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残された者達
静寂が魔王城の一室を支配していた。
コトブキも大魔王も消え、残ったのは傷ついた徹と使、万全な優子と冬馬と烈。
「これは寝ている場合ではなくなったな……」
そう言って、徹が傷口を押さえて立ち上がる。
そして、少しふらついたが体勢を整えた。
「徹、無理しないで! 重症だよ!」
優子が言う。
「コトブキ一人にいい格好はさせられんさ」
徹は冗談めかして言う。
「まったくだ」
冬馬も言う。
「傷口の一次処理完了。支障なく動けます」
使が立ち上がる。
口ではそう言っているが、やはりふらついている。
「行きましょう。琴谷君を助けに」
使の言葉に、一同目を丸くしたが、すぐに頷いた。
続く




