157.息子、同窓会に参加する【後編】
カミィーナ冒険者ギルドにて。
リュージは級友と再会していた。
「しかしよぉ、リュージ少し見ない間に、筋肉ついたじゃんなー」
隣に座るスターチが、リュージの腕をペタペタ触る。
「前はひょろひょろだったじゃん?」
「そう、かな。自分ではあんまりわからないけど……毎日仕事してるからかな?」
冒険者としてのクエストは、主にモンスター討伐。
体力を使う仕事をこなすうちに、体格もがっしりしてきたのだろうか。
「少し見ないうちにたくましくなったねリュージくん」
イボンコがふふと笑う。
「しかし毎日仕事って、根を詰めすぎてないかい?」
「そうかな? 普通じゃない?」
「んなことねーって。みんな適度に休んでるじゃん。毎日毎日仕事じゃ気が休まらねーじゃん。なぁ?」
うんうん、と友達がうなずく。
「がんばることはいいことなんだなー。けど休むことも大切なんだなー」
「休養も仕事のウチだと私も思うよ」
イボンコは真剣な表情でリュージを見やる。
「確かに仕事は大事かも知れない。けど私たちは仕事のために生きてるんじゃない。生きるための手段として仕事をしている。無理をして体を壊しては意味が無いよ」
「適度にサボれツーことよ、な、リュージ」
スターチが肩を組んで、ニカッと笑う。
……どうやら、みんなリュージの状況が伝わっているみたいだ。
おそらくシーラが伝えのだろう。
その理由は言わずともわかる。
休まずにいたリュージに、休んでくれと伝えたかったのだ。
「ところでよー、リュージぃ~?」
ニヤニヤ笑って、スターチが顔を近づけてくる。
「その後大事なシーラちゃんと進展はあったのかよぅ?」
「し、進展って……別に普通……」
冒険者学校のとき、リュージに恋人がいることを、スターチたちには教えていた。
「じゃあもう一緒にベッドにインしたじゃん?」
「なっ!? そ、そんなことしてないよ!」
「「「えー……?」」」
つまらなそうな顔になるみんな。
「リュージくん、一緒に住んでいてそれは良くないな」
「だ、だって……できないよそういうの……」
シーラがきょとんとした顔で首をかしげる。
「何の話なのですー?」
「シーラちゃんとリュージが大人の関係になるのはいつじゃんって話じゃん?」
「おおおとおとなのかんけー!」
ぴーんっ、とシーラの耳が立つ。
「そ、それはきがはやいのですぅ~……」
しゅぅう……とシーラが顔から火を噴いて言う。
「いーや! 何言ってるんじゃん。おれらはもう大人じゃん!」
「うむ、結婚してもおかしくはない歳だ」
「挙式はいつなんだな~?」
そんなふうに、わいわいと楽しい時間を、リュージは過ごした。
ややあって。
リュージは友達と別れ、シーラと帰路につく。
「いっぱいお友達できてうれしかったのです!」
隣を歩くシーラが言う。
「あのさ……シーラ。今日はごめんね。気を遣わせちゃって」
シーラはリュージのために、イボンコたちに招集をかけてくれたのだろう。
「気にしないで。リュージくんが元気になって、しーらうれしーから!」
リュージは微笑むと、シーラの小さな手を掴む。
そして愛おしい恋人を抱きしめる。
「ありがとう、シーラ」
「えへへ♡ どーいたしまして♡」
ふたりは仲良く、並んで家に帰ったのだった。
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