表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/51

23.悪夢

 美野里みのりは押し込まれたお風呂場で克也(かつや)が貸してくれた上着と何とか無事だったズボンを脱ぐと石鹸を取り出した。

 何度も泡立てては体を洗い熱いシャワーを浴びる。

 そんなことを何度もしているうちにお湯の出し過ぎでお湯が水になってしまった。

 何をやっているのよ。

 美野里みのりは我に返るとシャワーの栓を締め浴室を出ると新しい洋服を着て廊下に出た。

 廊下に出るとそこには甘い匂いが漂っていた。

 思わずその甘い匂いに引かれダイニングの扉を開けると克也(かつや)が甘いココアとサンドイッチを用意して彼女を待っていてくれた。

「いいから食べろ。」

 美野里みのりは彼に言われるまま甘いココアとサンドイッチを口に入れた。

 いつもならもっと食べたいと思うはずなのにその時はサンドイッチを食べた途端なんでか眠くなってしまい気がついたらそこで意識がなくなっていた。


 それ以降は意識がふわふわとさっき砦で起こった彼らとのやり取りを繰り返し夢に見た。


 ちょうど夢は全員の治療を終え美野里みのりがそこを出ようと立ち上がるところから始まる。

 ”黒の書”で創られた空間で魔力を多量に使ったせいか美野里みのりは少しフラッとしてその場に倒れそうになってしまった。

 そこにいつの間にか彼女の傍に来ていた若い兵士に声を掛けられ、気がつくとあの狭い部屋にあるベッドの上にいた。

 美野里みのりは慌ててベッドから起き上がろうとするがそこにはすでに最初に彼女を連れて来た若い兵士以外にも数人の男たちがいて、彼らにベッドに抑えつけられ着ていたシャツを毟り取られた。


「や・・・やめなさい。」

 美野里みのりは強く言おうとしたが思わず震えた声を出してしまい逆に彼らを煽ってしまった。

 彼らは美野里みのりが怯えているのに気がつくと余計乱暴になって今度は彼女の小さな胸に手を伸ばしてきた。

 美野里みのりは冷静になって魔力調整をして魔法で彼らを吹っ飛ばそうとするがその時は何でかまったく魔力が練れなかった。

 魔力が練れなくてさらに焦ってしまい美野里みのりは拘束を外そうと力いっぱい暴れるがそれもまた彼らの欲情を煽ってしまいさらに拘束が強まってしまった。

 今度は相手に魔力をぶつけるのではなく前に倣った護身術で撃退しようとして身体強化魔法を自分にかけようとしたが異性に体を触られているせいでやはりそれも出来なかった。

 あまりのことにパニックなって何度も情けない声で悲鳴をあげるとそこに克也(かつや)が駆けつけてくれた。

 思わず涙目で彼を見るとすぐに美野里みのりを拘束していた男たちを殴りつけ彼女をその部屋から助け出してくれた。

 美野里みのりは部屋から連れ出され安心した瞬間、廊下で立っていられなくなって床に頽れた。

 毛布を握りしめる手も震え始めていた。

 そんな美野里みのりを見て克也(かつや)は自分が着ていた上着を脱いで彼女にそれを貸すとすぐに背負ってくれた。

 美野里みのり克也(かつや)に背負われて移動する間に何だか胸がキュンキュンしてきた。

 これが小説なんかで言われるつり橋効果いやこの場合はもう恋に落ちるというやつだろうか。

 何とも言えない気持ちが湧き上がっていた。

 だがそんな気持ちも克也(かつや)から離れるとグラついてさっき彼らにされた時の恐怖が浮かんでしまう。


 だからシェルに言われ克也(かつや)から離れて空間魔法で造られた空間に入った瞬間美野里みのりは強姦されそうになった時の恐怖心が込み上げてしまったのだ。

 そこにタイミング良く克也(かつや)が後から入って来たので美野里みのりは彼に抱き付いて泣いてしまった。

 克也(かつや)はその時も困ったような表情ながら美野里みのりの背を労わるように何度も撫でてくれた。


 その後も美野里みのり克也(かつや)から離れると不安で泣き彼に慰められて目が覚める。

 その日はそんな夜を美野里みのりは翌朝まで続けた。


 美野里みのりがやっと何も考えずに深い眠りについたのは朝日が昇って周囲が白々と明けてくる朝方近くだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ