母
短めです、すいません。
【愚者】を使ってレイアたちの気配を探りながら進んでいくと、屋敷の離れへとたどり着いた。
中には五人の気配があり、出ていった三人とレイアの母親以外にも誰か知らない人物がいることが分かる。
しかし中から感じる気配に険悪な雰囲気はないため、敵ではないのだろう。
ノックをすると中から知らない女性の声が返ってくる。
「どなたでしょうか?」
「中にいるレイアとサリアの仲間です、用が済みましたのでレイアの母上にご挨拶に参りました」
俺がそういうと扉が開き、部屋の中の様子が目に入る。
先に来ていた三人の他には、ベットに横になっているレイアやクラウドと同じ髪と目の色をした女性と扉を開けているメイドさんがいた。
「こちらへどうぞ」
メイドさんに促されて、ベットのそばに置かれていたソファーに座る。
ソファーは向かい合うようにして置かれており、俺の隣にサリア、向かいにレイアが座り、レイアの隣にはクラウドが座っている。
メイドさんは女性の隣に控えている、部屋に入った時から感じていたが、このメイドの女性はただのメイドではないと思う。
動くときに足音がせず、ついさん付けで呼んでしまう雰囲気を、ふとした瞬間に感じる。
とりあえずメイドさんのことは気にしない様にして、レイアの母親に挨拶をする。
「初めまして、私はヤコウと申します。レイアとサリアとは共に傭兵をしています。このたびはお騒がせして申し訳ありません」
俺があいさつと、後悔はしていないが騒ぎを起こしたことの謝罪をする。
レイアの母親は、娘に似た微笑みを浮かべて返事をする。
「初めましてヤコウさん、私はレスティアと言います。そして夫のことは気にしないでください、何が起こったのかは先ほど三人に聞きましたが、完全に自業自得です。レイアを奴隷にしたことは私も怒っていますし、最上級吸血鬼になったことで傲慢になったあの人のことはすでに見限っていますから」
どうやらジルドレは、昔はいい領主であったが進化して力が上がるとともに、今の様になったそうだ。
そしてレスティアさんはそんな夫を見限り、既に生まれていたレイアとクラウドを育てる事に努めていたという。
相変わらず微笑みを浮かべ、そのようなことを言ってのける様子に俺は冷や汗をかきそうになっていると、レスティアさんは俺を追い込むようなことを口にする。
「ヤコウさんもレイアやサリアさんに見捨てられない様に、気を付けなければいけませんよ」
「なっ!」
「母上、ご主人様は力に溺れるようなことはありません!」
「そうですよ。それに溺れかけるようなことがあれば、私やレイアさんで無理やりにでも止めて見せます!」
俺が二人との関係を既に知られていることに驚愕している中、レイアとサリアがすぐに声をあげる。
どうやら二人が話していたようだ。
よく考えてみれば、サリアに俺たちの説明をしておいてくれと頼んでいたが、まさかそのことまで言っているとは思わなかった。
これから話すつもりでいたが、既に知られているのなら早く言わなければならないことがある。
「既に聞いているようですが、二人とは気持ちを確かめあって結ばれています。レスティアさんの言葉通り、二人に見捨てられることのない様にしていきます」
俺の言葉を聞きレスティアさんは満足そうに頷く。
「レイアをよろしくねヤコウさん、サリアさんのこともレイアと同じくらい大切にしてくださいね。そして二人はヤコウさんをしっかりと支えなさい」
レスティアさんの言葉を俺たちはしっかりと心に刻む。
クラウドもさっきの戦闘や俺と姉の思いを聞いて納得しているようだ。
この後は様々なことを話してから、屋敷を後にする。
俺たちを止める者もいなかったので何事もなく宿に着いた。
その晩は、久しぶりに二人と思いを確かめあってから眠りについた。
翌日になり、旅で消耗したものをそろえた後に、新しい情報はないか確かめにギルドに向かう。
ここまでは領主たちが何かしてくることもなかった。
第一夫人が何かしてくるかとも、予想していたが思い過ごしのようだ。
ギルドに着くと多くの傭兵がいた。
首都にでも居なければ俺を知る者はいないので、レイアやサリア目当てに俺に絡んでくるものもいたが、全員床へと顔面から叩き付けておいた。
カウンターに向かい、情報を聞こうと思ったときに一人の兵士がギルドに駆け込んできた。
そして、その兵士によって衝撃の情報がもたらされた。
アンデットのドラゴンが現れて、領主の私兵が全滅したという情報が
兵士によってもたらされた衝撃の情報への対応は
夜行でも母にはかないません。
そしてレスティアはある意味、夜行よりも恐ろしいですね(笑)
昨日から急に、評価やアクセス数が増えていたので驚きました。




