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コイン磨きの聖女様 牧師の娘とウリエルが歩む異世界  作者: 聖魔鶏カルテペンギン
第1章 オクジェイト大森林 探索編
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017枚目 黒のG

 レイとエルによって次々と倒されていくハクビー達。

 それを見てるだけの琴花。

 だって仕方ないじゃないか。

 弁慶の泣き所をやられてしまってるのだから。


 これでも今作のヒロインなんです、応援よろしくってなもんだ。


「おっしゃーこれでラストだぜぃ」

 レイが最後の一匹にめがけて駆け出した。

 やばいと悟ったのか、残りの1匹が鳴き声をあげた。すると草むらより5体出現する。

 増援だ。

 その内の一匹の毛並は白ではなく茶色だった。


『ありゃりゃ仲間を呼びよった』

「え……仲間を呼ぶのアレ」

 ようやく戦闘終了かと思っていたのに……。


『うむハクビーはな、1匹見かけたら10匹はいると言われとる。ようは群れで行動するのじゃ』

「……ゴキブリみたいですね」

『それは言うな、あの黒光りしたGは妾も苦手じゃ』

 ちなみにゴキブリは1匹見たら30匹はいると言われている。女神様もゴキブリは駄目らしい。


「で、茶色は?」

『茶色はもちろんボスじゃぞ』

「ボスってことスキルは、すねぼきりみたいな感じ?」

 普通のハクビーの種族スキルである《すねごすり》で痛くて動けない。

 骨は折れていないが、ボスなら骨くらい砕きそうだ。だから《すねぼきり》だろう琴花は思った。


『そんな単純な技を使うわけがなかろう』

「え、じゃあー《すねかじり》ならぬ《すねがしり》とか?」

 ボスだから脛をガシリと噛みそうな気がするので琴花は《すねがしり》と言ったのだ。

 ちなみに実家で過ごして、困ったときは親からお金をもらって生活をしている琴花も立派な《すねかじり》である。

 補足すると学生やニートも立派なすねがじりだ。

 もしかしたらテストに出るかもしれない。


『たしかにハクビーは噛む力だけは強い、だがそんな種族スキルを持ってる程度でボスになれるわけがなかろう』

「えぇーじゃあ何?」

 戦闘は未だに続行している。


 琴花はサーシャの槍を杖代わりにして、何とか立ち上がる。脛のダメージは健在だがおちおち休んではいられない。


『茶色のハクビーは、通常の白いのと比べてさらに素早く、自慢の尻尾を使って相手の脛を狙う』

「あ、やっぱ脛を狙うんだ」

 なんだというのだ、ハクビーという魔物は。

 弁慶の泣き所ばかり狙うなんて魔物の風上にもおけない。弱点など狙わずに堂々と戦うべきではなかろうか。

 だが、逆の立場で考えると琴花も相手の弱点を狙う。たぶん狙うだろう。狙わないと勝てない。

 だからお互い様。

 弱肉強食の世界では仕方ない。

 綺麗事ばかりでは世界は回らないのだ。

『茶色ハクビーが放つそのスキルの名前が……』


「コイロちゃん避けてぇぇぇぇ」

 エルの叫び声が聞こえた。

 何かさっきもあったような出来事。

 嫌な予感しかしない。

『琴花、 3時の方向を見ろぉぉぉぉッ!!』

 ウリエルも叫ぶ。

「え……さ、3時」

 ふと視線を3時の方向に向けると、茶色のハクビーが猛ダッシュで琴花に向かって走ってくるのが見えた。

 どうやら弱ってる琴花を先に倒そうという考えらしい。


 だが、琴花も馬鹿ではない。

 何度も同じ手を食らうわけがない。ウリエルとの会話に夢中になっていて、わずかに反応が遅れたが、同じミスをするわけにもいかない。


『来るぞッ!!』

「分かってる」

 迫り来る茶色ハクビー。

 琴花は持っている槍をギュっと握りしめる。

 接近戦は全く駄目だが、近づく前に槍で突いてしまえばやられることはない。

 そう考え、琴花はタイミングを測る。

 茶色のハクビーが距離を詰めてくる。


『今じゃ琴花ォォッ!!』

「やぁぁぁぁぁッ!」

 ウリエルの合図と共に、琴花は持っている槍を茶色ハクビーに突き出す。

 だが持ち前の素早さで茶色ハクビーは槍の切っ先を回避する。そしてジャンプし、琴花の腹部にめがけて体当たりする。

 白いハクビー同様石頭である茶色のハクビー。

「がふっ」

 みぞおちにキツイのが一発入る。

 痛くて呼吸できない。

 身動きできない。

 膝から崩れ落ちそうになる。

 そこを狙って茶色のハクビーがクルリと身体を動かし、勢いをつけて尻尾を振るう。

 その先にある琴花の脛をぶっ叩いた。


「◯✖️△〜」

『これが奴のスキル《すね尾》じゃ。痛かったら青狸に出てくる奴と同じようにママ〜と叫んでも良いぞ』

 口元を抑えてはいるが、明らかに笑いを堪えているのが分かった。

 この性悪女神に説明をしてもらってはいるが、あまりの痛さに琴花はツッコミどころか返事もできなかった。今度こそ骨が折れたかもしれない。


 ★

 幸いなことに骨折はしていなかった。

 牛乳や小魚をしっかり摂取していた生活が役に立ったようだ。骨密度万歳だ。

「コイロちゃん大丈夫?」

 戦闘を無事に終えたエルとレイが琴花に駆け寄ってくるのが見えた。

「は、はい何とか」

「マジか? 結構キツイの入ってなかったか?」

「はい、身体だけは丈夫なんです」

 もちろん嘘である。

 骨折はしていなかったが、あまりの脛の痛さに我慢できず、琴花は貴重なコインを使って回復したのだ。

 さすが奇跡の力だけあり、痛みが嘘のように消えていった。

 これで残りは3枚。

 ウリエルの力が使える回数は3回だ。

 大事に使わなくてはならない。

 ここぞというときに残しておかなくてはならない。

「動けそう?」

「だ、大丈夫……」

心配するエルに琴花は頷く。コインの力を舐めてはいけない。痛みどころか疲労感もない。

「わかった。だが無理するなよコイロっち」

レイは琴花の頭をポンポンと叩き、

「よし行くぞッ!」

 と号令をかけて、ふたたび歩き始めた。

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