表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【web版】会話もしない連れ子の妹が、長年一緒にバカやってきたネトゲのフレだった  作者: 雲雀湯@てんびん2026年アニメ化決定
番外編・ある春休み

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

167/175

*従姉襲来・転


 少しだけ様変わりした住宅街を歩く。


「うんうん、昴も色気づいちゃってまぁ……何々、一体どういう心境の変化? 好きな子でも出来た?」

「色々あったんだ。それを言えば真白、そっちも色気づいてるぞ」

「そうそう、昴を驚かせようと思って買ったんだけどなぁ。でも褒めれくれたから良しとしよう。お姉さん的にも嬉しいぞう?」

「まったく、真白は……」


 先ほど感じた動揺を振り払うかのように、また久しぶりに再会した嬉しさもあって、積極的に話しかける。

 些細な話でも楽しく感じる。それは真白にとって昴だからこそでもあり、次第にいつもの調子を取り戻していく。そんな変わらない関係性を噛みしめる。


「そういや平折ちゃんは? 元気にしてる?」

「平折か……」


 倉井平折。6年前、突如として出来た義理の従妹。

 彼女のことは、この3年の間に気にしていたことの1つでもあった。


 昴と同じく笑えない女の子。初めて出会ったときは、昴によく似ていると思ったものだ。

 そして、昴が積極的に彼女と仲良くなろうとしていたことも覚えている。相談だって何度も乗った。だけど、結果は没交渉のまま。

 この半年は受験で自分のことで精いっぱいだったけど、ちょくちょく昴に電話をしては聞いていた。


 真白は平折に対して、それほど良い印象を持っていない。

 女子校(ゴリラの園)でうっかり頂点(てっぺん)を取ってしまうほどコミュニケーション能力に優れる真白をして、手ごわい相手、心を閉ざしている相手だったからだ。


「変わったよ、凄く変わった。俺が変わろうと思ったくらいに」

「へぇ、そうなんだ」


 だから昴に変わったと言われても、いまいちピンとこない。

 大方変わったと言ったところで、自分の殻に引きこもるのを止めたとか、その程度のことだろう。

 物理的にも距離が離れていて、頻繁に会えない自分と違い、昴を託すには不安しかない相手――それが真白からみた平折の評価であった。

 むしろ真白は、ようやく殻からでたか! 手間を掛けさせて! と憤りすら感じている。顔を合わせたら文句の1つでも言ってやろう、そんな決意をする。



 だから一瞬、出迎えてくれた相手が誰だか理解できなかった。


「お久しぶりですね、真白さん」

「この人が昴のお従姉さん? あ、初めまして。有瀬陽乃と言います……もしかして知っていてくれると嬉しいでーす」


 どう見ても女子中高生に大人気モデルであり、訳ありの姉と一緒に復帰した有瀬陽乃と、その姉ひおりだった。


「な、な、何でひおり(・・・)と有瀬陽乃がここに居るのっ?!」


 思わず叫んでしまうのも無理はない。

 真白の女子校でもひおりと陽乃の姉妹の写真集は、受験の真っ只中にも関わらず連日噂に上っていたし、どうして従弟の家に行ったらその2人が出迎えてくれるのか理解できない。真白自身も、出来る事ならサインが欲しいくらいだ。

 どうして彼女達がいると教えてくれなかったのかと、説明もちゃんとしれくれと言わんばかりに、涙目で昴をねめつける。


「だから言っただろう、平折は変わったって」

「変わり過ぎよ?! どういうこと?! え、うそ、ひおりと有瀬陽乃って……」

「腹違いってやつだな」

「何で昴の家にいるの?!」

「そりゃ平折は妹――いや、家族だからな。平折の異母妹も同じ家族だろうっていう理屈で、ちょくちょくうちに遊びに来ているぞ」

「うそでしょおおおおおーーーーっ!!」


 そんな真白の叫び声が、倉井家の玄関で響き渡るのであった。


次回は夜に投稿します。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 異母妹(いぼまい)って美味しそう
[良い点] うん。 時間軸と関係性が分かって、色々と納得です。 これは・・・従姉が4人目・・・ と、なったらおかしいなと(笑) [一言] ちと、他の方の感想を拝見しましたが・・・ 感情を揺さぶる作品と…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ