表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
顔だけ王子の奴隷は卒業します!~私も運命の恋人を見つけましたので、お構いなく~  作者: ひよこ1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/82

不審者と椿の花

煌びやかに飾られた謁見の間の前には、多くの人々が詰めかけていた。

中央に据えられた玉座には皇帝と皇后が座しているのだが、その手前にいつもと違い皇太子と皇太子の婚約者の席がある。

貴族以外の商人や、客人などが両陛下に挨拶した後で、皇太子にも寿ぎを紡ぎ贈物をする為だ。

いつも以上に警備は厳しく、いつも以上に華やかに飾られた謁見の間で、メグレンとリリアヴェルは仲睦まじく並んで座っている。

普通なら疲れが過る時間を過ぎても、リリアヴェルは穏やかな笑みを見せ、相手の国の言葉が話せれば直接、二言三言を返して客人を喜ばせていた。

目が合えば、メグレンにも何時もの可愛らしい微笑みも忘れない。

メグレンの方も片時も離すまいとするように、リリアヴェルの肘掛けに置かれた手の上に武骨な手を重ねていた。

誰からも二人の熱愛ぶりは明らかなくらいに、幸せな空気を纏っている。


そんな中、奇妙で雑多な一団が現れて、空気がぴりりと緊張に震えた。

この帝国と勢力を二分すると言われるゲルガン帝国の、大商人アイガーが登場したのだ。

奇妙な仮面をつけた色とりどりの服を着た旅芸人や曲芸師が、持ち技を披露しながら、商人の一団の後に続く。

新しい珍客に興味をそそられる者もいれば、眉を顰める者もいた。

ざわりと毛を逆立てる獣のように、騎士達はその集団に注視している。


「メグレン皇太子殿下のご婚約、誠に御目出度く存じます」


皇帝と皇后への挨拶の後で、大仰にメグレンに向けても挨拶をしたアイガーは幾つもの貢ぎ物を運ばせてくる。

受け取るのは側仕えの従僕達の仕事だが、貢ぎ物を運んできた男の中にふと、リリアヴェルは見知った顔を見たような気がした。


どこかでお会いしたかしら?


不思議に思って見つめていたが、王国での公式の場では会った事がないと断言できる。

学園でも、私的な場でも、思い当たらない。


だとすれば、帝国に来てから?

でも身近に仕えて下さる方以外で顔を合わせた事は…


と記憶を探れば、一人だけ不審な人物として脳裏に浮かんだのである。

庭師。

弱弱しい微笑みを浮かべていた青年で、纏っている雰囲気も色彩もまるで違うのに、何故かそうだと思った。

だが、断言は出来ない。

今、不用意な一言を言えば、両国の問題に発展しかねないからだ。


それでも、メグレン様にはそれとなく伝えなくてはならないわ。


リリアヴェルはゲルガン帝国語で流暢に語りかけた。


「皆様、今、椿カメリアの花が見頃なのをご存知でして?貴国では縁起の悪い花とされているようですので、どうか、帰路にはお気をつけて」


リリアヴェルの意図に気づいたのか、僅かにぴくりとメグレンの指が動き、リリアヴェルは穏やかな微笑みの下で安堵した。


春の妖精の如く暖かな微笑みで伝えられた言葉は、普通に聞けば帰路を気遣った言葉である。

だが、死刑宣告のような毒を孕んだ言葉とも取れなくもない。

大商人アイガーは目を細めてニヤリと笑い、謎の青年は呵々と笑い出した。

その途端、はらりとヴェールが剥がれ落ちるように、謎の青年の本来の色彩が現れる。

魔女が使う様な目くらましの術だ。

黒みを帯びた金の髪に、炎のような赤々とした瞳、ゲルガン帝国の王族の色彩いろだった。

食欲戻ってきました!色々なレシピを短編コメントで頂いて、感謝の舞を捧げるひよこ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
はっ!? 最近忘れぎみだった、リリたん極才女の片鱗が見事にッ!?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ