167.エルフ、メデューサと対峙する【後編】
「う、うう……。こ、ここは……? わたしは、いったい……?」
チェキータは目を覚ます。
彼女はベッドに寝かされていた。
ずきっ、と体が痛む。
「……ここはカルマの家」
「ルトラちゃん……」
ベッド脇に座っていたのは、人狼の少女ルトラだ。
リュージの冒険者仲間であり、彼女はメデューサの実験体。
つまりあの女の手で人造に作られた存在なのだ。
「……よかった、気づいて。けどまだケガがひどいから、動いちゃだめ」
「わたしは……どうして? あの蛇に殺されたんじゃ……?」
「……わたしが助けた。わたし、オオカミに変化できるから、潰される寸前にあなたを助けたの」
チェキータは、間一髪のところを、この少女に救われたようだった。
「いったい……どうして?」
「……前に、助けてもらったことあるから」
以前、ルトラはメデューサの命令で、リュージを陥れるべく彼に近づいた。
その際に、ルトラはチェキータから救われ、そしてメデューサからの支配を解放してあげたといういきさつがある。
「ありがとう。ルトラちゃん。助かったわ」
「……気にしないで。借りを返しただけ。それで、リュージは?」
ぎり……とチェキータが歯がみする。
「メデューサに……捕らわれたわ」
「……だって、カルマ」
ガチャっ、とドアが開く。
そこにいたのは、黒髪の美女、カルマアビスだ。
「カルマ……」
カルマは無言で、チェキータに近づいてくる。
「もう少し、話を詳しく、聞かせてください」




