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1062:ツーリスト

まずスペイン側からの報告だったが、国内のタカ派だった連中に資金提供をして美女や屋敷などを買い与えていた複数の人物がいたことが判明した。

彼らは国内の引き締めてと称して奴隷制度の継続を訴えていたり、もしくは北米複合産業共同体との戦争に対して異議を申し立てるなどをしていたが、これらのタカ派の連中に対して資金提供をしていた人物の多くが民間からの出資者であり、さらに出資者の中には北米複合産業共同体との戦争が始まるまえに北米との貿易で財を成した人物が多く存在していたのである。


そして、これらの出資者の多くが北米複合産業共同体との関わりを持っていた人物であり、中にはスパイとして出資者を装っていた事例も発覚し、今現在タカ派の一斉摘発に乗り出しているという。

主にスペイン側にとってメキシコへの圧力を強めて現地民との軋轢を生んでいた根源でもあるため、これらの人物に対する処分なども大掛かりなものになっているそうだ。


「主にマドリードなどで貴族や富裕層を中心に高級品などを取り使っていた商人などが情報提供を行ったことで発覚したのですが、タカ派の人物たちに支援金などを通じて、北米複合産業共同体に有利になるように工作をしていた者達が複数名いたことが判明しており、彼らはマヌエル・ドゴイの関係者であり、宰相であるフロリダブランカ伯を失脚させるべく、数々のスキャンダルを考えていたようです。その一例としてタカ派を嗾けて宰相が国王を害する行為を行ったと宣告して国王を自分たちの都合の良い人物に置き換えて傀儡化と欧州協定機構からの離脱を目論んでいたことも判明しております」

「マヌエル・ドゴイ……確か、国王の政治に口を挟んで王妃と共謀していた者だったな?」

「はい、お恥ずかしながら……我が国における重大なスキャンダルを引き起こした人物でもあります。王妃と共謀し、国内におけるタカ派を主導して国王の権限を支配しようと目論んでいたことが発覚し、かつ王妃との間に出来た子供までいたことが判明しております。子供に関しては公の場に出ることはできないため、その子供のみ修道院に送られる事態となりました。タカ派においてマヌエル・ドゴイの考え方を重視する者が多く、一部では宰相であるフロリダブランカ伯への攻撃を行おうと暗殺計画もあった程です」


マヌエル・ドゴイ……史実でも、彼は当時のスペイン国王であったカルロス4世に対して政治的権限を掌握して権威を振るっていた人物でも知られている。

これに拍車を掛けたのが、マヌエル・ドゴイと親しかった王妃が結託し政治的権限を意のままに操っていたことだろう。


しかし、この世界ではマヌエル・ドゴイが完全に政治的権限を掌握する前に、フロリダブランカ伯が王妃とマヌエル・ドゴイが不倫をしていたことを突き止めて、彼を失脚させて王妃を追放させることに成功している。なにせ、この時代において王族……それも女性の浮気というのは許されるものではなかった。

男性王族の浮気に関しては『自分の子孫を残すことに箔が付く上に、こうした子供は生活の保障などが確約されたことで、女性側にとってもメリットがあった』ことでも知られている。

あのルイ15世に至っては多くの愛妾を持っていたし、実際に子供も産んで王位継承こそないものの、非嫡出子として国から口止め料としてそれ相応の金額をもらっていたのも把握している。


だが、王族の女性が浮気をして……子供まで授かっていたとなれば王室の沽券に関わる事案であることは明白である。

特にこの時代は厳格に処分されることが多く、良くて追放や幽閉、最悪の場合は死刑なども行われることもあったのだ。

カルロス4世は元々女性関係は大人しい人物であったが、王妃との間にマヌエル・ドゴイが関係を持っていただけでなく、自分の子供だと思っていた一人がマヌエル・ドゴイとの間に出来た子供だと知ると、ショックのあまり寝込んでしまったそうだ。


「マヌエル・ドゴイ氏は宰相のフロリダブランカ伯を恨んでいたとされております。既にマヌエル・ドゴイ氏は国王陛下を誑かしただけでなく、王妃との不倫関係にあったことを裁判で重罪と判断されて処刑されております。しかしながら……彼の作った人脈はいまだ健在であり、これらの人物の中に北米複合産業共同体との関わりを持っていた者が複数名いたことが判明しております。そして、これらの人物が北米複合産業共同体のスパイを通じて宰相の暗殺を計画し、寸での所で阻止された事例があったのです。故に、出資者を洗い出してマドリードなどで活躍していた財界人の一部の摘発を行ったのです」

「財界人の中でも影響力のある人物がこれらの事案に関わっていたという事ですか……」

「恐れながら……特に、タカ派への出資者の中にはマドリードの中央銀行出身者も含まれており、政治的な思想に基づいて彼らの支援をスパイを通じて行われていたことが確認されております」


北米複合産業共同体のスパイは、戦争前に第三国を経由して多くのスパイを送り込んでいたようだ。

特に、スペインやプロイセン王国といった国々に関しては戦争であったり国内のハト派とタカ派による政治権力闘争があったこともあり、潜り込みやすかったのだろう。

政治抗争に負けて処刑されたマヌエル・ドゴイ氏も、処刑前に北米複合産業共同体との関係を構築していたらしく、その関係が継続していて派閥が解散する事態になってもなお、北米複合産業共同体はスパイを通じて焚きつけることを辞めなかったようだ。


メキシコへの産業を投資する目的で、財界人の多くに投資を呼びかけており、これらの多くでマヌエル・ドゴイ氏に付き従っていた派閥で冷遇されていた人物たちに、配当の利回りが高い会社などを紹介したりして、金を荒稼ぎしていたようだ。

北米複合産業共同体にとって、経済基盤に浸食するやり方でスパイを増やす方法はプロイセン王国でも実践していたようだが、戦争に敗れたことによりこれらのスパイ網が半壊、生き残ったスパイの多くはスリーパーとして待機して薔薇十字団の残党と手を組むか、まだスパイ網が機能しているスペインに逃げ延びており、その者達が活動資金として溜め込んでいた金を使い、政権転覆に向けた動きを画策していたそうだ。


マヌエル・ドゴイ氏の謳っていたタカ派の政治家によるメキシコ再侵攻かつ非白人層に対する強硬姿勢を摂ることにより、メキシコへの動乱と北米複合産業共同体による軍事侵攻と合わせて混乱を引き起こそうと画策し、そのために複数の高級軍人などを色仕掛け等にハメて寝返るように脅しを仕掛けていたようだ。


これらの事態はスペイン側からの派遣要請によって派遣された国土管理局の諜報員によって察知され、彼らの計画は水泡に帰した。

また、体制転換を願ってタカ派の政治家に資金提供を行っていた財界人のうち、北米複合産業共同体のスパイと繋がっていた者に関しても順次摘発が進んでいるという。


スペインにとっても、今回の事案はかなり根気のいる摘発になりそうだ……。

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