273.熱々天津炒飯-③(レストラーゼ視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(レストラーゼ視点)
さてさて、カティアちゃんが作る『テンシンチャーハン』とはどんなものかのお?
前に居たらしい『蒼の世界』の馳走……。フィーにも幾度か教わったが、この幼児の見た目でしかない女の子の知識はどれだけ豊富か。
元から料理人であったようじゃから、儂の知らぬ料理が毎回毎回出てくる程じゃ。
ティラミス以来じゃが、得意料理であるピッツァというものはまだ口に出来ておらぬ。今日はそれではないらしいが、とても美味なるものを教えてくれるそうじゃ。
とりあえず、ラディンにも変幻しようとも思ったが……あとあと面倒なのでやめにしておいた。それよりも、今回は炊いたウルス米を炒める工程が必要らしい。
ならば、儂の出番じゃとマリウスに深めのフライパンを用意してもらい、熱してからまずは。
「ライドオイルを熱したら……溶いた卵をすぐに入れてください。その後、間髪いれずにウルス米を!」
「ほう? こちらにも卵を使うのかの?」
言われたとおりに炒めると、すぐに卵が固まってくるので木ベラでささっと炒めていく。ウルス米に卵が絡んで、いささか黄金色にも見えなくもない。
「次に僕がいれていく材料をさっと炒める感じで。ほとんど火が通っている食材だからです」
ヴィラカダの刻んだもの。
加えて、ハムも刻んだもの。
あと、ポワロの刻んだものもあったがそれは仕上げじゃそうな?
「ところで、フィーはさっきから何をしとるんじゃ??」
儂の隣のコンロで、フィーは少し小ぶりの鍋の中身が沸騰するのを待っておった。
「カティアが、それにかけるソースをお願いされたんだよ?」
「む? ソースにしては量が多いような??」
「炒めた炒飯を、少し深めのお皿に盛り付けて、さらにオムレツのように焼いたトロトロの卵……仕上げにフィーさんにお願いしている『あんかけ』をたっぷりかけます」
「ふむ。……興味深い」
スープのように沈めたウルス米を食す。
本当に……蒼の世界は不思議な食文化が多い。この小さな身体にはまだまだ隠されているようじゃが。……今日来て良かったわい。
もちろん、ティナさん達にも成功したら振る舞うつもりじゃ!!
「ポワロを入れて。味付けは、タンシャとサイソースを少々」
カティアちゃんが調味料を入れて、儂が炒めた後に全員で味見すると……思った以上の旨味と少々のコクが合わさった不思議な味付けになっておった。タンシャをこう使うとは!?
そして人数分、そのチャーハンと言うのが出来たら……スープ用の椀にカティアちゃんがチャーハンを詰めていき、盛り付け用の皿にポンとひっくり返せば……半円の可愛らしい見た目になったわい。
「ここに、オムレツみたいに卵を載せるんです!」
「ふむ。それは任せるのじゃ!!」
包む必要がない卵を焼くのであれば、美しくかつトロトロに仕上げてぽんぽんと各皿に載せていく。
その後に、カティアちゃんはフィーの方に行って何か粉を溶かしたような水を少量ずつ鍋に入れて、レードルでかき混ぜていった。
「……うん。味付け良し! レストラーゼさん、これであんかけ完了です!」
「……この半透明なスープがか?」
じゃが、レードルから軽くすくい上げると……儂の知るソース以上にとろみがあり、スープとはまるで別物だったわい。
次回は土曜日〜




