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黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
夏休みで一緒。
23/144

合流の話。

 やっぱりなんかハーレムチックになってきた……。なぜ?


「んー。おいしかった。ありがと? 瞬君」

「あー。気にすんな」

 ……しかし、ジュースを一本奢ってあげただけでそこまで機嫌がよくなるのか。



 それから、しばらくの間その場で世間話などをして過ごした。

 瞬は、ふと時計を見ると、夜羽とわかれてから一時間と少しがたった所であった。


 瞬がいる場所は夜羽との合流場所からほとんど離れていない。

 夜羽はカラスだけあって体内時計はしっかりしているので、正直、待ち合わせ時間を過ぎるとは考えていなかった。


「(……となると、やっぱり……)」

「? 瞬君? どしたの?」


 時計を見てから急に黙りだした瞬に、愛美は尋ねた。

「ん、いや? 待ち合わせしてたんだけど、少し遅いなと……」

「!? ま、待ち合わせって……誰と?」

「あー……飯田の知らないやつ」

 どう説明すればいいのかわからず、どうしても、曖昧な返答になってしまう。


「え!? それってどういう知り合い!?」

「あー…………」



「たぶんこの辺だと思うんだけど……? どうかな? 夜羽ちゃん?」

「ん、ここで合ってる。ありがとう。ホタル」


 瞬が、どうやって話をそらそうかを必死になって考えていると、二つの聞いたことのある声が耳に入ってきた。

「いた」

「え? どこ? ……ってあれ!?」

「あれ!? 蛍ちゃん!? ……と?」

 なにやらとても面倒くさい状況になってきた気がします。





 状況を少し整理すると、夜羽はやはり、瞬の予感が的中し、一人で行動してしばらくしてから、自分がどこにいるのかわからなくなったようで、そこにたまたま居合わせた彼女がここまで案内してくれたとの事。


「まずは、連れて来てくれてありがとう。高嶺さん」

「あ、い、いいえ! 私も楽しかったですから」


「それで、瞬君? この子はいったい誰?」


 軽い挨拶を交わしていると、愛美が割り込んできた。

「ああ、そうだな。とりあえず各紹介から入ろうか」

「まずはこいつ。えーっと、最近うちで世話してる。名前は夜羽」

「ええ!? 世話してるって、一緒に住んでるって事!?」

「ど、どどどどど同棲ですかぁ!?」


 ツッコミどころは満載だが、面倒くさいので無視することにする。


「で、夜羽。彼女はさっきまで一緒にいたからわかると思うけど、高嶺蛍さん。これは俺のクラスメイトの飯田愛美」


「ちょっ! これって! ……まあ、いいや。えーと私は飯田愛美。よろしくね? 夜羽ちゃん?」

「……よろしく」


 と、一通り紹介も終わったところで、蛍が瞬に尋ねた。

「えっと、世話してるって、その、どういう状況とかって聞いても大丈夫ですか……?」

「あ、それ私も気になる」


「あー、夜羽は親戚の所の娘さんで、ある事情で少しの間うちで預かってほしいと」


「ある事情、ですか?」「れ? 瞬君、親戚って」


 二人同時に個人の疑問を投げかけてきたが、瞬も余計なことは話さない。


「高嶺さん。ある事情については聞かないでくれ。その家の問題だ。後、飯田。お前の思ったとおり、俺に親戚はいない。でもそれは血のつながった親戚はいないってだけで、血のつながらない遠い親戚ならいる、ようだ」

「そう、ですよね? すみません」

「ふーん」


 どうやら、各自納得はしてくれたようだ。

「それで? 夜羽ちゃんはいくつなの?」


「ああ、それは「十五」…………だそうだ」

 瞬は、いつ自分の設定を考えたのか疑問に思い、チラリと夜羽のほうを見ると、今は聞くなと言わんばかりに睨み返されてしまった。


 まあ、特に変な事を言っている訳でもないので、後で聞くことにする。

「っと、そろそろ遅くなるし、帰るぞ。傷にも響く」


「「ええぇ!? 夜羽ちゃん、怪我してるの(んですか)!?」


「ああ、少しな。大した事はない。……理由は、聞かないでくれよ」


 と、深刻な顔を作り、告げると、二人とも大人しく引き下がってくれた。……よし。

「……それじゃ、私帰るね? 瞬君。蛍ちゃん。夜羽ちゃん。また」

「んー」


「はい。また今度」


「…………」



「じゃあ、俺たちも「あ! あの! まだ少し話したいことが……」……いいけど?」



 ……あれ? 鳥さんなんか空気に……。

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