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転生からの・・・下剋上!!  作者: 緒方理
第二章

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40話 尾張統一と上洛

弘治2年9月、智が織田信長に輿入れした。


それと共に、俺は中々村から『なか(かーちゃん)』と『旭』を呼び寄せ、清洲で一緒に暮らすことにしたのだった。併せて、旭には智付きの侍女みたいな感じで、清洲城で働いてもらうことにもなった。


智はもちろん信長の館で暮らすことにはなるが、久しぶりに木下家の家族は清洲へ勢揃いしたのだった。


やっぱり家族が近くにいるのは嬉しい。かーちゃんも旭もとても喜んでくれた。この年は小一郎の元服や智の輿入れなど、木下家にとってはなかなかにおめでたい年であった。


そして、おめでたい事は続くもので、なんと次の年には智が男の子を出産したのだった。早っ!!ハネムーンベビーだな。ハネムーンなんて行ってないだろうけど。


と言う訳で、どうやら俺は織田家の長男の叔父になってしまったようだ。


・・・うーん。豊臣秀吉ってこんな感じだったけ? 

けど、なってしまったものはしかたないし。まあ、良しとしておく。


仕事の方はますます忙しくなってきていた。


引き続き、織田弾正忠家内の反逆の動きが散発的に出てきていたのと、尾張を取りまとめる為に信長が精力的に動いていたからだ。


当然小競り合いも頻繁に発生するので、俺達足軽部隊も軍備を増強し、いつでも出陣できる体制を構築していた。


織田弾正忠家内の反逆の動きはその後も中々治まらなかった。


まず信長の兄の織田信広が斎藤義龍と共謀して清洲城を簒奪しようとした事件が起こった。

これは事前にタレコミがあったため大事には至らずだったのだが、その後も織田信広は信長に数回に渡って戦を仕掛けてきたのだった。しかし、最終的には戦上手の弟には勝てるはずもなく、信広は降伏した。


その次は弟の織田信行が再び謀反を企てた。これには信長も許し難く思ったようで、遂に清洲城で信行を誅殺したのだ。弘治3年の晩秋のことだった。


信長が弟を殺したことは俺にとっては非常にショックだった。弟に自分の命をつけ狙われる気持ちを思うと心が痛んだが、最終的に殺してしまったこと事態は理解できなかった。…俺は甘いのだろうか…。俺がもし小一郎に命を狙われたら、小一郎を殺すことができるだろうか…。


しかし、これで織田弾正忠家内の反乱分子は一掃されることになった。


信長は家内統一に目処がつくと、休む間もなく尾張統一に向けて動きを強め、永禄2年には遂にもう一つの織田家…織田伊勢守家を破って、尾張統一を成し遂げた。


この時、織田信長は数えで26歳、俺は23歳になっていた。



・・・・・・・・



永禄2年1月上旬、清洲城の上段之間に信長の家臣が集められた。俺も参加するようにと事前に信長から声が掛かっていたので、又左衞門と一緒に上段之間へと入った。


「近々、足利公方に謁見するため京へ行く」


信長の言葉を聞き、家臣一同がどよめいた。ニヤリとしながら信長は淡々と事務連絡をする。


出発の日は明後日。随行する者は約80人(ちなみに俺の名も随行者の中に入っていた)。連絡が終わると、すぐに準備をするようにということで解散となった。



「京都に行くのはいいんだけど、身重のまつを置いていくのが心配だな…」


上段之間を出ると、同じく随行者として指名されていた又左衞門が言った。実は昨年、又左衞門は祝言を上げていた。相手は『まつ』と言う名の12歳の少女だった。12歳で結婚するのもびっくりだけど、すぐに妊娠したことにもびっくりだった。


ま、ウェイ系だからな…と、なんとか自分を納得させたのは記憶に新しい。


「うちのかーちゃんに任せていけばいいんじゃないか?」


俺の家と又左衞門の家は、隣同士だった。結婚した又左衞門が広い家に移りたいということで、丁度空いていたうちの隣に引っ越してきたのだった。


又左衞門の嫁が旭よりも年下だと知って、色々と思う所もあったのか、かーちゃんはまつを娘のようにかわいがっていた。かーちゃんに任せておけば安心だろ。


「良いのか? そうしてもらえると非常にありがたい!!」


又左衞門がありがたがっていたが、多分なにも言わなくたって、かーちゃんは面倒見るだろ。


「おう、言っておくよ」


今日の仕事はもう終わりなので、そのまま又左衞門と家路に着く。


歩きながら、京都か…と改めて思いを馳せる。


前の人生の時に修学旅行では行ったけど、その時の様子とは全然違うんだろうな。今の日本の首都だろ、一応。どんな町なのかちょっと楽しみだ。


ふと、思い出すことがあった。…そう言えば中々村でお世話になった先生が、確か京都の寺に行ったって智が言ってたよな? 挨拶だけでもできないかな…。


思いだすと、急に会いたくなってきた。戦国の世に放り出された俺に色々な知識を教えてくれた先生。先生がいなかったら、俺は今頃こんなところに居なかっただろう。


よし明日、先生がどこの寺に行ったのか、智に聞いてみよう。


京都へ行く楽しみがもう一つ増えた。



・・・・・・・・・



次の日、さっそく智に面会を申し込む。


姉でも一応殿の側室なので、ふらっと立ち寄っておしゃべりするなんてことは中々難しい。出来ないことは無いけどね。


けどまあ念のため、所定の手続きで面会の時間を貰う。


「聞いたわよ。あんたも京都に行くんでしょ?」


智のお付きとして旭の他にもう一人知らない女性がいたが、智は構わず昔と変わらずあけすけな口調で話す。そんな口調ではあるが、立派な着物を着た智は我が姉ながら美しく、黙ってさえいれば高貴な姫に見えた。


「はい。殿の随行をさせていただくことになりました」


念のため、敬語で話す。知らない人もいるし。


「…別にそんな話し方しなくていいわよ…気持ち悪い」


智があっさり言う。


「え?…でも」


ちらっと侍女の方を見る。


「大丈夫よ。信頼できる子だから、ここでどんなふうに話したって、別に外には漏れないから」


侍女はペコリと頭を下げる。旭もウンウンと頷いている。


「そっか。じゃあ、普通に話させてもらうけど…。実は先生が京都のどこの寺に行ったのか、ねーちゃんに聞きたくて来たんだ」


智がびっくりした顔をする。


「あんた、先生が京都に行ったことちゃんと覚えてたんだ」


「当たり前だろ。いつか挨拶に行かないとなぁって思ってたんだ」


まあ、思い出したのはつい昨日なんだけどね。それは言わない。


「そう…。でも困ったわね」


智が考え込む。どうしたんだろう?


「実は、先生は具体的にどこの寺に行くかは話してくれなかったのよ。その後しばらく、京都から来た旅の人とか色々な人に聞いてみたんだけど、先生の名前は京都の寺では聞いたことが無いって言われたのよね」


「え?じゃあ、先生がどこに行ったか分からないんだ」


「そうよ。京都に居るかどうかも怪しいかもね」


「そうか…。じゃあ、居ないかもしれないけど、京都に着いたら直接探してみるしかないかぁ。探す時間があればいいんだけど…」


ちょっとがっかりして溜息をつく。俺のそんな様子を見て、智は少し考えてから口を開いた。


「先に京都に人を送り込んで探しておいてもらうわ。あんたが京都に着いたら報告を入れるようにするから。居るか居ないかくらいはわかるでしょ」


おお!お姉様!!神!!


「よろしくお願いいたします」


この時ばかりは智に深々と頭を下げた。



・・・京都で先生に会えるといいなぁ・・・。







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