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動機

「膝が震えてるわよ、はじめ」


 純子がからかうように言う。


「お前は全身だけどな」


 憮然とした表情ではじめは返す。


「ここは俺に任せておけ。前衛系のホルダーは俺だ」


「私だって散々この戦いでは前線で戦った。コツはちょっとは掴んだ」


「ちょっとやそっとで勝てる相手と思うか? あれが」


 ジエンドは徹の攻撃を素早く弾きながら前進を続けている。

 間もなく、はじめ達の前にたどり着くだろう。


「どきなさい、二人共」


 そうゆったりした口調で言ったのは、優子だ。

 覚悟のこもった声色に聞こえた。


「切り札を切る時が来たようです」


「けど、優子先輩……!」


 優子は聖女のホルダー。補助のスペシャリストだ。

 しかし、近接戦闘のプロフェッショナルではない。


「私なら大丈夫。心配しないで」


 そう言って、優子は微笑んで、前に出た。

 その時のことだった。

 優子とジエンドの間に、コトブキが降り立った。


「ジエンド。お前は聖獣のホルダー同士のぶつかり合いによって起こる次元の切れ目を利用して現界した。そうだな?」


 ジエンドが動きを止める。


「そうです。流石は琴谷様。聡明だ」


「そのタイミングを測るにもかなりの時間を要したはずだ。何故そこまでして現界に拘った?」


「それは簡単です」


 ジエンドは微笑む。

 まさに悪魔の笑みだった。


「琴谷様を魔界の王子としてお迎えするためです」


 空気が凍った。

 誰もなにも発せず、動けず、ただジエンドの言葉の続きを待った。



続く

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