ネットの友人
65.ネットの友人
オンラインゲームで知り合った友人の話しです。
彼は私よりも十個も年下なのですが、ゲーム内で仲良くなって、毎日通話しながらオンラインゲームをしていました。
その日も遅くまでゲームをしていると、彼がこんな事を話し出しました。
「もうすぐ二時だから戸締まりしてくるねー」
時刻は夜中の一時半。どういう事か聞いてみると彼は淡々と語りだしました。
「あー、なんかうち二時になると絶対ポルターガイストっていうか、窓をガタガタ揺らされたり戸棚を動かしたりされるから戸締まりしとかないと色々大変なんだよねー。正直慣れちゃって怖いとかはないけどね」
心霊関係の話しに興味があった私は、面白がって彼に事情を聞いてみました。
「んー。まぁ長くなるけどさ。ツレ何人かと心霊スポットに行った事があったの。そこはトンネルだったんだけど、二人一組で入ってく事になって、そしたら最初に入ってった奴らが血相変えて走って戻って来たんだ。何事か聞いたんだけどそいつらは慌てて、いいから、いいから早く出して! って言うんだよ。そんでそのトンネルから逃げるように帰って来たんだ」
「その二人は何を見たの?」
「人の群れみたいな声を聞いたらしい。俺らには聞こえなかったけど相当大きかったらしいよ。……うん、それで地元まで帰って来てガソリンスタンドで車から降りたらさ、なんかベターなんだけど、車の後ろの窓ガラスにいっぱい手形が付いてたんだよね、本当に沢山色んな形の」
「うん……それで?」
「うん、行っちゃいけない所に行ったのかなって話して……でも別にそれからどうって事は無かったんだけどさ。でもそれからなんだよ、うちで二時になるとポルターガイストが起こり始めたの」
「憑いて来たのかな?」
「そうそう、他の奴らは何ともないらしいよ。なんで見てもない俺かなって感じなんだけど、とにかくそういう現象が起こり始めたんだ。それで、あんまりにも連日そんなんだから、ある時親父に話してみたんだ。でも、親父は心霊とか信じなくって、何を馬鹿なこと言っとるって笑ってたよ
でもさ、うちの一階に物置になってる部屋があるんだけど、そこに親父が荷物を取りに行った事があった。しばらく開けてない立て付けの悪い扉を開けたら、天井から長い髪の女が逆さになって目の前に落ちてきたんだって」
「それ、本当なの? かなりヤバくない?」
「そそ。それで流石に親父も信じたらしいの。母親と姉ちゃんは何故だかなーんにも見えないんだけど、俺と親父にはチラホラそういう不可解な現象が起こり始めた。だから、ある日俺は親父に勧められてお祓いに行くことになったんだ」
「うん、それがいいよ」
「かなり有名な所に行ったんだよ。うん○○神社。そしたらさ、神主さんが俺を見るなり凄い形相で肩を掴んで来てさ
あんた何処に行ってきた? なんや人間かようわからんのも入れて百体弱憑いてるぞ
って言うの。人間かようわからんのって何だと思ったけど、まぁ聞かなかった」
「百体!? 一回行っただけなのに?」
「憑かれやすいんだってさ。……それで、神主さんにお祓いしてもらったんだけど、どうしたって祓えないのが居たらしいんだよ」
「え、じゃあ今も?」
「うん、居るんじゃない? ハハハ。三人って言われたよ。それだけはどうしても祓えないんだって、念が強くて。それがどれも女らしくてさ、いやー、やっぱり女のが怨みって強いんだな」
「笑ってる場合じゃないでしょ?」
「でも祓えないんだからしょうがないもんな。でさ、うちの母親と姉ちゃんには何も起こらなくて、俺と親父にはそれからもチラホラ心霊現象みたいなのが起こる訳。だから、男に怨みのある霊なのかなって親父と話したよ」
「……それで大丈夫なの? それって……」
「あぁー、神主さんは定期的にうちに来いって言ってたよ。でも遠いからさ、あんまり行けてないわ……あ、もう二時になる! 早く戸締まりしてこないと!」
「う……うん、いってらっしゃい」
「おー」
その数秒後、耳をつんざく様な、大きな物が床に倒れこんだ音がした。
「え!? 何かあった? 大丈夫?」
「……」
以来彼とは連絡が取れない。




