12話目 探索
ダンジョンは薄暗い所である。通路が複雑に入り込んでいて、その中をアルが斥候役みたいに先回りしながら道案内をしてくれてる。
「この先に罠がありますので気を付けてください! お姫様」
「そう。ありがとう、アル」
嬉しそうに尻尾を振っているアルはマリアーヌお姉さんから視線をぼくに向けてくると、口調をガラっと変えて警告してくる。
「おい、アキ。今言ったように罠があるからな、勇み足を踏むなよ。死んだらなにもないからな!」
「ああ、ありがとう」
口調こそ荒いがアルは本気で心配してくれているのでとても嬉しい。それにぼくは知ってるけど、ハルカお姉さんはこのダンジョンにあるすべての道を暗記してる。せっかくアルが張り切っているので、ハルカお姉さんはただ笑ってみているだけ。
ゴブリンがダンジョンの部屋から集団で飛び出してきた。だが、マリアーヌお姉さんはすぐにかまいたちの魔法を飛ばして、その四肢を切り落とした。
「アキヒロ、トドメを刺しなさい。今日はあなたのパワーレベリングよ」
もがき苦しんで、手足が無くなっても逃げようとするゴブリンに、ぼくは太刀を刺すだけのイージーモード。こんなダンジョンデビューでいいのかなと疑いたくなる。
「アキヒロ、半数はアルに残しなさい。パートナーにも成長のチャンスを分けてあげなさい」
マリアーヌお姉さんの言いつけにもちろんおれは異論なんてない。アルが強くなるとぼくもダンジョンアタックがしやすくなる。そんなアルにマリアーヌお姉さんは二本の短剣を渡す。
「アル。あなたは双剣が使えそうよ、鍛えておきなさい」
アルはお姫様であるマリアーヌお姉さんから二本の短剣を受け取っていかどうかを迷っていて、ぼくのほうに救いを求める目線を送り込んでくる。ぼくはそれに対して頷き、受け取るように促した。
「あ、ありがとうございます! 一生の宝物にして大切にすることを誓います!」
「そう。精進なさい」
ありがとうございました。




