第24章伝えられないままで……。
季節はすっかり変わり春の風が気持ちいい季節。
で、私は何時帰れるの?
元の、平成の時代に帰れるの?
「愛美、桜でも見に行くか?」
「……うん。」
「どうした?元気ねぇな」
さすがトシさん、見抜きました。
「少し考え事していて……。」
なんとなく考え事も気付いていそう。
トシさんはそれ以上聞かないで私の支度を待ってくれていた。
ちょうど暖かいので桜も満開に咲いてるのかな?あまり考えないで……居よう。
「じゃあ連れて行ってください。」
「今日は馬で行くから落ちるなよ(笑)」
なんて普通に笑って二人で楽しい時間が過ぎて行く。
少し山を登り途中、左に曲がった。
ここって……。
将軍塚じゃない?
見晴らしも最高で、やっぱり時代に関係なくデートスポットみたい。
「すっごく綺麗!」
「愛美……」
「どうしたの?」
「これ……。大切に取って置いて欲しい。」
手渡された桜をトシさんから受け取った。
えっ?何か何処かで見たような
これって『デジャヴ』とか言うの?
「絶対に俺は離さないからな。何度生まれ変わっても探し出す。ずっと……」
「ずっと……大切にこの桜は取って置くね」
ふわっ
風に吹かれ花弁が舞う中、私達は不安を感じながらも約束をした。
見た風景は押し花で本に挟んだ花弁を
確認して私がタイムスリップしたあの瞬間だ!
思い出した。
知らない声の主は
運命を誓い合った人は
そして私がこの幕末に来た時と同じ
あっ……。
目の前が輝いて光の中に包まれる。
待って……。
まだ伝えたい事も
まだトシさんに言いたい事も




