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迷宮の王をめざして  作者: 健康な人
一章・鉄の王編
14/72

地竜の顎

竜の中の強さは 竜>亜竜>飛竜種 です。

地竜は皮膚が岩のようになった大きいトカゲ。

飛竜種は前足の部分が翼になった大きいトカゲ。

竜はそれぞれに特徴があるため一概にこういうものという定義はない。

飛ぶときはファンタジーな力で飛びます。

こんな感じで見てください。



誤字修正しました。  1/1

 死者の都から出てから行こうと思っていた場所がある。

 ジズドの話にでた地竜の顎という場所である。

 ジズドの話ではそこから地竜の卵をとったことであの街が滅んだらしいがそんなことどうでもいい。ついにアリエルの力を使っても大丈夫そうな強さを持ったやつが現れた。アリエルに出会ってからかなりの時間がたったのだから力はだいぶ回復しているだろうからアリエルに倒してもらってそれを俺が食う。最高だ。絶対にうまいだろうな。なにせ竜である。


 地竜を食おう。


(突然だな。まあ地竜くらいならたぶんなんとかなるのではないか?)


 なぜたぶんとか言っているんだ。

 自分の力のことぐらいわかるだろうが。


『それは地竜の顎に行くということでしょうか?』


 そういうことになるな。地竜の顎以外に近場に竜なんかいないだろう。


『ないですね…ただ地竜の顎なんて言われてますがあそこはすごく大きな渓谷と洞窟の集合地帯みたいなものですよ?地竜がいるのは洞窟や渓谷の底ですから探すと言ってもそう簡単には見つかりませんよ。それと渓谷の上層部は飛竜種の棲みかになってなす。地竜も飛竜種も火山竜ほど強くないですが危険には変わりないですよ?』


 まあ水竜のアリエルに比べたら所詮は空を飛べない亜竜と飛竜種なんて言われてるがただの飛びトカゲじゃないか。火山竜はどうなるかわからないから逃げたほうがいい気がするがアリエルは逃げてくれるだろうか。


 そういえばアリエルも空を飛べないから亜竜なのか?それとも飛ぶくらいの力は回復したのだろうか?


(やつらはいくら強くなっても飛べないから亜竜なのだ。飛ぶ力は回復しているがどうせお前と行動するのだから無駄な力は使いたくないのでな)


 飛んでくれると無頂の山の方向がわかるんだがな。

 まあすぐに目的の場所についてしまっては面白くないからな。


 ジズドの記憶にある商人の使った道なら地竜の住んでる場所まで行けるだろ。


『商人たちがほとんど覚えてないんだ。それくらい入り組んでいたってことなんだ。飛竜種の襲撃を気にしなくてもいいようにずっと洞窟の中を移動していたというのもあるしな』


 まあ地竜の顎まで行けばいつものようにふらついていればなんとかなるだろ。


 今回は転移の宝珠があるから危なくなったら逃げればいいということで気持ち的にかなり楽だしな。

 死霊兵を呼び出せば逃げる時間ぐらいなんとでもなりそうだしな。

 この森で食えるやつらもうまかったが竜はもっとうまいだろうから早く食ってみたいものだ。












 地竜の顎までの道はジズドが覚えていたので意外に早く着いた。


 ここが地竜の顎か。

 まさに大地の裂け目って見た目だ。

 

『とにかく洞窟を見つけてくれ。そこに入って下に向かうように進んでいけばいいはずだ』


 本当に適当だな。

 ジズドを着てからはジズドの知識に頼って楽できたからこういった適当さが懐かしく感じてしまう。


 まあこういう何も分からない場所をうろつくというのは楽しいわけだが。


(そうだな。やはり未知というのは心躍るものがある)


 俺はアリエルがいてジズドを着てるから強気に出れるが普通はこんな場所をうろつこうと思わないだろう。

 とにかく洞窟を探すとするか。




 洞窟を見つけて中に入ったわけだがすごいとしか言えなかった。

 竜が通るためのものだから大きいだろうとは思っていたが思っていたものよりでかい。


 火山竜はこんなに大きくなるものなのか。


『死者の都の壁を見ただろう?あれだって火山竜と地竜にあけられた穴だよ。体当たりで壁に大穴をあけるようなやつが小さいわけないだろう』


 そう言われると納得できる。


 まあ通りやすいからいいとするか。




 洞窟を進むが本当に分かりにくい。基本的に下に向かい伸びているが穴が多く崩れている場所や渓谷つまりは崖に出る道が意外なほど多い。飛べないのに崖に向かって穴を掘るなんて何を考えているのか。火山竜は飛べるからそのための道であろうか?


 そんなとき迷宮核が振動する。


(迷宮になっていたか。まあ火山竜が住み地竜、飛竜種がいるのだから不思議ではないが)


『ということはここにも迷宮核があるってことですか?』


(だろうな。しかもここの迷宮核は火山竜と地竜の力で育ったものだろうから大きさか密度かなのか分からんがかなりのものなのは間違いない。おそらくだが火山竜の近くにあるから取るのは苦労するだろうが)


 なら無視してしまえばいいのじゃないか。危険に首を突っ込んでまで迷宮核がほしいわけじゃないからな。ここに来たのは地竜を食うためだし。


『アリエルさんの話を聞いて思いついたんですが地竜の卵を奪ったら火山竜が出てきたわけですしまた地竜の卵を奪えばいいんじゃないですか?地竜が火山竜のところに行くでしょうからそれをつけていけば火山竜と迷宮核の場所がわかると思うんですが』


 ジズドは俺が火山竜に手を出したくないのが分からないのか?


(なるほど。それで寝ているときにでも核を奪ってしまえばいいわけだな)


 こいつらはわかっていないようだ。


 核なんかほっとけ。それよりも地竜を探すぞ。


(だがせっかくの機会だぞ?火山竜などそうそう会うことなどないのだぞ?)


 そんなことを言われてもな。


 アリエルが絶対勝てるならそれでもいいのだが…


(…その倒すための力を取り戻すために迷宮核がほしいのだ)


 ほう。


(確かに今の私では火山竜に勝つのは難しい。だがやつと地竜の魔力がこもった迷宮核があれば勝てる。お前も火山竜を食ってみたくないか?)


 食ってみたい。


 だが迷宮核をとるために勝てるかどうかわからん相手に関わるのは危険が大きすぎる。

 やはり今回は無視するべきだろう。


『なら地竜の卵を死霊兵にもたせて逃げさせたらどうですか?すぐやられるでしょうけど火山竜が戻ってくるまでに核を奪って逃げればそれでいいわけですし』


 ジズドは天才ではなかろうか。


(それがいい!場所さえ分かればすぐに見つけられる)


 まあなんにしても奥か。

 地竜がいる場所まで進むか。






 地竜を見つけるのにかなりの時間がかかった。


 だが見つけた。

 二体か。

 とりあえずやってもらうか。


 アリエルやってくれ。


(お前が倒すのではないのか?)


 俺じゃ倒せないだろう。


(最初から私に任せるつもりだったのか?まずはお前がやってみろ。無理そうなら私がやってやろう)


 アリエルのやつ…最初のころは水弾で援護してくれていたのに最近はほんとに何もしてないな。

 危なくなったら助けてくれるらしいが。


 まあやるしかないか。



 この暗い洞窟で生きているのだから当然暗闇を見ることができるだろう。

 奇襲は難しいな。

 だからといって正面から行くのは嫌だ。


 ふむ。


 洞窟だし地竜の足元の岩を食えば落とし穴のようになって身動きがとれなくなるかもしれんな。

 その間に食う。

 これでいくか。



 できるだけ音をたてないように、視界に映らないように地を蹴る。

 当然すぐに気付かれるが多少距離を詰めることはできた。

 迎撃を選んだようで体をこちらに向けながら攻撃の瞬間にむけて力をためているように見える。

 地竜の攻撃範囲に入ると飛ぶことがないため翼の代わりに発達した剛腕が振るわれる。

 あたれば岩でも砕くだろうが俺は火山竜のブレスを受けても壊れなかったジズドを着ているしそもそも俺自身が岩などより硬い。避けることができないほどに腕が近づいてようやく攻撃されたことに気付くがこれぐらいの攻撃なら問題ないと確信できる。地竜の攻撃に合わせて自分の足元から周りの岩を食う。


 何かが砕ける音とともに走りこんだのとほぼ同じ速度で吹き飛ばされる。

 避けることはできなかったがやはりというべきか何ともない。

 地竜のほうを見ると俺を殴った腕以外の手足が地面に埋まっている。

 足元は崩れてくれたがこの程度ならすぐに追撃に移れそうなものだが、そう思ったがもがくだけで出てこないな。


『へえ、地面を脆くするのと同時に怨霊を脆くした地面に流し込んだのか。あれなら地竜といえしばらくは動けないな』


 そんなことをしたつもりはないのだが。

 やはり死者の都で竜牙兵の相手をしたときに感じたように力が上がっているのだろうか?

 …実は俺じゃなくていつの間にか手伝いをしてくれるようになった怨霊の力だというのは今知ったが細かいことはいいだろう。


 動けないようだし食うか。


 近づいて食おうとするがなかなか食えない。

 たとえるなら硬いものを噛んでいるような感じか。

 そういえばまともに攻撃されたのは最初の洞窟であった討伐者以来だったな。


 そんなことを考えていると突然食えた。

 硬かったものを噛んで食えるようになったということか?


 うまいがすごくうまいというわけではないな。


(私はすごくうまかったぞ?)


 アリエルはうまかったらしい。

 竜と悪霊では味覚が違うのだろうか?


 もう一体も食うがやはり同じような味だ。


(本当にうまいな。もっと探すぞ)


 こいつも一応竜なのだが同じ竜として何とも思わないのか?


(思わんな。私が生きていたころから敗者は勝者の言うことを聞かないといけないという決まりがあった。そしてこいつは敗者だ。ならば、今までこいつが食っていたもの同様自分だけ食わないでくれというのは通用しないだろう)


 意外に厳しいんだな。


(どの種族もそんなものだろう)


 そうなのか。

 まあ人間も意味は違うが弱者は食いものにされるだけだから生き物なんてそんなものなのかもしれないな。


 地竜の死体を見てふと思うが竜牙兵を竜の素材で作ったらすごく強くなるらしいがこの死体を使って死霊兵を作ればどうなるんだ?


『試してみる?』


 やってみよう。


 ジズドに死霊兵作成の陣を作ってもらう。

 怨霊はこの死体の元の持ち主のものがまだ近くにいるらしいのでそれを使うことにした。


 そうするとただの骨が動き出す。

 どうやら成功のようだ。


 残りの一体も死霊兵にし纏めて死者の都に送る。

 その時筆頭死霊兵に従うように言っておく。


 危険な相手なのにアリエルしかうまいと言ってなかったから気が乗らなかったがこうして死霊兵にしておけば後で役に立つな。





 その後も同じ方法で数体仕留めたが卵を見つけることは出来なかった。

 一発で卵を見つけた商人はよほど運が良かったらしい。


 卵を求めてさらに共振を頼りに下に向かう。


 するとでかい竜を見つけてしまった。

 岩の丘のような見た目である。


『火山竜だ。間違いないよ』


(そのようだな。だがこいつ眠ってるぞ)


 わかるものなのか?


(火山竜は活動するときは例外なく体が高熱になるからな。地に立つために必要な足や手はまだましだが体は熱が鎧の役割を果たすほどだ)


 つまり起きてたら近づけないってことか。


 土人族の王はそんなの相手によく挑もうと思ったな。

 それともそんな相手にでも守るもののために向かっていくものこそが王なのか。


(まあ私なら勝てるがな。全盛期の力を取り戻せば火山竜など氷漬けにできるぞ)


 話が大きすぎて訳がわからん。


(とにかく今は安全だ。迷宮核を見つけ出してここを離れるとしようではないか)


 まあ寝ているのならそれがいいだろう。


 でも核がどこにあるか分からないんじゃないのか?


(おそらくやつの腹の下だ)


 取れないじゃないか。


 というか腹の下が振動してたらさすがに起きないか?


『この部屋にはないと考えられないんですか?』


(自分が棲んでいる場所の迷宮核だぞ。取られると迷宮ではなく魔力の濃い洞窟になってしまうのに目の届かない場所になど置いておくものか)


 そういえばそんなこと言ってたな。


 というか力の弱ったアリエルじゃないんだからここが迷宮かどうかなんて気にしてないんじゃないのか?昔アリエルが住んでた場所だって迷宮じゃなかったんだろ?


(…その通りではあるのだが…言いたいことはあるが、確かにもともと迷宮かどうかなど気にしたことはなかったな)


 ならこいつが寝ている間に奥を探してくるか。





 共振を頼りに奥に進んでいるわけだが今までが嘘のように一本道である。

 進むにつれて共振が強くなっている。

 この近くなのだろうか?


『あそこじゃないですか?』


 それは巨大な骨の中で振動する大きな玉だった。


(竜玉か。なるほど)


 一人で納得してないで俺にも教えろ。


(竜の棲んでいる場所というのは竜が周りの魔力を吸い上げるから基本的に迷宮にはならない。だが例外がある。それは棲んでいる竜が迷宮にやってくるものや迷宮で生まれる魔力を含んだ鉱石や植物を手下の餌にするために迷宮を作ろうとした時。

 もうひとつは竜が体内に持つ竜玉と呼ばれるものが近くにある時だ。竜玉は何の役に立つのかわからんものだから基本的に竜の死体とともに放置されるか戦利品として持っていくのだがその竜玉が魔力を吸えば迷宮核になる時がある。

 だが基本的にそれはない。竜同士が戦えば負けた竜は竜玉を含めて無事ではすまない。だから戦いの後に奇跡的に無事だった竜玉が放置されるか、寿命で死んだ竜の竜玉くらいしか見ることはない。寿命で死んでいたのならあの火山竜が見つけていただろうからやつに負けた竜のものだろう。

 そんな理由があったからやつが自分で作った迷宮核だと思ったのだがこれは本当に珍しいぞ?)


 つまりすごく珍しいがいつの間にか迷宮核ができてましたってことか。

 ならその幸運に感謝して貰って行こうじゃないか。


 これがあればアリエルがあの火山竜を倒せるらしい。火山竜はどんな味なんだろうな。


(…竜玉が迷宮核になったものは竜が作った迷宮核と違って竜の魔力は自然に集まる程度しか入っていない。多少力は戻るが火山竜を倒すほどの力は戻らない)


 まあもともと地竜を食いに来たわけだし火山竜は食えたらいいなぐらいの気持ちだったから無理なら無理でいいわけだがな。


 ならば迷宮核を持っていこうと思ったのだが迷宮核は俺の胴体とほぼ同じ大きさである。

 自分で持っていくことはできないがこんなときこそ死霊兵の出番だ。


 五体ほど死霊兵と筆頭君を呼びこの迷宮核を城の一番上の部屋の中に入れるよう伝え、ここにある骨を死者の都に送るので死霊兵にしておくように言っておく。

 ここで死霊兵にしてしまうと火山竜を起こしてしまうかもしてないからな。


 役に立ちそうなものはすべて送ったのでさっさとここを離れるとするか。


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