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【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版  作者: 櫛田こころ
第十八章 バカンスも終わって
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588.懐かしのパンツェロッティを-②

お待たせ致しましたー



「ふゅーう!(美味しい!! 美味しいよぉ!!)」



 クラウは予想通りにばくばくと食べ進めていくから、顔やお腹がソースまみれ。あとで洗浄の魔術をかけなきゃいけないが、セヴィルさんがやってくれることになった。僕はまだまだ練習中だからね。


 僕とセヴィルさんもそれぞれ紙に包んだパンツェロッティを持ち、ひと口食べたんだけど。


 こっちの世界に来て作った中で、一番に美味しいんじゃないかってくらいの出来だった。


 サクサク加減とか、ソースとの絡み具合が!!


 チーズとの相性も抜群だ……美味し過ぎて、クラウみたいにばくばく食べ進めちゃった。



「たしかに美味い。あの時と同じくらいに」

「あの時?」

「俺が本当に最初の『ピッツァ』を口にした時だ。蒼の世界でお前に会った」

「え。僕の揚げピザがですか?」

「それに近い味に感じるんだ」

「……きょ、恐縮です」



 子どもの拙い料理なのに、同じような懐かしさを感じてくださるだなんて……本当に素敵な人だ。どんどん好きになっていく。


 僕はあの頃の記憶は、フィルドさんに戻してもらったからなんとか覚えている程度なのに……セヴィルさんは細部まで覚えているんだもん。すごいよ。



「出来れば、夕餉も食べたいな」

「いいんですか?」

「いつもの食事もいいが、カティアと共にいる間は……共に作りたい。この味を独り占めしたいのもあるが」

「! はい!」



 セヴィルさんの欲望がひとつじゃないのが嬉しい。


 触れ合いだけでなく、『僕』と関わるすべてを愛おしく思ってくださることが。


 なので、夜はどんな具材にしようか話し合っているたんだけど、クラウのように少し眠たくなってきて。


 三人でいっしょに寝ようと言うことになり、僕の部屋の大きなベッドで川の字になるように寝たのだった。



(ふふ。アボカドと冷凍のヴィラカダ使って……)



 とか、夢でもパンツェロッティの中身を考えまくるだなんて、我ながら色気のない女だ。


 セヴィルさんから迫られていないのをいいことに、普段通りに過ごそうとしてるんだもん。婚約をきちんとしたけど、以前とキスやハグ以外普通……だから?


 なんか、圧が急にかかってきたぞ?


 寝ているのに重みを感じ、体のあちこちがふわふわあったかい感じがした。


 これはまさか……とちょっと目を開ければ。


 セヴィルさんが僕を抱きしめるだけでなく、上に乗っていたのですん!?



(これは……これは何事!?)



 セヴィルさん、お腹も満たされて……まさか、エネルギーチャージ出来たから本命を実行しているのでしょうか!?

次回は木曜日〜

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