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東方天照記  作者:
74/91

お使い

朝食を済ませた私は、幽香さんに頼まれたお使いの為に里へ向かった。


「ふんふふふーん♪しゃらんらしゃらんら~♪」


お腹いっぱいで気分も最高だ。何かが有りそうな予感がする。


「食後の運動だ!走って行きますか!チェーーンジッ!」


カッ!


「わぉーーー!(行くぞー!)」


…………


ザザザッ


「わふぅ(着いたぁ)。」


カッ!


「さて、さっさと済ませて茶でも飲もうかな。えっと、お花屋さんの場所は確か………。」


………


「おっ、あったあった。」


フラワーショップ〈蕾〉 


「すいませーん。」


 はいは~い。


タタタッ

 

 あらあら、いらっしゃいアマテラスちゃん。


………


この人は坪実咲さん。


フラワーショップ〈蕾〉の店長さんであり、幽香さんと縁のある数少ない人間だ。


なんでも、小さいころ妖怪に襲われそうになった所を助けてもらい、そこから花の話などで親しくなったらしい。詳しいことは、よく分からないが。


………


「おはよう、咲さん。」


 おはよう、アマテラスちゃん。昨日、あの後は大丈夫だった?なんだか幽香、物凄い勢いで貴女を引っ張って行ったけれど。


「うん、何ともなかったよ。実は幽香さんに頼まれたんだ、これを届けて欲しいって。」


スッ


 これって、昨日もらうはずだった花の苗じゃない。どうりで探しても無いはずだわ。まったく、幽香にも困ったものね。


「あはは。それじゃ私はこれで。」


 あっ、ちょっと待って。


「ん?」


 はい、これ。少ないけどお駄賃よ。


「いっ、良いよお金なんて!私、そんなつもりでやった訳じゃないのに!」


 良いの良いの。それで、お団子でも買って頂戴。


「でっ、でも。」


 幽香には内緒よ?あの娘、けっこうこういう事にはうるさいから。


「わかった、それじゃ有り難く頂戴するよ。」


 それじゃあ今後ともウチをご贔屓に。またいつでも寄ってね、顔見せるくらいでも良いから。


「うん、それじゃあ。」


…………


「思わぬとこで意外な収入。さっきの予感はこれだったのかな……まぁ良いや、お団子食べに行こっと。」


…………


甘味処〈小豆屋〉


 いらっしゃい、ご注文は。


「黒蜜団子の抹茶セットで。」


 かしこまりました、少々お待ち下さい。


このお店〈小豆屋〉は元々、外の世界にあったという噂だ。古くから続く老舗で3代目の主人の時に、幻想郷に来たらしい。なんでも、当時の主人が能力を持っていたとかで、紫が店ごと連れてきたのだそうだ。


 お待たせしました。それでは、ごゆっくりどうぞ。


「頂きまーす。」


パクッ


「うんまいなぁ~!」


この黒蜜団子は団子が隠れるほど黒蜜をかけて、さらにその上に黄粉をまぶしたものだ。そして団子の中にも餡子が入っていて最高に甘い一品となっている。だから、コレを頼む時は抹茶とのセットでと言うのが普通らしい。ちなみに、黒蜜が沢山かかっている団子を食べると弾力の強さで口の中の蜜が飛び出すので注意が必要だ。


「やっぱり、このお店の団子は最っ高ぅだねぇ!」


パクッ


ブチュ


「あわわ。」


…………


ズズズ


「ぷはぁ。美味しかった、ご馳走さま~お代、此処に置いておくよ~。」


 あいよ~またどうぞ~。


…………


「次は何をしようかな~ 。あれ?あれは………。」


…………


?「これで、良しっと。」


「おーい。」


?「あっ、おはようございます天照様。」


「おはよう、朝から買い物とは忙しそうだね妖夢。そんなにお菓子買ってパーティーでもするの?」


妖夢「いえ、これから慧音さん達と話すことがあるんですよ。それで、お茶菓子にと思いまして。」


「へぇ~そうなんだ(珍しい組み合わせだ、気になる)。…………ねぇ、妖夢。」


妖夢「はい、何でしょう?」


「私も付いて行っても良い?」


妖夢「付いてですか?」


「絶対邪魔はしないからさ。ねっ、お願い。」パンッ


妖夢「私の一存では決めることは出来ませんが、一応行ってみますか?」


「うん。」


妖夢「わかりました、それでは行きましょう。」












                    つづく


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