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82:ディスカッションの様子

★ ☆ ★


ディスカッションというものは中々斬新ですの。

色んな人達とお話をしながら問題解決に向けた道筋を立てる。

簡単なようで難しい問題です。

ですが、オーギュスト様のグループ別の討論会は実に有意義なお話が聞けるので本当にすごいなと思いましたわ!


改革を行う上で必要な事は何か?

それは身分や階級を問わず意見を述べる環境づくりであるとオーギュスト様はおっしゃいました。

その環境を今日は十分に活かせる機会となったのです!


改革に賛同している人々ということもあってか、討論は思いのほか盛り上がりました。

オーギュスト様が討論会をするにあたってテーマを決めたのは一昨日の夕方ごろ。

「やはり国民を飢えさせたらいけないからこれだよね……」と呟きながら討論内容を纏めて机の中に保管しておりましたわ。

私にも見せなかったのは討論内容が漏れないようにするための処置だったと思います。


討論内容は『Q.大規模な火山噴火に伴う気候変動によって王国内で数年間作物が不作となった際に、起こりうる問題は何か?王国が取るべき解決策を述べよ』というものでした。


食料危機が訪れて小麦などの収穫が不作となってしまった場合に起こり得る問題と解決策。

1時間という限られた時間で問題を挙げて、それから解決策を述べるというものでした。

オーギュスト様はこれはあくまでも”仮定の話”であるので、思いついたことを言ってほしいとおっしゃっておりましたが、私からしてみると……どこか未来で起きそうな問題であると思いました。


確かに、現在のフランスでは作物は順調に生育されておりますし、ここ数年は温暖な気候であるので食料には困っておりません。

ですが、もしかしたら大規模な不作が近いうちに起こるかもしれない。

そう感じ取って今回のお題として提示したのかもしれません。


私は食べ物が食べられない生活を考えました。

王妃として、そしてウィーンでは何不自由なく食事にありつけました。

しかし、もし私が貧しい者であり、明日の食事すら悩んで考えるほどであったとしたら。

食料不足によって値段が高くなって手が付けられない事態になったらどうするか……。

恐らく、生きるために止む無く食べ物を備蓄している店などに押し入ってしまうかもしれません。


(生きるため、仕方なく襲う……。考えられますわね……)


私はその事を思いついて早速挙手をしてオーギュスト様に意見を述べましたわ。

食料不足によって配給がなされない場合、生きるために食料を奪う。

考えただけでも恐ろしい考えなのは分かっております。

ですが、人間はいざとなれば何でも起こしてしまうでしょう。


オーギュスト様は私同様に、治安の悪化を危惧していたようです。

他にも私達のグループで討論を行ったベズー氏も、治安の悪化から発展して内戦状態に突入する可能性も訴えておりましたわ。

内戦……同じ国民同士での殺し合い。

ゾッとするような考えですが、政府の管理が行き届か無くなれば秩序が混乱するでしょう。

その混乱に乗じて国家に反逆の意志を示す者が現れても不思議ではありません。


他にもバイイ氏は気候変動による連鎖的な伝染病の蔓延や災害の発生、ロメニー氏は食料を巡って周辺国との戦争になる危険性を提示していました。

どれも実際に起こりそうな問題ではあります。


こうしてまとめられた問題点を挙げた上での解決策。

残り時間30分を切ったところで解決策の方に進みました。

その中でも盛り上がったのはベズー氏が述べた「寒さに強い大麦・ライ麦の栽培拡大」並びに、私が取り上げた「燻製のお肉やお魚を長期間保管する施設の建設」でした。


ベズー氏の大麦・ライ麦の栽培を拡大し、気候変動で寒くなっても育てやすい作物に切り替えて栽培するのが良い案だと思いました。

私の母国であるオーストリアでもアルプス山脈周辺では大麦やライ麦を中心に育成を行っておりますの。

こうした作物は小麦に比べたら味は落ちてしまうかもしれませんが、ライ麦パンは噛み応えがあって濃厚な味になります。


オーストリアでよく食べられている一般的なパンですが、フランスでは小麦パンが有名ですね。

柔らかくてふんわりとした食感がたまりませんわ!

オーギュスト様が作ってくださる柔らかいパンを使ったサンドイッチなどが私好みではあります!

オーギュスト様も大麦・ライ麦の育成や、以前お話していたジャガイモの栽培なども拡大したほうが良いかもしれないとおっしゃっておりました。

討論会が終わる3分前に、オーギュスト様からライ麦パンの味について聞かれましたの。


「アントワネット、オーストリアのライ麦パンはどんな味かな?まだ食べたことがないから分からないのだけど……」

「そうですね……小麦に比べたら固いのと味が独特ですの。この辺りでは小麦で作ったパンが主流ですので、最初は少しずつ食べたほうがよろしいかと思います」

「なるほど、独特な味わいか……今度オーストリアから取り寄せてみようかな。ライ麦パンの美味しい食べ方という本でも出せばライ麦や大麦を食べてくれる人が増えるだろうし」

「まぁ、とってもいい考えだと思いますわ!」

「味付けの監修は任せるよアントワネット」

「はい!お任せください!」


その後、無事に討論会は閉会となりそのまま皆さんと一緒にお昼ご飯を食べることになりましたの。

お昼ご飯は王立試験農場で収穫されたジャガイモを使ったジャガイモの豚肉ソース包みとジャガイモのバター焼きという庶民料理です。

ヴェルサイユ宮殿の近くにあった酒場の店主が考案したメニューということですが、素朴ながらも味わい深い味付けとなっており、皆さんも美味しそうに食べておりました。


こうして様々な方々と身近に接するという機会も非常に大切だと実感しました。

ヴェルサイユ宮殿で、色んな人々と接するのは良い機会です。

オーギュスト様はオーギュスト様で様々な問題に取り組みながら色んな人と接しておりますが、私もオーギュスト様に負けないように、様々な人と会話をして接していこうと思ったのでした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 連日更新していて作品の更新が早いこと。 史実と違ってこのアントワネット王妃は勉学に励んで次期王妃となる己を磨いてきたので誇りと余裕を持ちつつも民衆を深く思いやれる女性になりましたね。 あ…
[気になる点] 改革派にユダヤ人(ユダヤ教)がいるなら豚肉は駄目じゃ? ユダヤ教徒には他の料理を出してるなら良いですが下手すると喧嘩売ってると取られかねないかと(; ・`д・´)
[一言]  更新、お疲れ様です。  流石、エスターライヒ女大公陛下のご息女ですね。 ちゃんと勉強しているおかげか、まともと言っては変ですが 普通に物事を考える事も出来るようになったみたいですね。 陛…
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