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真夜中の湖
92.真夜中の湖
ある日の真夜中に友人と湖にドライブに出掛けた。
そこの湖には赤い大きな橋がかかっていて、霊が出ると噂になっていたので、肝試しも兼ねて車を降りて橋を歩いていたのです。
五十メートル程ある橋の中腹から、下の湖を覗き混んでみると、暗闇の中で一隻のボートがたゆたっている。
こんな時間におかしいな、と思って友人を呼んでそれを眺めていると、友人がこう言うのです。
「人乗ってない?」
目を凝らしてみると確かにボートの上には黒い影が立ち上がって、長い棒の様なので湖を探っているのです。
こんな真夜中に、どうして人が一人でボートに乗っているというのでしょう。灯りも点けずに。
恐ろしくなった僕らは早々にその場を立ち去った。
そんな真夜中の湖での事を忘れかけた一週間後。テレビのニュース番組でその湖が話題になっていた。
『◯◯容疑者は、切断した遺体を湖に遺棄したとして――』
あの時見た真夜中のボートの男は、長い棒で何かを探っていたのではなく、何かを沈めていたんだ、と気付くと同時に全身に鳥肌がたって竦み上がった。




