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第97話 もう王侯貴族は信用しない!


 お姫ちゃんが私を王子に売った!?


 どんなものでも結局味方に付けてしまうお姫ちゃんである、敵だった伯爵家も今や味方なのだ。

 ここで王位継承における本来の敵本人を、味方に付けてしまおうとしても不思議ではない。これが一番手っ取り早いのだ。


 このお姫ちゃんなら余裕でそれをやってのけるだろう。

 考えてみたら、この子も恐怖の王侯貴族なんだよね、しかも恐怖の王子と同じ血が流れているんだよ。


 ポンコツ王子なら、誘いに簡単に乗りそうだもんね。妹なら兄の事をさすがによくわかっているのだろう。

 餌を与えれば食いつくと。


 私はポンコツの餌かよ!


 そういえばお姫ちゃんはこの前のパジャマパーティーで、『土の中も意外と快適ですよ』と私に力説していたよね。

 あれはそういう事だったのか!


「リン、土の中だとお芋食べ放題だよね」


 おいフィギュアちゃん、お芋泥棒として討伐されるわ!


「土の中にハンバーグがあると思う?」

「無いんじゃないかな? 泥でこねたハンバーグごっこならできそう」


 今日も美味しいハンバーグをこねこね、っておままごとしている場合か!

 ハンバーグが無い地獄じゃないか!


「ごめんねリン、私がこの前のハンバーグステーキを最後の晩餐だなんて言ったから。でもリンが〝今日も明日も明後日も、百年後もハンバーグを食べるつもりだ〟なんてフラグを立てるからだよ」


 百年後とは言ってない、十年後だよ!


 うわあああ、あんなところにフラグが潜んでいたのか!

 立てるつもりが全くない所で勝手に立つフラグ、なんと恐ろしいんだフラグは。


「それでは早速だが、リンナファナ嬢を引き渡してもらおうか。そして私は至福を抱いて王都への帰路に就くとしよう」


 ひいい!


 モブ男君たちが私を囲んで守ってくれるが、多勢に無勢もいいところだ。

 この伯爵家の敷地には、金髪縦ロールちゃんの伯爵軍に加えて、お姫ちゃんと王子の近衛隊まで勢ぞろいなのである。


 モブパーティーが突破できるような代物じゃない。

 できるとしたら――


 また厨房が爆発したりしないかな?


「気がお早いですね兄上は、まだ王都にお返しできませんよ」

「ふむ、なるほど、ご褒美が欲しいのか。頭をいいこいいこという歳でもあるまいし、何が望みだ」


 お、王位ですよねー。


「あらあら勘違いしないで頂けますか兄上。リンナファナ様には立会人として同席して頂いたのです。誰が兄上に引き渡すと言ったのでしょうか、王都への帰路に就くのは兄上だけでなさいませ」


 お姫ちゃん!

 私はお姫ちゃんを信じていたよ! お姫ちゃんバンザーイ! バンザーイ! バンザーイ!


 熱く見つめる私に、お姫ちゃんは首を傾げた。


 フィギュアちゃんがジト目で私を見ている。

 ほ、ホントだよ、お姫ちゃんを信じてたんだってば。


「やれやれ、とんだ一人芝居だったねリン」

「ご、ごめんねフィギュアちゃん。私の盛大な思い違いに、うっかりフィギュアちゃんまで巻き込んじゃったね。王侯貴族はやっぱり恐ろしいなんて私の偏見だったよ、ちょっと反省するね」


「ところで兄上、もし私がリンナファナ様を引き渡したら、どのようなご褒美が頂けるのでしょうか」


 こらこら、お姫ちゃん!


「さて立会人とは何の話だルーアミル。リンナファナ嬢はいいとして、その他の者どもは一体何だ、平民ではないか」


 言われた幻覚ちゃんの伯父さんが恐縮して身を縮めてしまう。

 対して幻覚ちゃんはにっこりと笑顔になった。


 さては無垢な子供を演じて、この場の皆の視線から逃れる作戦だね。


「この方たちの東屋はとても美味しい料理を出すので、是非王都に進出して頂けないかと思いまして。スカウトですね」

「そんな、もったいないお言葉」


 自身の住む町の領主である伯爵家に、王女や王子だの王族が集まったこんなとんでもない場所で、話を振られた幻覚ちゃんの伯父さんは今にも死にそうである。

 頑張れ! 頑張れ伯父さんの腰! 砕けちゃ駄目だ!


「聞けば戦争に対して不安もあるという話ではないですか、一時国境から離れた王都に避難する提案も兼ねているのです。もちろん、他に進出したい場所があるなら王家が支援いたしましょう」


 あのハンバーグなら王都でも十分通用するわよね、ハンバーグステーキ評論家の私が言うんだから間違いない。

 遂に国が保護に動き始めたか、さすがハンバーグを知るお姫ちゃんだ。


 この国は天国になったかもしれない。


「リンはハンバーグなら何でも天国じゃん」

「何か言ったかしらフィギュアちゃん」


「そんなものは勝手にすればいいだろう、私とは関係無い話では無いか」


 そんな余裕をかましていられるのも今の内だよ王子、あのハンバーグを口の中にねじ込まれてから自分の言葉を後悔しても遅いんだから。

 ふふふ、あのハンバーグを前にいつまで虚勢を張っていられるかしらね。


「あらあら、本題はこれからですよ、そんな事だから女性に逃げられるのですよ兄上は」


 あ、王子が涙目になった。


 手厳しいなお姫ちゃん。

 兄妹だとこんなものか、カリマナも私に容赦ない所あったし、容赦なく私のオヤツを奪ってたよねあの子。


 で、私に立会人って、一体なんの話なのかな?


「宣言します!」


 お姫ちゃんが姿勢を正し声を張り上げる。


「私は兄上を廃し、王位継承権を発動し時期王座に就く事をここに宣言します」


 突然もっと手厳しい一撃きたあ!


 次回 「さらばだポンコツ王子」


 リン、感心する。

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