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冒険に、ついてこないでお母さん! 〜 超過保護な最強ドラゴンに育てられた息子、母親同伴で冒険者になる  作者: 茨木野
11章「最終決戦編」

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168.邪竜、息子を救出に向かう【中編】



 カルマに、リュージの真実を知られてしまったチェキータ。


 涙を流し謝罪する彼女を、カルマは優しく抱きしめた。


「怒ってないの……?」


「何に怒るというのですか。国が邪竜を危険視していることはわかってましたよ。爆弾を放置しておくのはおかしいなと思っていましたから」


 チェキータはカルマを見上げる。


 驚くほど、穏やかな表情をしていた。


「息子を、軍事に利用された……怒ってるのだと思ってたわ」


「まあ……ね。私にも思うところはあります。けど……違うのでしょう?」


 カルマは微笑む。


「りゅーくんからはそんなそぶりを一切見せていなかった。つまり計画を知らされていないどころから、計画から遠ざけられている節すらあった。あなたが……私たちを、悪意から遠ざけていてくれたんですね」


 深々と、カルマが頭を下げる。


「あの子と私を守ってくれて、ありがとう」


「カルマ……」


 チェキータは瞠目した。


 以前のカルマであったら、リュージを軍事利用したと怒り散らし、世界すら滅んでいたところだろう。


 そして、たとえ相手が長年連れ添った友人チェキータであっても、手を上げたに違いない。


「……あなた、本当にカルマ?」


「失礼な女ですね。私は私ですよ」


 屈託なく笑う彼女は、確かに自分の知るカルマアビスだ。


 だが以前とは比べものにならないくらい……穏やかな雰囲気を身につけている。


「チェキータ。私はあなたを責めるつもりは一切ありません。だからそんな、おびえた表情をしないでください。ね?」


 にこりと笑うカルマアビスに、チェキータは、ぽろり……と目から涙をこぼした。


「う……ぐす……ごめんねカルマ……黙っててごめんね……」


「泣かないでくださいよ。いいんですって。いつもありがとう。感謝してます」

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