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夢の中で見たような

 蝉が鳴いている。

 変な朝だった。

 蒸し暑くて眠りが浅かったからそう思うのかもしれない。


 もう、季節は夏休みに入った。

 徹は、眠り続けている。

 大会は近い。生徒会メンバーは使を除いて皆不安がっているのが現状だ。


 変な朝だった。

 まるで、この朝が来るのを知っていたかのような。

 変な既視感が僕の中にある。

 なにかが、起こる気がしていた。

 しかし、それがなにかがわからない。


 けど、予感とは外れるものなのか、朝食の時間は穏やかに過ぎ、優子が迎えにやってきた。


「コトブキー、部活いくよー」


「はーい、今行く」

 

 おかしいなと思いつつ、カバン片手に家を出る。


「変だなあ」


「なにがさ」


 優子が妙なものでも見るような目で言う。


「今日はなにかが起きそうな気がしていたんだ」


「……それは聖獣のカードの見せる予知?」


 僕は気まずい思いで黙り込む。


「いや、僕のなんとなくの予感」


 やっとのことで出てきた言葉は弱々しかった。


「なんだ」


 優子は呆れたように言う。


「そもそもね、コトブキはちょっとマイナス思考過ぎるんだよ。人間界にもうコトブキに勝てる相手なんて数えるほどしかいないんじゃないかなあ」


「かねえ」


「それだけ強くて自信が伴わないなんて逆に才能だよ。コトブキ病」


「そうかなあ」


「そうだよ。実際なにも起きてないでしょ」


「いや、起きたよ」


 僕は達観したような思いでいた。

 僕は知っていた。

 その場所にそれが現れることを知っていた。

 感覚? 予感? わからない。

 わからないけど知っていたのだ。


 住宅街の中央にワープゲートが現れていた。



続く

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