158.邪竜、孫になぐさめられる【中編】
月面にて。
カルマのそばに、褐色幼女ルコがたっている。
「げんき、だせー。かるま、げんき、だせー」
ぺんぺんぺん、とルコがカルマの背中をなでる。
「げんき、でた?」
「……そうですね。うん、元気でたよ」
孫が必死になって元気づけようとしていた。
……母が心配そうにしていたからだろう。
孫を不安な気持ちにさせてどうする。
「むぅ。かるま。うそ。おまえ。げんき。ちがう」
ぷくっ、とルコが頬を膨らませる。
「そうだ。かるま。げんき。でるとこ。いこ」
「どこへ?」
ルコがカルマの腕を引っ張りあげる。
そしてふたりは、宇宙空間を移動し、地上へと戻る。
ふたりとも強力な力を持っている。
カルマは言わずもがな、ルコは魔王四天王の生まれ変わりだ。
それゆえに、宇宙空間でも生きていられたし、こうして成層圏をぶち破っても平然としてるのである。
ふたりがやってきたのは、カミィーナから離れた場所にある火山地帯だ。
「このへん。おんせん。たくさん。ある」
「温泉というかマグマなんですけどね……」
眼下では、ごぽごぽ……とマグマが沸騰している。
ルコたちは飛んでいくと、やがて山の中に、天然の露天風呂を見つけた。
「あれ。るぅ。おきにいり。おんせん」
「あなたこんなものいつの間に?」
「たまに。はいる。あそびにきて」
「まぁ、1人でこっそり来てたんですね。だめでしょう?」
「ごめんちゃい」
まあでもいいか、とカルマは気晴らしに、風呂に入ることにしたのだった。
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