第24話:依頼
今日の午後、もう一話投稿予定です
歩くこと5分。
ようやく俺達は目的の場所へと辿り着いた。
ここまで特に話すこともなく、淡々と歩いてきたが、これから会う人たちについて軽く教えて貰うことができた。
まずは裁縫師のトップを張っている姉御肌のプレイヤーだというキルラ。
次に細工師のトップクラスの実力を持つ大人しい‥‥というより、人見知りなアルファだそうだ。
男性でもトップクラスの生産職はいるらしいが、やはり女性に比べると少ないらしい。理由は、単純に男性の方が冒険がしたいという事なのだろう。
「さあ、2人も待っている。早く入るとしよう」
アーミィに連れられ、カフェの中へと入ると一人の女性と一人の少女がいた。
女性の方は黄色の髪に青色の瞳、小麦色の肌を持ちどちらかというとスポーツ系の部活にいそうな感じだ。
少女の方は緑色の髪に灰色の瞳、透き通るような白い肌の図書室の端で読書でもしていそうな感じだ。
「遅かったな。またユイが絡まれていたのか?」
「遅かった、ね。‥‥あ、店員さんチーズケーキ一つください」
「ユイじゃなくて、こっちの少年の方が絡まれていたんだよ。で、頼まれているのも、こっちの少年の装備だな」
「初めまして。ユイの幼馴染で共に配信者をすることとなりました、ミトと申します。よろしくお願いします」
俺は新年始まって直ぐにする自己紹介の時のような定型文を、満面の笑みで言った。毎年ではないにしても、数年に一度はやっているので慣れているのだ。
「なんだその気持ち悪い張り付けた様な笑みは。まあ、いいけどよ。私はキルラだ。よろしくな」
「わ、私はアルファ‥‥です。よろしく、です」
キルラからは思いっきし不評だったようで罵倒を浴びせられ、アルファからは怯えられてしまった様だ。アルファの方は、単純に人見知りを発揮しているだけのような気もするが。
「はぁ、不評だったしやめとくか。改めて俺はミトだ。よろしく」
「おう。それでいいんだよ」
「じゃあ、私も改めて。ユイで~す。よろしくー」
「久しぶりだな」
「ユイも、久しぶり」
ユイが満面の笑みで挨拶すると、2人も挨拶を返しアルファは小さく手も振り、ユイもそれに返す様に手を振っていた。
「じゃあ、そろそろ依頼内容の確認といきましょうか。まず、私への依頼は剣と大楯ってことで良かったのよね?」
「ああ。出来ればこの初心者の剣よりも長いと嬉しい」
俺は剣を取り出し、どの程度長いといいのかアーミィに説明していく。
アーミィもそのほかの要望を訊いてきたので、重さについてもお願いしていく。
「あとは、刃渡り30cmくらいの短剣を作ってもらえるか?」
「短剣?騎士に必要だとは思えないんだけど」
「まあ、基本的にはいらない気もするんだけど、やっぱりスピードが必要な場面で大楯と長剣使って戦うのは難しいからな。その点短剣なら邪魔にはならないしいいかなと思ってな」
「ん~。分かった。じゃあ、その三つを作っていくね。短剣と長剣に関してはちょっと持ち合わせあるから、重さの確認だけしておいて」
アーミィが何個かの剣を取り出し、俺は一つ一つ手に取って重さを確かめ、一つの剣を選びアーミィに頼んだ。
そして、狼王の牙と大牙を一つずつ渡し、アーミィへの依頼は終わった。
「じゃあ、次は私かな。それにしても‥‥騎士なのにフルプレートじゃなくていいの?」
「ああ。二人で配信やっているわけだし、俺が動けないと困るしな。いざというときにユイが遠すぎて助けられない、とか言ったら騎士を選んだ意味ないだろう?まあ、レベルが上がってフルプレートの鎧着ていても問題なくなればまた別なんだけどな。しばらくは普通に衣類でいいかな」
「了解。そう言う事なら承ったよ。で、確か素材の持ち込みありなんだよね」
「使えそうなのは鬣と毛皮と尻尾くらいだとは思うんだが、何が使える?」
キルラは少し迷ったのち「鬣と毛皮かな」と言った。
「毛皮は2枚で足りるんだけど、予備でもう1枚もらえると助かる。勿論、使わなかったら返すし、使ったらその分値引きするよ」
「分かった。でも、値引きはいいよ。じゃあ‥‥これで全部だよね」
アイテムボックスから取り出し直接手渡しし、アイテムの移譲を終わらせた。
「最後に、私‥‥だね」
「ああ。アルファにはネックレスかブレスレットを頼みたい」
「なら、ネックレス…かな。ブレスレットだと、魔核を取り付けるために太くなっちゃうから」
確かに、あの大きさの球体を取り付けようとしたら、それ相応の大きさが必要となるだろう。
「なら、ネックレスで頼む。これがその魔核だ」
「確かに預かった‥‥」
アルファへの依頼も終え、俺は一息ついた。
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次話の投稿は今日の午後6時に投稿する予定です
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