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眠れない夜に  作者: ミィ
第二章
19/74

   ワイン (Ⅱ)

佐々木の手は真理亜の腰から脚にかけてゆっくりと往復している。


手の平の滑らかな動きに真理亜はうっとりと目を閉じた。



「先週はぜんぜん足りてない・・・」


佐々木が言おうとすることは真理亜にはわかった。


「私には充分だったけど?」


「お前が緊張してたので、時間をかけただけだ」


あの夜、真理亜は快楽に翻弄されたが、佐々木が明け方に1度しか果ててないはずだ。


ほとんど真理亜をほぐすだけのようなものだった。


同意のしるしにコクリと頷く。


「あんなじゃ駄目だ。もっとお前が欲しい」


佐々木は真理亜のうなじに唇を落とす。


そして舌で耳の外側を舐めた。


真理亜が思わず身震いするのも構わずに耳たぶを噛み、「お前にも欲しがってもらいたい」


囁きながら耳を愛撫している佐々木の昂ぶりが、真理亜の背中を突いている。


真理亜はもう一度こくりと頷いた。



身を捩って佐々木と向かい合い、湯にとっぷりと浸かっている佐々木の膝に手を置いた。


その手を佐々木の昂ぶりにそっと持っていく。


佐々木は「うっ・・・」と呻いただけで何も言わずに真理亜のしたいようにさせて、手を真理亜の胸に伸ばす。


指先や手の平でゆっくりと触られると、真理亜は自分の身体に火がついていくのがわかった。



真理亜は一度佐々木から手を離し、「ここに座って?」と浴槽の淵に手を置いた。


佐々木が真理亜の言うとおりに浴槽の淵に腰をかけると、真理亜はそこに近づいた。


やろうとしていることがわかったのだろう。


「いいのか?」と呟くように言うので、真理亜はほんの僅かに頷いて、「寒くない?」と佐々木に聞いた。


「大丈夫だ」と言った佐々木の声はかすれていた。


「上手くできないかもしれないけど・・・」そう言って手を伸ばす。


充分な手触りに満足して真理亜は舌を出した。



結局、二人ともその行為に夢中になり、佐々木は真理亜の口のなかで果てた。


佐々木が余韻に身震いをしたのを合図に、真理亜は佐々木から離れ、

彼の脚を引っ張って湯に浸かるように促した。


佐々木の肩は冷たくなっていた。


二人は湯の中でしばらく黙って抱き合っていたが、次は佐々木が真理亜を浴槽の淵に座らせて、

真理亜がふるふると首を横に振るのに構わず、脚を広げさせた。



やがてぐったりした真理亜をバスローブで包み、そのまま抱き上げて寝室に移動すると、

そっと真理亜をベッドに降ろす。


ワインをグラスに注ぎ、真理亜に無言で渡す。


目を逸らさずに真理亜はグラスを空けた。


佐々木の濃い灰色の瞳が濡れて光っているように見えた。


今度はそれほど時間をかけなかった。


真理亜がもうこれ以上は待てないという時に、佐々木は真理亜の中に入ってきた。


欲しい時に欲しい場所に収まるのはこんなに気持ちのよいものなのだと、

真理亜は熱い吐息のなかで思った。


その後のことはよくおぼえていない。


佐々木が再び果てると真理亜は闇に溶けるように目を閉じ、目が覚めるとまた手を伸ばした。


時々佐々木がワインを飲み、真理亜にも口移しで飲ませた。


朝までそれを繰り返し、最後には真理亜を背後から佐々木が抱きかかえるようにして

二人は重なって深い眠りについた。






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