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冒険に、ついてこないでお母さん! 〜 超過保護な最強ドラゴンに育てられた息子、母親同伴で冒険者になる  作者: 茨木野
11章「最終決戦編」

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177.息子、立ち上がる【中編2】



「愛って……なにさ?」


「あなたを愛おしいと感じる心です」


 カルマはリュージを抱き寄せて、その黒髪を優しくなでる。


「りゅーくん。あなたをこうして抱いているとね、心がふわふわと暖かくなるの。あなたがそばにいるだけで毎日が幸せなの。あなたは私にとっては大切でかけがえ無い、愛おしい存在なの」


 母は、リュージを見て笑う。


「りゅーくんも……そう思わない?」


 じわり……とリュージの心に、暖かなものが流れ込んでくる。


「……僕もだよ」


 そう、リュージも同じだ。

 母がそばに居るだけで心が温かくなるし、幸せになれる。


 カルマはリュージにとってのかけがえのない存在なのだ。


「私たちにはきちんと、親子の愛が存在する。なら私たちは本当の親子よ。たとえそこに血のつながりがなくても、あなたが作り物だとしても」


 母が笑って続ける。


「私たち親子の愛と絆は、本物じゃないですか」


 ……リュージは、崩れ落ちそうになるほどの、安堵を覚えた。


 それは自分の存在が、確固たるものへと変わったから生じる安心感だろう。


「……僕は」


 ほおを伝う暖かな涙を感じながら、母に言う。


「僕は……母さんの息子で、いいの?」


 母はニカッと笑うと、大きくうなずく。


「当たり前じゃないですか。私の息子はあなたをおいて他に居ない。あなたは、最高の息子です」


「母さん……う……ぐす……うわぁああああああああああああああん!」


 リュージは母の体をきつく抱き返す。


「母さんごめんね! 酷いこといっぱい言ってごめんね!」


「良いのよ。大丈夫、あれは私のことを思ってわざと酷いことを言っていたのよね。私はちゃんとわかっていますよ」


 リュージは……わかった気がした。


 母親とは、どんな存在であるかを。


 たとえ、息子との間に何があろうと、どんなことをされようと。


 大空のような広い心と、羽毛のような柔らかな愛で包み込んでくれる。


 それが母親であり、それが親子の愛と言うことに。


 ……すなわち、目の前に居るこの人が、自分の本当の母親なのだと。


 たとえ血がつながっていなくとも、たとえ、この親子関係が……誰かの手によって意図されたものだとしても。


 今カルマに感じているこの愛おしさが親子の愛であり、今目の前に居る愛おしい存在が母なのだと。


 リュージはそう……理解したのだった。

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