行こうよ』


 確かに今更鉄の剣だ槍だと言ったものを渡されても役に立たないだろう。

 それならなにか面白そうなものを見たほうが楽しいか。

 ジズドの案内に従いジズドが行きたがっていた店に行くことにする。






 まず案内どおりに進んだ場所にあった市場がひどかった。


 若い商人や屈強な男を連れた子供、体の一部が欠けた老人やぼろぼろの防具を着た集団が思い思いの場所で好き勝手にものを売り買いしている。

 品物に文句を言うものは当然として露店を開いている場所にまで文句を言うのもまでいる。

 武器を抜いて帰り討ちにあえば殺された者からはいだ武具をや装飾品などを露店に並べ死体を水路に投げ込んでいる。

 水路がどうなっているかは見たくないものである。


 そして当然のように並べられた遺品を買っていくものがいる。

 この街はどうなっているのだろうか。



 ジズドに案内された店はいかにもという外観であった。


『ここだ。早く入ろう』


 ずいぶん興奮しているようである。

 とりあえず入ってみるか。


「いらっしゃい」


 会計の場所であろう入口付近にいる店員は初老の男だ。

 他にも何人かの店員が店の中にいる。


 面白いものを探しているわけだが会話ができないためどうしようもない。

 それを回避するために用意した紙を見せる。


 喉をけがしているため声が出せない。金はあるから面白いものを見せてほしい。


「…そおかい。ならついてきな」




 男の案内に従って進む。


 思ったより簡単に事が運んだな。


『ここは盗品だいわくつきだと言った品でも結構堂々と売ってますからね。金さえ払えば何でも手に入るのがここのいいところらしいですよ』


 面倒が少ないのはいいことだ。

 やばい場所だと思ったが金があれば意外に役に立つものなのかもしれない。



 案内された部屋には多くの武具や装飾品、魔具などが並べられておる。

 確かにどれもすごいのだろうが…


(普通の高級品に見えるな。ジズド級とまでは言わんがそれに近いものがあると思っていたから拍子抜けだな)


 その通りだ。

 どれもそこそこ珍しいのは間違いないがジズドと比べると見劣りしてしまい買う気にはなれない。


『地竜の卵を売るつもりだったにしては普通の品揃えですね』


 ジズドも興奮が収まってしまったようだ。


 これだけしかないのか?


 紙にそう書き店員に見せる。


「これだけしか見せられないね。これ以上を見たいなら誰かの紹介でも持ってくるか信用できるぐらいの金を積むかするんだな。一応言っとくがこれを教える俺はかなり親切なんだぜ?」


 誰かの紹介などある訳がない。

 なら金か。

 小さな金貨袋を一つ手渡す。

 小さいと言っても二、三十枚は入っているのでおそらく問題ないだろう。


「…驚いたな。これだけの量をポンと出しちまうのかよ。いいぜついてきな」


 金貨袋を持ち再び別の部屋に向かう店員の後をついていく。




 案内された部屋の前で少し待つように言われる。


「ロウさん今日取引があるなんて聞いてないんですが?」


「確かにそうだったがこの量の金貨をポンと出しやがった。久々に上客だ」


「三十枚ぐらいありますよこれ!?どこのぼんぼん捕まえてきたんですか!?」


「とにかく入れるぞ。お前は他の連中に商品を持ってくるように伝えてこい」


 わざと聞こえるように話しているのだろうがずいぶん露骨に恩を売ってくるな。

 まあ今暴れても何も手に入らないということを言いたいのだろう。


「待たせたな。入ってくれ」



 さて今度こそ面白いものがあればいいが。


 中に入った時にまず目についたのは巨大な剣だった。

 とにかく大きく成人男性の背丈さえ越えるほどである。

 その剣と一緒に使うために作られたであろう大きな盾もある。

 こんな大きさじゃ誰も持てないだろう。

 それとも最初から人間が使うようには作られていないのか。


 ほかにも神殿のものという薬や王宮が管理している場所にしか咲かないと言われている花、竜を殺した討伐者が使っていた剣、見たものを石にするという石化能力を持つ大蛇の目など様々なものを紹介された。

 アリエルの鑑定眼によるとこの剣は地竜を切りつけたとしても歯こぼれしないほどに頑丈らしい。石化能力を持つ蛇は聞いたはあるが見たことはないらしい。面白そうなので剣と大蛇の目を買うことにした。


「まいど。ここの品は安くないからほとんどの客は買っても一つなんだがね。まあ金払いのいい客なんでこっちとしてはありがたいわけだがな」


 しかしこの店員はずいぶんおしゃべりなやつだ。

 よくこんな店で働けるものだ。


「ロウさん今持ってこれる商品はこれだけでした」


 先ほどこの店員と話していたであろう店員が立派な腕部分の鎧を持ってきた。

 全体的に大きい印象を感じさせる作りになっており手の部分は攻撃を防ぐというよりは殴ることによる攻撃を狙ったような形状になっている。


「いいもんだろ?あんた武器は持ってないみたいだから格闘戦が主なのかと思ってな」


『すごいね。見たことない鉱石だ。両腕とも作りがしっかりしてるし買いだと思うよ』


 たしかにすごそうなものだが左腕に巻きついてるアリエルはどこに行けばいいんだ?


(私が巻きつくのに邪魔にならない形に形状変化させればいいだろう)


 そういえばそんな魔法が使えたな。

 完全に忘れていた。


 ならこれも買いでいいな。


 店員に代金を払う。

 三つしか買っていないがなかなかの出費になってしまった。


「しかしあんたほんとに金払いがいいな。今日は取引の予定が入ってなかったからこれぐらいしかなかったが、明日の昼ごろからならまた面白いもんが増えてるからいつでもきな」


 こちらとしても珍しいものを手に入れる機会というのが意外なほどにないものなのでまた来るとしよう。


 次は討伐者と探索者のギルドに行って魔獣や魔物がどのような場所に住んでいるかが書かれている書物を買うとするか。

 以前は高すぎて手が出なかったが今なら問題なく払えるからな。







 探索者ギルドで聞いたがそういったものは討伐者ギルドに詳しく書かれたものが売っていると言われた。

 討伐者ギルドに行って聞いてみたが同じことを言われてしまった。


 おそらく部外者にそういった情報を渡したくないのだろう。

 とりあえず金で解決してやろうとしたところに責任者らしき男が現れてそういうのは無理だと言われた。

 魔獣や魔物の少ない場所を通って軍を動かされるといろいろと面倒なことになるからだろうが俺はそんなことに使うつもりはないのだがな。


 まあこちらとしても絶対に必要なものでもないので諦めるとするか。


 とりあえず巨神の足跡の場所のことは聞いておいた。






 それとせっかくなのでこの街の迷宮に行き迷宮核をいただいておくか。


 迷宮に入ろうとしたら証明書を見せろと言われた。

 そんなもの持っていない。

 街に入る時は適当だったくせに迷宮に入るのは面倒なのか。

 やはり金になるからだろうか?


 こんな昼間から面倒を起こしてしまえばすぐに問題になってしまうだろう。

 夜まで待って勝手に入らせてもらうことにするか。

 そうなるとどこかで時間を潰さなければならない。

 これだけ金があれば人間のころなら女のところにでも行くんだがな。


『行くところがないならまた朝行った市場に行ってみないか?行きたかった店には行けたけど他の店に意外な掘り出し物があるかもしれないし』


 まあそれくらいしかやることはないか。

 とりあえず行ってみるとしよう。




 そうして市場に戻り掘り出し物がないか探してみる。


 雰囲気は怪しいが売っているものは意外なほど普通だった。

 まあここに置いてある武具が朝見たような追剥のものや盗品であるという可能性は高いのだろうが。

 そんな時若い商人が売っている首飾りが目に留まる。

 特に何かの力を感じるわけではないが見た目がなかなかにいい。

 せっかくなので買うことにするか。


 これをくれないか?


「しゃべれないのか?金はあるんだろうな?」


 金貨を一枚渡す。


「わりぃが金貨なんか渡されても釣りが渡せないよ。金貨しか持ってないならあきらめてくれ」


 むう。高いものを買える代わりに安いものが買えなくなるとは。


「おいおいどんなボンボンだよ。俺が両替してやろうか?」


 どう見てもそのまま金を持ち逃げしそうな男に声をかけられる。

 別にいいという意志を伝えるため首を横に振る。


「俺が親切で声かけてやったのにそういう反応返されるとはねぇ。俺は悲しいぜ。せめて声に出して断って訓ねえか?」


 こいつ。

 さっきのやり取りを見ていたのなら俺が話せないことを知ってるだろうが。

 最初からおれをやるつもりで声を掛けやがったな。

 これなら金を渡しても声を出せないのをいいことに適当な金額を渡してとぼけるつもりだったのだろう。


「なんだ?やるつもりかよ」


 何も言ってないというのに剣を抜く。

 だがせっかく向こうから喧嘩を吹っ掛けてくれたんだ。

 こいつの武具を売ってその金で首飾りを買うとしよう。


 まだなにか言おうとしていたがそれを無視して頭蓋を砕く。

 

 何の反応もしなかったので大したことない相手だったのだろう。

 朝見たように武具などを奪い死体を水路に捨てに行く。


 先ほどの首飾りを売っていた男に奪ったばかりの武具などを売りその金で首飾りを買った。


 その後も適当に店を回ったが特に収穫はなかった。



 だいぶ暗くなってきたな。


 そろそろ街の迷宮に向かうとしよう。



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