和解の話。
ガチャッ
俺が学校から帰ると、夜羽が駆け寄ってきた。
そして、
「ゴメン!」「ごめんなさい!」
顔を合わせるなり、同じタイミングで二人が互いに謝った。
「え? なんで夜羽が謝るんだ?」「え? なんでシュンが謝る?」
そしてまたも同じタイミングで二人が互いに尋ねる。
俺も夜羽も頭の上には疑問符が浮かんでいる。
「…………あ、ただいま」「…………あ、おかえり」
思い出したかのように言う俺と夜羽。
タイミングはまたも同じ。
「くっ……」「ぷっ……」
「「はははははははっ!」」
なんとなくおかしくなり、二人揃って笑いあう。
もちろんまったく同じタイミング。
一通り二人で笑いあった後、改めて俺が夜羽に尋ねた。
「それで? なんで急に謝ったりしたんだ?」
それを聞いた夜羽は逆に尋ねる。
「む、それを言うならシュンの方。なんで謝るの?」
「んー? いや、朝もまだ気まずい思いをしてたからさ、どうしたらいいか友達に相談したらさ、気まずい思いをさせるのは男が悪いって。だから謝るべきだと」
「ん……よくわからないけど、シュンは悪くない。ワタシが勝手に恥ずかしがって勝手に気まずくなったの。それなのに気を使ってくれたシュンに朝、ヒドイ態度とった。だから謝るの」
「そか、俺は気にして無いよ。それに俺もちゃんと話し機会はあったのに恥ずかしがってちゃんと説明しなかった。だからゴメン」
「ん、いい。許す」
「ありがと」
「ん、こっちも、ありがとう」
「そういえば、トモダチって誰のこと? ……イイダマナミ?」
しばらくした後、夜羽が思い出したかのように尋ねてきた。
「違う。学校の委員長」
てか、また飯田か。
東城さんもだけど、俺の交友関係で最初に浮かぶのって皆あいつなのか……?
そんな事を考えている俺は、
「……そう……よかった」
そう呟きホッとしたように口元を緩める夜羽に気づいてはいなかった。
「さて、何か今日は疲れた……飯作んの面倒くさい……」
「む、おなか減った」
俺の独り言を聞きつけた夜羽は間髪入れずに言う。
「わかってるって……今日は、外食にすっかな……?」
「ガイショク?」
「ああ、外に出掛けて、どこかのお店でお金払って飯を作ってもらう」
「ん、知ってる。買い物したものをその場で食べるって事」
その答えに少し考え、
「……合ってる、のか。うん、とりあえずそうしよう」
意味合い的には合っていたのでそのままスルーして、話を進めた。
「わかった。ガイショク」
「そうと決まれば、さっさと行くか」
「ん、いく」
そして俺と夜羽は支度を整え、家を出る。




