合流の話。
やっぱりなんかハーレムチックになってきた……。なぜ?
「んー。おいしかった。ありがと? 瞬君」
「あー。気にすんな」
……しかし、ジュースを一本奢ってあげただけでそこまで機嫌がよくなるのか。
それから、しばらくの間その場で世間話などをして過ごした。
瞬は、ふと時計を見ると、夜羽とわかれてから一時間と少しがたった所であった。
瞬がいる場所は夜羽との合流場所からほとんど離れていない。
夜羽はカラスだけあって体内時計はしっかりしているので、正直、待ち合わせ時間を過ぎるとは考えていなかった。
「(……となると、やっぱり……)」
「? 瞬君? どしたの?」
時計を見てから急に黙りだした瞬に、愛美は尋ねた。
「ん、いや? 待ち合わせしてたんだけど、少し遅いなと……」
「!? ま、待ち合わせって……誰と?」
「あー……飯田の知らないやつ」
どう説明すればいいのかわからず、どうしても、曖昧な返答になってしまう。
「え!? それってどういう知り合い!?」
「あー…………」
「たぶんこの辺だと思うんだけど……? どうかな? 夜羽ちゃん?」
「ん、ここで合ってる。ありがとう。ホタル」
瞬が、どうやって話をそらそうかを必死になって考えていると、二つの聞いたことのある声が耳に入ってきた。
「いた」
「え? どこ? ……ってあれ!?」
「あれ!? 蛍ちゃん!? ……と?」
なにやらとても面倒くさい状況になってきた気がします。
状況を少し整理すると、夜羽はやはり、瞬の予感が的中し、一人で行動してしばらくしてから、自分がどこにいるのかわからなくなったようで、そこにたまたま居合わせた彼女がここまで案内してくれたとの事。
「まずは、連れて来てくれてありがとう。高嶺さん」
「あ、い、いいえ! 私も楽しかったですから」
「それで、瞬君? この子はいったい誰?」
軽い挨拶を交わしていると、愛美が割り込んできた。
「ああ、そうだな。とりあえず各紹介から入ろうか」
「まずはこいつ。えーっと、最近うちで世話してる。名前は夜羽」
「ええ!? 世話してるって、一緒に住んでるって事!?」
「ど、どどどどど同棲ですかぁ!?」
ツッコミどころは満載だが、面倒くさいので無視することにする。
「で、夜羽。彼女はさっきまで一緒にいたからわかると思うけど、高嶺蛍さん。これは俺のクラスメイトの飯田愛美」
「ちょっ! これって! ……まあ、いいや。えーと私は飯田愛美。よろしくね? 夜羽ちゃん?」
「……よろしく」
と、一通り紹介も終わったところで、蛍が瞬に尋ねた。
「えっと、世話してるって、その、どういう状況とかって聞いても大丈夫ですか……?」
「あ、それ私も気になる」
「あー、夜羽は親戚の所の娘さんで、ある事情で少しの間うちで預かってほしいと」
「ある事情、ですか?」「れ? 瞬君、親戚って」
二人同時に個人の疑問を投げかけてきたが、瞬も余計なことは話さない。
「高嶺さん。ある事情については聞かないでくれ。その家の問題だ。後、飯田。お前の思ったとおり、俺に親戚はいない。でもそれは血のつながった親戚はいないってだけで、血のつながらない遠い親戚ならいる、ようだ」
「そう、ですよね? すみません」
「ふーん」
どうやら、各自納得はしてくれたようだ。
「それで? 夜羽ちゃんはいくつなの?」
「ああ、それは「十五」…………だそうだ」
瞬は、いつ自分の設定を考えたのか疑問に思い、チラリと夜羽のほうを見ると、今は聞くなと言わんばかりに睨み返されてしまった。
まあ、特に変な事を言っている訳でもないので、後で聞くことにする。
「っと、そろそろ遅くなるし、帰るぞ。傷にも響く」
「「ええぇ!? 夜羽ちゃん、怪我してるの(んですか)!?」
「ああ、少しな。大した事はない。……理由は、聞かないでくれよ」
と、深刻な顔を作り、告げると、二人とも大人しく引き下がってくれた。……よし。
「……それじゃ、私帰るね? 瞬君。蛍ちゃん。夜羽ちゃん。また」
「んー」
「はい。また今度」
「…………」
「じゃあ、俺たちも「あ! あの! まだ少し話したいことが……」……いいけど?」
……あれ? 鳥さんなんか空気に……。




