妖怪の山 迷子&脱出編
「うーん………また迷ってしまった。」
河童の沢を出た私は妖怪の山の中を再び迷っていた。
「里に行きたい……けど、どっちへ行けば良いのかが分からない。困った…非常に困った。」
下手をすれば夜までこのまま。最悪の場合、野宿もありえる。
「………そうだ。ここは妖怪の山、椛や文ちゃんを探せば良いんじゃん。私ってば天才!」
…………
なーんて言ってはみたものの、もちろん簡単に見つかるはずがなく、ただ悪戯に山の中を歩くだけになってしまった。
「この際、手段は選んではいられない。いっそのこと大声で叫ぶか。」
スゥゥー!
「おーーーーーーい!誰かーーーーー!!誰かいませんかーーーーーー!!!」
……シーン………
「……こほん!」
シーン…………
「咳をしても一人。…………誰かーーーー!!」
…………
「誰かーーーー。」
うぅ……これはマズい状況。このままでは、迷ってばかりでは駄目だ。
「あっ、あれは人影!?おーーーーーーい!そこの人ーーーーー!」
?「………。」スタスタ
………………
「待ってーー!」タタタッ
?「ん?」ピタッ
「……ハァハァ…。やっ……やっと止まった。」
?「あら、天照じゃない。」
「ハァハァ……さっきから呼んでたんだけど…。」
?「そうだったかしら?それで、何か用なの?」
「そうそう。道を聞きたいんだけど、教えてもらえるかな…はたて。」
…………
はたて「それで、最後にを真っ直ぐに直進していけば、山の入口辺りに出るから。」
「ありがとー!はたてー!」ギュッ
はたて「やっ、やめなさい!まったく……アンタはスキンシップの取り方が行き過ぎてるわ。誰彼かまわず抱きつくの、止めた方が良いわよ。」
「…そうかなぁ?まぁ、今度から気をつけるよ。じゃ、私行くね。」
はたて「気をつけて行くのよ?」
「はーい!」
………
ガサッ……ガサガサ……
「ふぅー!やっと出られたーー!!」
道を教えられてから数十分後、私はようやく妖怪の山から出ることが出来た。
「さてと…里に行こうかな。」
……………
?「天照様ー。」
「あっ、妖夢。」
妖夢「どうなされたんですか?服に木の葉や木の枝がたくさん付いていますけど。」
「うん、ちょ~っとね。」
妖夢「?」
…………
妖夢「なるほど、それは大変でしたね。」
「うん。でも、早く幻想郷の地理をしっかり把握しなきゃ。いつまでも能力に頼りっ放しなのも良くないからね。ところで、今から妖夢は買い物?」
妖夢「はい、夕食と明日の朝食の材料の買い出しに。」
「そうなんだ。それなら、これから一緒に回らない?」
妖夢「天照様がよろしいのであれば、ご一緒させていただきます。」
「よしっ、じゃあ行こう。あっ!」
妖夢「どうされました?」
「妖夢にお願いがあるんだけど。」
妖夢「何でしょうか?」
「その、恥ずかしい話なんだけど私小さくなってから、幽々子の所に愚痴りに行ったでしょ?実はあれから、紫の所に戻ってないんだ。」
「昨日までは、魔理沙や早苗さんの所で寝泊まりしてたんだけど。今日は、まだ決まってなくてね。それで、もし良かったら白玉楼で泊まらせてもらえないかと思って。」
妖夢「私は大丈夫だと思いますが、幽々子様に聞いてみなければいけませんね。」
「そっかぁ。まぁ、期待はしておくよ。さてと、行こうか。」
妖夢「はい。」
つづく




