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眠れない夜に  作者: ミィ
第二章
38/74

   Burgundy (Ⅷ)

佐々木がフランスから大事に持ち帰ったのは、


バーガンディと呼ばれるブルゴーニュ地方の赤ワインだった。


説明を聞きながら一口、また一口とワインを飲んでみる。


地域によって土も違えば葡萄の品種も違う。


ワイナリーによって収穫方法や製造工程が違う。


葡萄を混ぜ合わせる割合も違うので自ずと味も違ってくる。


そういう話を聞きながら飲んでいると別のワインも飲みたくなるから

ワインに夢中になってる人の気持ちがわかると言うものだ。


佐々木は夜食用にと温めたハンバーグをあっという間にたいらげて、

その後は二人でチーズやオリーブを摘みながら、旅の話や思いつく事をだらだらと話す。


こんな夜中に飲み食いしても太らない佐々木がうらやましくなる。


佐々木は一応実家暮らしになっているが、最近はほとんどこの部屋に泊まっていること。


おかげで愛車に乗る時間が減っていて、また遠出をしたいこと。


真理亜もまた実家の話をかいつまんで話した。


学生時代には佐々木も他のクラスメイトと一緒に真理亜の実家に遊びに来たことがある。


その家を建て替えてビルにしたことなどを話すと、佐々木も興味深く聞いていた。



充分にワインを堪能した後、佐々木は真理亜を浴室に連れて行った。


一緒にシャワーを浴び、少し戯れてからベッドに移動する。


ひんやりとしたシーツがワインとシャワーで赤く火照った身体に心地よい。


佐々木が長い腕で真理亜を引き寄せると、あとはシーツが擦れる音と吐息だけの世界になった。



翌日、正午前に目を覚ました二人は、一階の店に下りて一緒に朝食を作った。


厨房で佐々木が材料やカトラリーを出している横で、

戸惑いながらも真理亜がふわふわのオムレツと厚切りのハムを焼く。


冷凍庫に入っていたパンをオーブンにいれ、焼きあがるころにはコーヒーも出来た。


小さなサラダも作ってテーブルに置くと、美味しそうな朝食の完成だ。


「真理亜が料理できるって意外だった」とフォークを手にとりながら佐々木が言う。


「ハムくらい焼けるわよ?」


「どうやったらこんなふわふわのオムレツができるんだい?」


「ん~、それは企業秘密よ」


そんな軽口を言いながら、午後はどこへ行こうということになった。


結局、遠出せずに車で10分ほどの場所にある大きなワインショップに行くことにした。



輸入ワインをいろいろ見ながらチーズの試食をし、

隣のケーキショップで普段は食べないような豪華なケーキを食べ、もう一度ワインショップに戻った。


セールになってるグラスを見つけていたのだ。


真理亜はその店でワイングラスを2個買った。


これがあれば真理亜の部屋でもワインが飲める。


丁寧に包装されているにも係らず、車の中でも緊張しながら膝の上に乗せている真理亜を見て佐々木は上機嫌だった。






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