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冒険に、ついてこないでお母さん! 〜 超過保護な最強ドラゴンに育てられた息子、母親同伴で冒険者になる  作者: 茨木野
11章「最終決戦編」

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179.エルフ、因縁にケリをつける【前編】



 リュージとカルマ、そしてベリアルの最後の戦いが開始された、一方その頃。


 魔王城内部の、研究室にて。


「バカな……あり得ない……あの偽物親子が、どうして復活したの……?」


 白髪のヘビ女、メデューサは、驚愕の表情を浮かべていた。


 世界蛇ヨルムンガンドを通して見えてくるのは、完全復活した邪神王ベリアル……だけでない。


 彼の前に立ち塞がる、ひと組の親子がいた。


 黒髪の少年、リュージ。

 そして同じ色の髪の母、カルマ。


「何か愉快なことでも起きているのかしら……?」


 満身創痍のチェキータ・デルフリンガーが、にやり……と笑う。


「あなたが不要と切り捨てたものたちが、予想外の力をつけて戻ってきたことが……そんなに意外?」


「黙れぇ!」


 メデューサは図星をつかれ、怒りをあらわにする。


 倒れ伏すチェキータに、蹴りを食らわせようとする。


 だがエルフはそれを、バク転で華麗に回避してみせる。


 そして懐から煙り玉を取り出すと、足下に投げつけた。


 ボシュッ……!


「煙幕か! こざかしい!」


「予言してあげるわ、【お母さん】」


【チェキータ】の声が、どこからか響き渡る。


「あなたは、負ける。自分が見下していた、勝手にいらないと捨てたものたちの手によって」


 ギリ……とメデューサは歯がみする。


 大量の蛇を操作し、周辺にいるはずのチェキータに攻撃命令を出す。


 だが本体が視認できぬ以上、蛇たちがチェキータを補足できるわけがなかった。


 ふっ、と背後に人影を感じる。


「そこだぁ!」


 メデューサは首に巻いてあった白蛇を伸ばし、背後のそいつにかみつかせる。


 ザシュッ……!


 奇襲をかけようとしたチェキータの首に、蛇が食らいついていた。


「これでおしまいよデルフリンガー! その毒は死毒! 耐性のないおまえは物の数秒で死ぬわ!」


 勝ち誇った笑みを浮かべるメデューサ。

 

 しかし……にやり、とチェキータは不敵に笑った。


「耐性はあるわよ……【お母さん】!」


「セヤァアアアアアアアアアアア!」


 ザシュッ……!


 メデューサは激しい痛みを感じた。


 振り返り、そして目をむく。


「なっ!? で、デルフリンガーが……ふたり!?」


 蛇がかみついているはずのエルフと、背後で一撃を食らわせたエルフ。


 ふたりのチェキータが、そこにいたのだ。

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