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そして世界に竜はめぐる  作者: 美汐
第九章 宴
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宴 6

 そして晩餐会である。王宮内にある広間は、多くの列席者で賑わっていた。それぞれ自慢の衣装に身を包んで、振る舞われた料理や飲み物を手にしたり、各所でおしゃべりに興じたりしている。今日は市民にも王宮の庭園が解放されているようで、そこでもたくさんの料理や飲み物が振る舞われているらしい。


「お、これおいしそー! こっちも! へえ、晩餐会って思ってたよりいいもんだな!」


 散々ドレスのことで文句を言っていたルーフェンだったが、机の上にずらりと並べられた贅沢な料理の数々に目を輝かせている。


「まったくルーフェンは現金なんだから。食べ過ぎてあとでお腹壊してもしらないよ」


「へへーんだ。神竜がお腹なんか壊すもんか。ちょうどお腹も減ってたところだし、今日はめいっぱい食べちゃうもんねー」


 完全に色気より食い気のルーフェンである。

 その後、広間に聖王シューミラが姿を現すと、彼女は列席する人々を前にして挨拶を始めた。


「この場に集まりし諸君。此度は先日起きたこの都での戦いの勝利をねぎらうこの晩餐会に列席してくれたことを嬉しく思う」


 美しき聖王は、周囲に集まった人々を長い睫毛の下の瞳で見回し、艶やかな唇に微笑を浮かべた。


「先の戦では、みなのお陰であの強敵だった魔物のシャドーを仕留め、このエスティーアの危機を救うことができた。あらためて妾から感謝の意を述べたい。しかし、戦の結果として今回勝利をおさめることができたが、そこには少なからぬ犠牲もあったことを忘れてはならぬ。そして、そのものたちのぶんも我らは今後の戦いに向けて気を引き締めていかねばならない」


 シューミラのその言葉に、その場にいたみなが姿勢を正し、じっと聞き耳を立てていた。


「我がハザン国は、フェリア国とセイラン国と同盟を結んだ。みなのものも知っての通り、北の国ノーゼスは現在魔物に乗っ取られ、さらに我が国の領土をも侵略しようと企てている。この脅威に対抗するため、東、西、南の三国が協力しあい、北と戦っていく。今後大きな戦が待ち受けている。もうそれは避けては通れない運命だ。だが、今回勝利をおさめた我らなら、今後の戦いも勝利して乗り越えていけるに違いない」


 シューミラは一際大きな声を発した。


「諸君! 今回の戦いの勝利を祝し、さらに今後の戦いの勝利を願って」


 シューミラが、持っていた杯を上に掲げたのを合図に、みなそれぞれ杯を手にした。


「乾杯!」


 広間は一気に高揚した人々の声で沸き返ったのだった。


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