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冒険に、ついてこないでお母さん! 〜 超過保護な最強ドラゴンに育てられた息子、母親同伴で冒険者になる  作者: 茨木野
11章「最終決戦編」

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166.息子、捕まる【中編】



 カミィーナ郊外にて。


 突如出現した謎の巨大な蛇を前に、リュージは困惑した。


「あら、坊や。ごきげんよう」


「メデューサ……」


 蛇の頭にのっていたのは、先ほど真実を告げた白髪女性、メデューサだった。


「この蛇は……いったい……?」


「これは世界蛇ヨルムンガンド。この人間の世を終わらせるために作られし邪悪なる蛇よ」


「なっ!? なんだって!?」


 リュージはそこで気づく。


 ヨルムンガンドの通った後の大地が、死滅していることに。


「ひどい……」


 通った後には草1本も生えず、澄んだ空は世界蛇の出す毒によって濁っていた。


「なんでこんなことするんだっ!」


「世界をあるべき姿に戻すためよ」


「こんな惨状があるべき姿だって!? ふざけるな!」


「いいえ、ふざけていないわ。だってこの世界はベリアル様の手によって、破壊され、死の星となるはずだったのよ。それをあのドラゴンが邪魔したから、こんな醜い世界になってしまった」


「醜い……だって……?」


 メデューサは真顔でうなずいて、ゴミ山を見るような目で、無事である大地を見渡す。


「どこもかしこも生命の息吹を感じさせる……こんな醜い土地など、今すぐに壊すべきよ」


「ふざ……けるな!」


 リュージは勇者からもらった聖なる剣を取り出す。


「みんなが生きてる、この星を汚そうとするなら……僕が許さないぞ!」


 だっ……! とリュージは聖剣を携え走り出す。


 勇者の力を受け継いだリュージは、疾風のごとく走り抜ける。


 ヨルムンガンドの眼前までやってくる。


「この剣は勇者の剣……! おまえのような邪悪な存在には効果てきめんの聖なる剣だ! たぁ……!」


 がきーん!


「なっ!? どうして!?」


 聖剣ははじかれて、リュージの手から音いる。


 いそいでそれを拾い上げ、何度も世界蛇に切りつけようとする。


 がきーん!

 がきーん!

 がきーん!


「くそっ! どうして!? どうしてだよ!? なんでユートさんからもらった剣がきかないんだ!?」


 世界蛇はその巨大な尾を、リュージの横っ面めがけて降る。


「くっ……!」


 剣の腹でそれを受け止めようとするが、しかし軽々と、リュージは吹き飛ばされる。

「なんで……どうして……勇者の力を受けついただのに……」


 夢の中で見た勇者ユートの力は、こんなものではなかった。


 大地を砕き、魔王の攻撃を受けてもびくともしていなかった。


 そんな彼と同じ力を持っているはずなのに、このざまだ。


「それはね、坊や」


 メデューサがにぃ……と邪悪に笑って言う。


「あなたが勇者の力を、拒んでいるからよ」

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