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コイン磨きの聖女様 牧師の娘とウリエルが歩む異世界  作者: 聖魔鶏カルテペンギン
第1章 オクジェイト大森林 探索編
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037枚目 石碑前での戦闘 その1

 琴花はエルに言われた通り、石碑を確認していく。



 特に変わったことはない。

 しいていうならば長年雨風に晒されているせいか、所々彫ってある文字が読みにくくなっていることと、苔が生えているくらいであろうか。



「うーん。ていうか、あたしが見ても分からないよ。元がどうなっていたか知らないし」

 小さい石碑の周りを歩き回り、琴花は無事に石碑の確認を行った。これでミッションコンプリートである。



「まぁー、大昔の文献だと石碑が光っていたとか、武器が刺さっていたとか《だって人間だもの》と落書きをされていたとか、そういうのがあったらしいわよ」

 ウリエルの石碑なのに、結構酷い目に遭わされている。だからこその石碑の見守りなのだろう。もしかしてウリエルはそんなに信仰されていないのではなかろうかと琴花は疑問に思ったが、言わないことにした。


「ウリエルはどう?」

【うむ、パッと見た感じじゃと……まぁー大丈夫じゃろうな。……たぶん】

 いまいちはっきりとしないが、女神様が大丈夫だと言っているので琴花は気にしないことにした。


「さぁー帰りましょう。あ、ナヴァナは少し距離をあけてね」

「はいはい。ったくうるせぇな」

 ボサ髪男のナヴァナはガリガリと頭を掻いた。悪態をついてはいるが、とりあえずエルの言う事には従うようだ。

 こうして一行は無事に石碑の見守りを終えて帰路へ着くのであ……。








「ガハァッ」

 突如響き渡る声。それと同時に響く嫌な音。

 琴花達は音のしたほうへ視線を向ける。

 声の主はナヴァナ。嫌な音はどこかの骨が折れる音。そしてドサっと倒れたナヴァナの近くには漆黒のフード付きマントを纏った何者かがそこにいた。左手に槍を持っている。

 漆黒の者は槍の石突と呼ばれる部位でナヴァナを不意打ちにしたようだ。これがもし刃ならばナヴァナは死んでいたであろう。



「ナヴァナッ!」

 倒れるナヴァナ。そこに追い討ちをかけるように漆黒の者が持っている槍の刃を下へ向ける。エルは駆け出しながらナイフを数本投げる。

 黒い者は複数のナイフを避けるために後方へ移動する。そのかいあってナヴァナとは距離が空く。


「コイロちゃん、ウリエル様。ナヴァナを回復してあげて」

「わ、わかった」

 正直嫌ではあるが、そんな事は言ってられない。

 琴花は持っていたポーチの中に手を入れる。あまり物が入っていないためすぐに取り出すことができた。



 現在女神様のコインは残り1枚である。

 そう1枚しかないのだ。ナヴァナを回復したらそれで終了である。

「1枚しかないんだけどウリエル」

【うむ、見れば分かる】

「何とかならない?」

【できるのならそうしたいところじゃぞ。だが現実は甘くないぞ琴花よ】

「むぅ〜慈悲はないの?」

【慈悲は毎朝のログインボーナスと妾の微笑みじゃ】

 現実は残酷。コインは1枚。


 琴花とウリエルがコイン1枚しかない事について相談している間も、漆黒の者とエルの攻防戦は続く。接近すると槍の射程圏内に入るため、エルは持ち前の脚力とナイフで相手をかく乱していく。

 漆黒の者はナイフが当たりそうになると回避する。一度槍でナイフを弾こうとしたが失敗したため、それ以降は回避運動に徹している。


【しかし、あの漆黒。随分と小柄じゃのぅ】

 長身のエルと比べると、漆黒の者のほうが、わずかに体格的に小柄であった。

【ふむ、並んで立つと琴花と変わらんかもしれんのぅ〜。かっかっかっ】

「…………」

【聞いておるのか? 琴花よ】

「うん、聞いてる。ただこのコインを何に使うべきか考えている」

 考える時間はそんなにない。エルがいつまでも持ち堪えてくれる保証なんてないのだから。


「ぐ……」

「ナヴァナ、起きれる?」

「クソがッ! いてぇじゃねぇかボケがッ! あぁどっか骨いっちまってやがるな。クソが」

 ナヴァナは持っている武器を杖にして立ち上がった

。とりあえず動けるようだし、悪態をついているので琴花はナヴァナを回復にする件についての案を保留ではなく破棄することにした。



「おい、アレは一体何なんだよ。いきなり不意打ちを仕掛けてくるたぁー頭オカしいじゃねぇのかよ」

 唾を吐きながらヨロヨロと動き始めるナヴァナに、

「うーん、か弱い女性の首を締め上げる奴も相当頭オカしいと思うけど」

 とボソッと呟くとウリエルも同意と言わんばかりに頷く。



「ブチ殺されたくなかったらあの漆黒野郎がどこのクソ野郎か教えろ」

 ギロリと睨み付けてくるナヴァナ。初対面の時はビクついていた琴花だが、耐性がついてきたせいか、はたまた手負いの獣のせいかビクつくことはなくなった。


「ごめん、あたしも誰か全く分からない」

「あぁッ? ふざけんなッ! なんでこの俺が見ず知らずの奴にやられなきゃならねぇんだよッ! クソがぁぁああぁぁあぁッ!!」

【日頃の行いのせいじゃないかのぅ〜。これに懲りたら一日一善、お仕事楽しいですと死んだ目で呟くが良いわ】

 だが、当の琴花達もいきなり襲撃した奴が誰なのか全く分かっていない。


 むしろ、この場にナヴァナ=ノサトがいなかったら間違いなく襲撃犯はこいつだと思っていたくらいなのだから。


 エルはどうか知らないが、琴花単体で怨みを買っているのならば、間違いなく上位に目潰しをしたナヴァナ=ノサトによる逆恨み襲撃説が1番しっくりと来るのである。

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