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迷走記  作者: 法相
五章=覚悟=
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五章四幕=安らぎ=

ここしばらく死んでおりました(メンタル的に)。

人付き合いを見直していこうと思います。

「よく眠ってるわね」


 すぅすぅと安らかな寝息を立てて龍臥くんはあどけない表情を浮かべて寝ている。

 ……まぁ、怪我の度合いを考えれば寝て体力を回復することが最優先だということは本人もよくわかっているようだし、それはいいことだ。

 私が持ってきたお茶を飲んだ瞬間にうとうとしていたから、切り替えの速さは驚くものだったけど、それはそれで素晴らしいことだ。


「それにしても、ほんの短い時間にいろいろあったわね……」


 彼と出会ってからまだほんの一月も経っていない。いや、半月も経ってないのかしら? とにもかくにも出会ってからはあっという間というほどに時間が過ぎていった。

 ふと、もし彼がいなかったらと考える。

 彼がいなければ私は千代ちゃんにやられて蒼ちゃんをさらわれ、千代ちゃんも失っていたかもしれない。加えていうならば侵攻されるのが早まっていたかもしれない。


「ほんと、感謝ね」


 ぷに、と頬をつつく。

 小さく身をよじって私の指から逃れようとするその姿は、可愛かった。

 できることならこれ以上彼には傷ついて欲しくない、と身勝手に思う。けれども彼を戦いの場に駆り立てたのは私だ。

 キッカケは異次元の道化師が彼を連れてきてくれたことからだが、それもアイツの命をかけた行動によるもの。しかもご丁寧に龍臥くんに私たちのことも頼んでくれていて……

 でもどういう基準で連れてきたのが龍臥くんなのはわからない。彼が来てくれたことで助けられたことはあるけども、そこは疑問だ。


「……ごめんね、そしてありがとう」


 それはそれとして、今は亡き友(道化師)にお礼を言う。これがあいつの救いになるかどうかなんてわからないし、自己満足でしかないけど、それが人間というものだ。

 一通り考えて、納得して結論づける。


「……私も寝ようかな」


 とにもかくにも、なんだか疲れた。ここ最近は龍臥くんのことで気が気じゃなかったからその辺も相まってなかなか寝付けなかったし、疲れが想像以上に溜まっていたのだろう。

 何をしても起きる気配のなさそうな龍臥くんの布団に入り込み、抱きしめる。

 顔立ちや見た目は女の子に見えなくもないのに、その実こうやって抱きついてみたら筋肉がしっかりついていて力強くて、やはり男の子だと認識させてくれる。

 でも、それよりも今こうやって彼に抱きついていると、とても穏やかな気持ちになって安心する。

 とても暖かくて、心が落ち着く。

 これならしっかり眠れて、いい夢を見ることもできそうだ。

 そう考えてるうちに目蓋がだんだんと重くなってきて、意識もうつらうつらと微睡に落ち込んでいく。

 ……願わくば、こうやって安寧を過ごせる日々がずっと続けばいいのに。

 そこまで考えて、私は意識を手放した。


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