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第9話 命を取られないだけ、マシだと思いませんとね?


ミーシェの腹黒が発揮‼︎

まぁ、リオンの娘ですからねwww


よろしくどうぞ‼︎






《精霊と乙女と愛のワルツ3》のシナリオは至って簡単。



異世界から《精霊姫》が来て、攻略対象達とイチャイチャし……どのルートでも攻略対象の婚約者になっている悪役令嬢はそれに嫉妬し、闇の力に飲まれて《魔王》になる。

そんな魔王をヒロインと攻略対象の愛の力で倒し、ヒロインと攻略対象が結ばれてハッピーエンド。




そもそもの話、政略結婚の可能性もあるし、本当に好きかどうかも分からないのに……嫉妬するってちょっと微妙です。

というか、ミーシェはそこまで馬鹿じゃないので……自分という婚約者がいるのに他の女に現を抜かした攻略対象の方が不利だって分かってるから、何も行動しないと思うんですよね、

まぁ、俗に言うご都合主義というヤツなんでしょう。



今まで黙って話を聞いていたミーシェは、真剣な眼差しで母上を見つめました。


「シエラおば様」

「何かしら?」

「確か、この世界にそのゲームの強制力は存在しないんですよね?」

「えぇ」


僕とミーシェに〝もしも〟があればと、母上達は僕達に乙女ゲームの話を聞いています。

だから、ミーシェは自身の悪役令嬢という立場がどんなものなのかを把握して、今後どう動くかを考えているのでしょう。


「じゃなければ、私とルインだって結婚していないだろうし……リオン様とノエルちゃんも結婚していないはずだわ」

「なら、ひとまずコレの話は気にしなくて良いってことですよね?」

「……………えぇ…そう、ね?」


ミーシェはにっこりと、綺麗な顔でありながら……邪悪な笑みを浮かべます。

彼女のいつもと違う雰囲気に、母上はちょっと困惑気味で。

僕はその綺麗な顔の下で策略を巡らせているだろう彼女に恍惚とした笑みを向けました。



「なら、まず……コレを手下にしましょう」



「……………へ?」


ロイゼルはミーシェの言葉に固まります。

ですが、彼女は怪訝な顔をしました。


「何惚けてるんです?貴方が私を悪役令嬢と言ったんでしょう?だったら貴方の望み通りの行動を取ってあげます。人を害する悪い女になればいいんでしょう?」

「……………え?えぇっ⁉︎」

「まぁ、私が害するのはルーク様だけですけどね?」


色っぽい笑みはまさに悪の華。

僕は鼻血が出そうになったので、慌てて鼻を押さえました。


「ゲームの強制力がないなら、ひとまずそのヒロインのことは気にしなくていいはずです。ヒロインが現れたところで、それまでにルーク様を首っ丈にしとけば良いだけの話ですから」

「………ぐふっ……もぅ首っ丈ですっ……」

「もっとですよ?もっともっと、私なしじゃ生きていけないくらいに、手の平の上で転がしてあげます」


ミーシェは微笑みながら僕の頬を撫でます。



あぁぁぁぁ……ミーシェが色っぽい‼︎

最近、可愛いだけじゃないのがこれまた最高ですっ‼︎



僕は蕩けそうな気持ちになりながら、ミーシェの手の甲にキスをしました。


「じゃあ、君だけに染めて下さい。骨の髄まで君で犯して下さい」

「うふふふっ……良い子ですね。大丈夫です……もし、ルーク様が他の女のモノになってしまうんなら………」



ゾワリッ……。



背筋が凍りそうなほどの寒気。

琥珀色の瞳はハイライトが消えていて、ゆらゆらと仄暗い光が宿っていて。

ミーシェは、そんな顔で微笑みました。



「私だけの、ルーク様にしてあげますよ?」



……うん、結構規格外な僕が寒気を感じるって凄いです。

でも、そんだけミーシェが僕のことを愛してくれてるってことで。

あぁ……凄い、幸せ………。


「じゃあ、もしミーシェが僕以外のモノになってしまいそうになったら、僕が君を壊して、犯して、僕だけの世界に閉じ込めてあげますね?」

「…………あぁ……それは、とんでもなく幸せです……」


互いに微笑み合い、額を擦り付けあう。

父上と母上はそんな僕達を見て「ヤンデレカップルだ」とか「あら?なんでミーシェちゃんもヤンデレってるのかしら?」とか首を傾げてますけど、ヤンデレが育てたようなもんだからです。


「………ぇ……えぇ……おれが言ったから悪役令嬢に……?というか……ヤンデレ……悪役令嬢ってヤンデレじゃなかったよな……?」


そして、ロイゼルは愕然としながらブツブツと何かを呟いていて。

さっき、ミーシェがロイゼルの言葉で悪役令嬢になってやると言ったので、彼は自分の言葉が悪役令嬢になった原因になってしまったとか勘違いしてるっぽいですね。

というか、ヤンデレに驚いてるってことは乙女ゲームのミーシェはヤンデレじゃなかったみたいです。

まぁとにかく……彼は精神年齢大人(前世+今世)なはずなのに馬鹿っぽそうなので、自分が原因だと責任を感じて、手下になって素直に従いそうですね(笑)。



「あぁ……とにかく、話を戻します。私はいらないんですけど……誰かこの中でコレを使う予定のある方はいますか?」



「「………………」」


父上と母上は、ヤンデレミーシェだけでなく腹黒ミーシェも見てしまい狼狽しているようで。

そして、恐る恐る僕の方を見ました。

僕は満面な笑みで答えます。


「知ってますよ?ミーシェは腹黒さんです」

「あ、知ってたのか……」

「可愛いでしょう?」

「………ルークが満足してるなら良いと思うわ……」


ちょっと親としては不安かもしれませんが、特殊なカップルだと思って下さい。

というか、両親も特殊な夫婦ですから、心配しないで下さい。


「あ、ミーシェ。ソレ、僕が調教して、ヒロインが出現した場合にけしかけます」

「ひぃっ⁉︎」

「あ、分かりました‼︎」


ロイゼルは顔面蒼白になりますが、ミーシェはにこにこ笑いながら、僕に抱きつきます。

そんな彼女の頬にキスをして、微笑み返しました。


「必要でしたら、シゥロとククリを教育係にしますか?」

「いえ、あの二人は君の護衛ですから。それに、必要であればロータル大尉がいますから」


トイズ・ロータル大尉はロータル侯爵家の婿養子であり、父上の補佐官であり、三大危険人物のハイエナでもあります。

あの方は参謀部経験もありますし、教育もスパルタで……ロータル大尉の二人の息子トーマスさんと、ネイズさんはそれはもう素晴らしい人格者で。

僕の兄的な存在でありますから、事情を説明してお願いすればきっと、素晴らしい教育手腕を三人で発揮して下さるはず。


「…………うん。取り敢えず、ロータル大尉に預けますか」

「それが良いと思うよ。俺からもトイズに一言、言っておく」

「お願いします、父上。教育さえしっかりしてればヒロイン……いえ、姫君の相手にしても大丈夫なはず」

「あぁ。そういう風にも使えるかもね」


父上はそのまま精霊に連絡を頼みます。

まぁ、近衛騎士団の団長子息が軍部の軍人に教育されるって少しアウトな気がしますけど……父上に逆らえる奴はいませんし、ロータル大尉は恐れられてますし、問題ないでしょう。

………うん。



「………ぇ……おれ……どうなるの……?」



ロイゼルはガクガクと震えていますが……あぁ、いつまでも簀巻きにしてるのは可哀想ですね。

これからは僕の手下なんですから。


「簡単ですよ、ロイゼル君」


漆黒の鎖を消しながら僕は微笑みます。

きっと、今の僕はとっっても邪悪な笑みを浮かべているはず。



「君は自らその身を差し出してしまったんです」



そう……君が関わったのは、この国で一番触れてはならないとされている一家。

怒らせてはならない、恐怖の対象。



「命を取られないだけ、マシだと思いませんとね?」



「……………………ヒェ……」





ロイゼル君。

まずはその漏らしグセを治しましょうか。











こうして、近衛騎士団の新団長にロイゼル君を調きょ……教育し直すという旨を伝えたら、それはもう快く(顔面蒼白でしたけど)受け入れて下さいまして。




こうして、騎士団長子息ロイゼル・マックスは軍部(正確には特殊部隊)の預かりになり………僕と父上とロータル大尉と兄さん達に再教育されることになりましたとさ。











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