175.エルフ、決して希望を諦めない【前編】
ルコたちの前に、邪神王が完全復活した、一方その頃。
「くふ……くふふふふふふ! あーっはっはっはっは~~~~~~~~!」
メデューサは天を仰ぎみて、狂気の笑みを浮かべる。
「ついに! ついにこの日が来ましたわぁ!」
彼女は一時的に、攻撃の手を止めている。
チェキータたちはメデューサから距離を取っていた。
「チェキータさん……ごめんなさいなのです……しーら、足手まといで……」
「気に……しないでしーちゃん」
とはいうものの、チェキータは満身創痍だ。
機動力に乏しいシーラは、メデューサの出す大量の蛇たちの動きを回避できない。
必然的に、チェキータがシーラをカバーすることになる。
だがそのせいで、チェキータは敵に致命傷を負わすことできなかった。
「これで邪神王は復活なさった! 長年待ち続けてきた、我々邪悪なる存在による統治が敷かれる、漆黒の時代の到来よ!」
「そうは……させない!」
だっ……! とチェキータは駆け出す。
「イヤァアアアアアアアアアア!」
手に持った剣で、メデューサの喉に剣を突き刺す。
「あー……鬱陶しいですわ」
球種を指したというのに、メデューサは死なない。
チェキータめがけて大量の蛇が押し寄せる。
津波のようなそれに飲まれる。
魔力の鎧を身に纏い、蛇たちをガードする。
「腹ががら空きよ!」
メデューサが思い切り足を振り上げると、チェキータの土手っ腹にけりを繰り出す。
「ガハッ……!」
チェキータは勢いよく背後に吹っ飛ぶ。
「チェキータさん!」
シーラはエルフを受け止めようとする。
だが非力な彼女にそんな芸当、できるわけもなく……。
ふたりまとめて、背後に吹き飛び、壁に激突する。
メデューサは余裕の笑みを浮かべて、チェキータたちに近づく。
「何をやったところで、無駄ですわ、デルフリンガー」




