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転生からの・・・下剋上!!  作者: 緒方理
第二章

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22話 足軽として

こうして、俺は『織田弾正忠家(信長の家)』で働くことになった。

あんなに迷っていたのに、あっさり決めてしまった。だって信長様が強引なんだもん。


「よう!藤吉郎。一緒に城に行こうぜ」


あの岩竜丸の事件から早4日経っていた。昨日から那古野城下の長屋に住み始めた俺を一若が迎えに来た。


専任の足軽とはいっても戦が無い時は城の警備をしたり、訓練をしたり、まあ毎日お城に行かなければならないらしい。うん。サラリーマンみたいだな。


城に着いたら、一若と別れて持ち場へ行く。


「交代の時間です」


前のシフトに入っている同僚の足軽に声を掛ける。


「おお。んじゃあ、よろしくな」


そのまま持ち場を交代しようとしたとき、同僚が急に話を振ってきた。


「あ、そうだ。2日後に戦に出る話は聞いたか?」

「え?」


急な話に思わず固まる。…戦?


「あー、まだ聞いてなかったか。斯波の殿様の仇討ちをするんだと。この那古野城と東の末森城から兵を出して清洲へ攻めるらしいぞ。お前も準備しておけよ」

「は、はい」


・・・ついにきちゃった。戦だ。


尾張守護『斯波義統』が尾張守護代『織田信友』に弑逆された話は、すでに那古野城内では周知の事実であった。


それに加えて、城内には俺が連れてきた岩竜丸の他にも、川狩りの時の襲撃で生き残った斯波家の家臣達が何人も那古野城に逃れてきているとのことだ。


当然のごとく、城内では主君殺しの『織田信友』を討つべし!のような空気感が醸成されつつはあったが、こんな急に戦になるとは思わなかった。


持ち場の見張りをしながら、考えを巡らす。俺は戦力になるのだろうか?松下屋敷で多少武芸は齧ったが、実戦で役立つのであろうか。


弥右衛門(とーちゃん)が戦から帰ってきた時に、大けがをしていたことを思い出す。ぶるっと悪寒が走った。・・・あんまり危なそうな所には極力近付かないようにしよう。と心に決める。


「そなたは!・・・その節は世話になったな!」


突然、話しかけられビクッとする。声のした方を見ると、一色川で俺達に岩竜丸を引き渡した男が立っていた。


「あ、あなたは!ご無事だったのですね!」


男は死んだものと思っていたので、驚きでつい叫んでしまった。


「うむ!あの後、追手の者たちもそれほどしつこくは来なくてな。お陰で、無事にあの修羅場を潜り抜けられたわ!」

「そうですか、それは良かった・・・」


小竹にも知らせてやろう。


「改めてではあるが、私は斯波家家臣の太田又助と申す。若をしかと那古野城まで届けていただいたことお礼申し上げる」

「えーと、木下藤吉郎と申します…そんなお礼なんて、当然のことをしたまでです…」


急に改まってお礼を言われたので、アタフタする。


「それにしても、そなたは那古野城の武士であったのだな。幸運というか、なんというか」

「あ、いえいえ。むしろ、岩竜丸様をお連れしたので、ここで働くことになったんです」


なんだか誤解をしているようなので、簡単に説明をしておく。


「ほほう。そういうことだったか。まあ何にしても、2日後の戦には私も殿の仇討ちの為、出陣しようと思っておる故、よろしく頼む」


そう言って、太田さんは立ち去って行った。岩竜丸の言っていた太田ってやっぱりあの人だったんだな。



その後、今日のシフトが終わってから一若の職場を訪ねる。一若の姿を見つけて、ちょいちょいと手招きをする。


「どうしたんだ?」


一若が俺に気付いてこっちへ来た。


「えーっと、実は今度戦があるらしくてさ。準備しておけって言われたんだけど、鎧とか武器とかってどうすればいいのかね?」

「お前…今さら、そんな質問するかよ…。まったくお前は賢いんだかアホなんだかわからんな」

「はは…すまん」


いやさ。足軽って言われたけど、自分が戦に行くなんて実感が全く無かったから、具体的に考えたことなかったんだよな。マジで。


「とりあえず、御借具足というものがあってな。一通りの装備は貸してもらえるけど、まあそんなに良いモノではないから防御力はあんまり期待できないんだよな。もし金があるなら、自分で買ったほうがいいと思うが…おまえ金持ってんのか?」

「うーん。ある程度は貯めてるけど」

「んじゃ、一旦城下の具足屋にでも行って見てこいよ。俺はまだ仕事だから一緒に行けないけど、長屋の近くだから一人で行けるだろ。…おっと呼ばれてる、じゃあな」


そう言って一若はまた職場に戻っていった。ああん、一若のいけず。しゃーない、一人で行ってみるか。


一旦、城下の長屋に戻り、銭の入った袋を持ちだす。行商で儲けた金は智と二人で分けた後、特に使う予定もなかったので箪笥預金していた。その中の一部を持ちだす。具足っていくらくらいで買えるんだろ?まあ、足りなければまた取りにくればいいか。


さてと、具足屋は・・・っと。一若に教えてもらった方向に歩き始める。しばらく長屋が続く。ここら一帯は信長様に仕える武士達の住居が並んでいるのだ。社宅の団地だな。


特に急いでもいないので、周りを見ながらぶらぶらと歩く。前方から少女が歩いてきた。女の子を見ると旭を思い出す。あー旭とまた離れちゃったなぁ、寂しいなあ…なんて感傷に浸りながら、歩いていたら、その女の子と目があった。・・・あれ?


「藤吉郎様!?」


先に女の子が驚いたように声を掛けてきた。・・・前から歩いてきたのは『寧々』だった。


「寧々殿?どうしてこんなところに・・・」


と言いかけてふと思い出す。そう言えば寧々の家は織田家の弓衆って言ってたっけ。『織田弾正忠家(信長の家)』の弓衆だったってことか。


「私の家が…ここなんです」


と、丁度二人が立ち止った場所にあった家を寧々が指さした。俺の長屋よりのずいぶん立派だ…って当たり前か。弓衆だもんな。


「藤吉郎様はどうしてここに居らっしゃるのですか?」

「あー実は・・・」


数日前から信長様の足軽衆として城で働くことになったと簡単に事情を説明する。


「・・・と言う訳で、いまから具足屋に行ってみようと思いまして。こちらの方にあると聞いたので探していたのです」

「まぁ、そうだったのですか。もしよろしければご案内しましょうか?」

「え…でも」

「ふふ。どうぞご遠慮なさらず。この近くなのですぐにご案内できますから」

「…では、お願いしてもいいですか?」


俺はありがたく寧々の言葉に甘えることにした。


「それにしても驚きました。あれからまだ数日しかたっていないのに、藤吉郎様が上総介様のご家来になっていたなんて」

「いや。自分でも驚いています」

「…きっとご縁があったのですね」


寧々は美しい黒髪をゆらし、まばゆい笑顔で笑う。なんて綺麗な子なんだろう…改めて思う。


しかし、多分この子は旭より年下だよな?むむむ…俺はロリ属性はなかったはず…。いや、これは妹を愛でる気持ちと同じ事だよな、そうだよな…と、なぜか自分に言い訳する。


「着きましたよ。ここです」


寧々に見とれているうちに目的の場所へ着いてしまった。本当にすぐ近くだったんだ。

しかも中々の店構え…ちょっと一見さんが入るのには躊躇する感じだ。


「ごめんください」


寧々が慣れた感じで店の中へ入っていく。おお…まだ心の準備が出来てないんですけど…。

奥から旦那らしきおっさんが出てくる。


「これはこれは。浅野様の…。本日はどういったご用件でしょうか」


寧々は店の主人と顔見知りの様だ。


「こちらの方に具足を見立てていただきたいのですが」

「わかりました…ではどうぞこちらへ」


おお、なんか話がサクサクと進んでいく。ありがたいような…不安なような…




・・・お金もっと持ってくれば良かったかな?






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