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コイン磨きの聖女様 牧師の娘とウリエルが歩む異世界  作者: 聖魔鶏カルテペンギン
第1章 オクジェイト大森林 探索編
37/44

035枚目 膝枕というが、実は膝ではない。

 薄暗い森の中。斬殺された少女の遺体が転がっているのを発見した3人の冒険者(ランカー)達。


 そのうちの1人である赤髪の青年が「こいつぁひでぇな」と呟いた。

 おそらく目の前の少女が生き絶えた後も容赦なく攻撃されたのであろう。関節や骨があり得ない方向に曲がっているのがその証明であろう。

「この子……ハクトウパンにやられたんじゃないかしら。鋭い爪痕と落ちている羽根からしておよその検討はつくわね」

 2人目の冒険者(ランカー)のエルフは、少女の目が見開いたままなのを見て、そっと目を閉じさせようと手を添えるが、残念ながら死後硬直が進んでおり、それは出来ない。エルフは哀れみの表情を浮かべて「つらかったわね」と生き絶えた少女の髪を撫でた。

「ねぇ、この子は村の人が探していた子供?」

 3人目の冒険者(ランカー)のポニーテールの少女がエルフに尋ねる。この3人の冒険者達は森に迷い込んだ村の子供の捜索というクエストに参加している。

「いえ、探しているのは男の子よ。残念ながらこの子じゃないわ」

「しっかしよぉ〜何の装備もなしで、なんでこんな所にいるんでぇい?」

 赤髪の青年の疑問は最もだ。魔物が蔓延(はびこ)る大森林。そんな危険な場所に、なぜちゃんとした装備も持たずにここにいたのであろうか。

 今となってはその疑問は分からないまま。なぜ少女がここにいて無残に殺されてしまったのか、もう少し早く見つけることができたら助かる事ができたのか、それは誰にも分からなかった。

「行きましょう。私達は見つけなければならない。この子と同じような状態になる前に」



「あ、コイロちゃん起きた。調子はどう?」

「…………え?」

 琴花が目を覚ますと心配そうに顔を覗き込むエルの顔があった。後頭部には柔らかい感触。琴花はエルに膝枕をしてもらっていた。

「あ……えーと。あたし……寝てたの?」

 なぜこんな所で膝枕をされているのだろうか。

 いまいち自分がどういう状況か分からず、思わず声に出して現場を確認する。

「びっくりしたわよ。ウリエル様とお話してたら、いきなり意識を失ったかのように倒れちゃったからとても心配しちゃったわよ。うーん昨日の疲れが取れていないのかしら」

【ふん、少しばかり本気で気を出したら気絶しよって。軟弱者じゃのぅー琴花は】

 かっかっかっと笑うウリエル。それで全てを思い出した。原因はこの女神様である。


「あんな恐ろしい雰囲気出してたら誰だって気絶するよ」

【ふん、まぁー涙と鼻水だけで済んで良かったのぅ〜】

 言われて手で確認すると顔が涙と鼻水でカピカピになっている。後で洗顔と肌水である。

「そういえば、エルあたしどれくらい寝ていたの?」

「うーん、30分くらいかしら」

 琴花はよいしょっとエルの膝枕から起き上がる。が、うまく起き上がらず、エルがそっと琴花の頭を手で支えて自分の膝に乗せた。

「ちょ、エル」

「いきなり起きたらふらふらするわよ」

 うまく起き上がれず苦笑する琴花の頭をエルは微笑みながら、そして優しく撫でていく。

【なんか、少女コミック見せられているような気分じゃの】

 忘れているかもしれないが、エルは外見だけならイケメン男子である。まぁー性別は女性であるが。映画や挿絵のワンシーンとして使えるシチュエーション。


【ほれ、ここでチューくらいせんか。サービスじゃサービスサービス】

「な、なんのサービスだよそれ」

「ふふ、ほっぺでいいならする?」

「エルもウリエルの言う事を真に受けないでよ」

【妾が神託すればそれをせねばならん決まりじゃぞ】

「そうね〜それをしないと世界が滅ぶならしなきゃいけないわね〜」

「キスひとつで滅ぶ世界って滅茶苦茶じゃんッ! バタフライエフェクトじゃん」

【もちろん、妾はそんな無粋なことはせんぞ。こう見えて良識ある女神として通っておるからのぅ〜】

 良識ある女神って誰のことだよと疑問に思いつつ、琴花は口に出さなかった。また殺気をぶつけられたらたまったもんじゃない。


「ねぇーコイロちゃん。ばたふらい……えふぇくとって何?」

 1人会話に入り切れていないエルが琴花に問う。その間もさりげに頭を撫でる手を止めていない。


「え? あ、こっちにはそんな理論ないんだっけ。えーとたしか」

【ふむ、バタフライエフェクトというのは琴花の世界で言うところの映画のタイトルじゃな】

「えいが?」と首を傾げるエル。もちろんこの世界に映画なるものは存在しない。


「いや、違う違う。ややこしい事を言わないでよウリエル」

【何を言うかッ!! 貴様はあの映画を知らんのかッ!! アメリカの映画で3(スリー)まで出てる名作じゃぞッ!】

「いや、知らないしッ!! あたしが説明したいのは蝶が竜巻を起こすほうだしッ!」

 ガバッと上体を起こした琴花が発した言葉にウリエルは大きく目を見開く。

【な、なんじゃとッ!! それを早く言わぬか、こんのシャイニング馬鹿たれがッ!! それじゃとエフェクトじゃないぞ。カオス理論バタフライ効果のほうじゃッ!!】


「えーと、2人とも落ち着いて。その話は詳しくまた教えてくれない? そんなに叫んでると魔物が寄ってきちゃうわ」

【むぅーたしかに】

「ごめん、エル気をつけるよ」

「コイロちゃんも元気になったし、そろそろ行きましょうか」

 土で汚れた部分を払いながらエルが立ち上がる。そのついでに琴花の土で汚れた部分も払う。琴花は払ってもらった事に礼を言うと、どういたしましてとエルが笑顔で返答した。

 

 次の目的地は石碑の見守り。見守るべく石碑のある場所まで3人は歩き出した。


効果もエフェクトも同じ意味です。ちなみに。

でもそういうタイトルの映画はあります。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 文章間隔をもう少し広げた方が読みやすくなるかもしれません。 [一言] 個性的なキャラが多く、掛け合いが読んでいておもしろいです。 これでもかと詰め込まれたネタに何度もニヤニヤさせられま…
2020/02/25 19:25 退会済み
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