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転生からの・・・下剋上!!  作者: 緒方理
第三章

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79話 総大将

瑶甫が俺の家来になった。

いや、正確に言うと一時的に士官させて欲しいということらしかった。


瑶甫は来て早々に何やら竹中半兵衛と熱い議論を交わしたらしく、いつのまにか仲良くなっていた。……まぁ、この二人の気が合うのはなんとなく分かる気がするが……。



「先生、なぜ瑶甫を俺の下に……?」


瑶甫の仕官を頼まれた時に、俺が尋ねると先生は少し寂しそうにほほ笑んで気になることを言った。


「理由はもう少ししたら分かると思います。……今は話すことはできません」


先生は瑶甫を俺に仕官させることを信長にもすでに話しており、許可を得ていたそうだ。さすが先生、手際が良いな……。


結局、理由は分からないまま瑶甫はその日から俺に仕官し始めた。……そして瑶甫が俺の下に来た理由が分かったのはそれから3ヶ月後の事であった。



「安芸の毛利家から援軍要請が来た。今回の戦は藤吉郎を総大将とする!! 兵は二万だ。それで但馬国(たじまのくに)守護の山名祐豊(やまなすけとよ)を討ってこい!」


ある日、いつもの如く急に信長の呼び出しがかかったと思ったら、いつもの如く無茶振りな命令が下された。俺が総大将って…。


「毛利の爺に恩を売る良い機会だ! 励めよ、藤吉郎!!」


信長はいつも通りにニヤリと笑ってそう言った。


「は、はい!」


もちろん断れる訳も無いので、いつも通りとりあえず任務を受けてから色々考える。


毛利の爺というのは、おそらく毛利元就のことだろう。元々、安芸国(あきのくに)の国人領主の一人だったが戦国の世で急成長を遂げ、今や毛利家は中国地方の大勢力となっている。元就はもう70歳くらいになっているはずだが、今も現役で戦に出ているらしい。


「山名祐豊は但馬国(たじまのくに)の守護大名で今は因幡国(いなばのくに)も支配している。隣国まで急成長してきた毛利家に危機感を募らせて、戦を仕掛けたというところだろう。 しかし毛利家から織田家に援軍要請が来るとはどういう流れなんだろうな? 半兵衛?」


いつものように信長の命令を受けてから、半兵衛とその命令の背後にある情報を整理する。信長はいつも用件を端的に短く伝える傾向があるので、命令された任務の遂行のためには情報フォローが必要なのだ。


「それについては瑶甫殿が詳しいそうで……」


半兵衛がそう言って、瑶甫に目線を送った。


「え? そうなのか?」


俺が意外に思って瑶甫を見ると、瑶甫が固い表情で頷いた。


「実は……この為に私は藤吉郎殿の配下にしていただいたのです……」


「え? どういうこと?」


俺が身を乗り出して聞くと、瑶甫はゆっくりと話し始めた。


「山名祐豊は、毛利家に滅ぼされた出雲国(いずものくに)の尼子氏の系譜に連なる『尼子(あまご)勝久(かつひさ)』と言う者の出雲奪還の支援をしているのです」


「尼子勝久? 初めて聞く名だな」


俺が呟くと、瑶甫が頷いて答えた。


「はい。これまでは東福寺で僧をしておりましたので。還俗して尼子勝久と名乗りました」


「は? 東福寺? ……先生の下に居たってことか?」


俺が尋ねると、瑶甫がまた頷いて答えた。


「はい。そして、師僧は……昔、毛利家に仕えていたことがありました」


「あー、そうか。そういうことか……」


瑶甫の言葉を聞いて、俺は一気に理解した。


つまり、先生が仕えていた毛利元就に対して、弟子が敵対勢力になってしまったのだ。

弟子(勝久)の不始末を弟子(瑶甫)に始末させるってことか? いや、弟子()にさせるってことか?


先生の寂しげな笑みを思い出した。……ま、先生も色々と苦労してるんだろうなぁ。敢えて深くは突っ込まないことにしよう。


「と言うことは、織田家と毛利家を繋いだのは先生と言うことか」


俺の言葉に瑶甫は頷いた。


「俺が総大将に任命されたのも、その裏事情があったからか……」


「おそらくそうでしょうな。竺雲様から殿に進言したのか、殿がその事情を鑑みて決めたのかは分かりませぬが。……そしてそれともう一つ、理由があると思います」


半兵衛が言おうとしていることが俺にもすぐに分かった。と言うか、俺もずっと考えていたことなので、すぐにピンときたと言うべきか。


「生野銀山だろ」


半兵衛は「ええ」と答えて続けた。


「生野銀山には今以上に大きな鉱脈が眠っているとも聞きます。殿はここを押さえる事も期待されているでしょうな」


生野銀山については以前、俺も神屋源三から聞いたことがある。……かなり大きな鉱脈があるはずだと、源三も言っていた。


「よし。但馬国には小一郎と源三にも来てもらおう! すぐに美濃に伝馬を送ってくれ」


「かしこまりました」


俺の総大将としての初めての戦が始まろうとしていた――。






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