表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒い鳥さんと一緒。  作者: 蛇真谷 駿一
修学旅行前で一緒。
106/144

少女に対する照れと、彼女に対する照れと、の話

こちらが先にできたんで、投稿します。


遅くなりました。


「おお……飯田さんが勉強しとる……」


 漫画片手に藤森が戻ってきた。


「うん! 瞬君に教えてもらってるから!」


 確認したが、一応今日も飯田の家で勉強をしていいらしい。

 ……昨日は正直やりすぎたから、今日は加減でもしてやるか。


 そんなことを考えていると、藤森が半笑い、かつ茶化す口調で言ってきた。


「いやー、それにしても……休みごとに一緒に勉強、帰ってもお家で一緒に勉強。仲良しこよしだのー。にやにや」


「ふぁっ!! ふ、ふじもりくん!?」

「…………お前にその情報を教えた覚えが無いとか、口で『にやにや』って言うなとか、色々言いたい事があるけど、とりあえず、辞書を貸してくれないか?」


「はい? いや、持って無いけど、いきなり何なんだ?」



「いや、言い方が腹立ったからそれで叩こうかと思って」


「ひどっ!! 暴力反対! いや、せめて武器反対!! 学生の身で使用していい武器は『ハリセン』に限られてるんだぞ!?」


 何でだよ。


「まあいいや。ハリセンならいいんだな? おい田中、ハリセン持ってない? 厚めの型紙で出来たやつ」


「わ、わざわざ厚めの紙を指定しなくても……ま、まあ、ハリセンで叩くぐらいなら、いくら固くてもたかが知れてるが」


 後ろで呟く藤森の声を聞きながら、田中に商品を求めた。


「ふぅ、喉渇いた……あ、神尾君。ハリセンですか? ありますね。じゃあ、この一番固いやつでいいですね?」

「あ、ああ」


 俺から頼んどいてなんだけど、田中……どうして鞄からハリセンがスッと出てくるんだ……?

 ……いや、深くは突っ込まないでおくか。


「ありがとな、じゃあ俺はもう行く」


 俺は田中に礼を言って、振り返り、

 ちゃりーん。

 不運にも(・・・・)そこで俺のポケットから百円が零れ落ちる。


「あ、神尾君、お金落としたよ?」

「あー、拾うの面倒くさい。やるわ」


「いいんです? ちょうど飲み物がほしかったとこだったんですよ」

「そりゃよかった」




 元の場所に戻ると、律儀にも藤森はちゃんと待ってた。


「神尾、田中ぽんの支払いが上手いのか下手なのかわからん」


「誰だよ田中ぽんって。……まあ、今はそれよりこれだろ」

「よし来い!」


 ハリセンを手の平で叩く俺に、潔く言い切る藤森。


 俺は無言で構えを取る。

「…………」



「が、牙突だと!? 何故ハリセンと言う叩く(斬る)道具を持ちながら、突きの体勢を!?」


「こっちの方が痛いだろ」

「ことごとくひでぇ!」


 喚く藤森を無視して、攻撃に移ろうとしたが、意外な人物から意外なストップがかかった。



「わ、わ、わ! 瞬君かっこいー!!」

「は、え……?」


「確か何かのマンガの技だよね? すごいね瞬君、様になってる!」

「な、何言って……」


 飯田の目を見ると、悪気やからかいなどは一切感じられず、純粋にほめているらしい…………それだけにたちが悪い……。

 なんだこの妙な恥ずかしさ。


 俺の困惑をよそに、飯田はさらに追い打ちをかける。



「えへへー、私は瞬君に会えて良かったよ。一緒にいて楽しいし、勉強も教えてもらえるし、かっこいい姿も見れたし。……こう言ったらあれだけど、シアンに感謝だね!」


 …………なんだこれ。

 満面の笑みで何を言っとるんだ、こいつは……てか、どのタイミングで俺はこんなに飯田に懐かれた……?


 顔が熱い。


 そして気がついたら周りが静まり返ってた。

 な、なんだ貴様ら、なぜそんな妙な目線を送ってくる!?



「え、えーっと……」

「ん? 瞬君どうしたの?」


「い、いや……話が逸れた。勉強だ勉強」

「あ、そうだね! ゴメンね?」


「いや、謝るな。悪いのは藤森だから」

「うん、そうだったね」


 …………周りの多数の人間からため息と、小さく「……逃げた」と言う単語が聞こえてきたが、面倒くさいからスルーだ。

 藤森が「俺に対するフォローはぁー!?」と叫んでいるが、それもうるさいからスルーだ。





 結局、学校が終わるまで、妙な目線はやむ事がなかった……。


「た、ただいまー……」


 疲れ気味に言うと、


「………………おかえり」

 少し考え込んでいるような夜羽の返事が聞こえた。


「……どうした? 夜羽」

「ん……? ……んーん、大丈夫」


 と、明らかに大丈夫じゃなさそうに言う。

 表情は、なんと言うか、困惑気味だった。



「……そうか。なら、大丈夫じゃなくなったら、必ず、俺に言ってくれな?」



「…………ん……シュン?」

「どした?」



「前に、ワタシと一緒にいたいって言ったの、まだ同じ?」



「ああ、当たり前だろ。変わらない」



「……ん。……ワタシもシュンと一緒にいたい」


 夜羽はそう言って、俺をじっと見つめる。



「おお、なら問題ないだろ? ……よし、じゃあとりあえず今日も勉「待って」……お?」




「一緒にいたい。まだ……ワタシのそばに、いて……?」



 ……………………。


「……お、おお……!?」


 な、なんだ、どうした!? なんだそのセリフは!


 学校に引き続きまた顔が熱くなったぞ……。

 最近は恥ずかしくなる様なことを言うのが流行なのか……!?


「……? シュン?」



 動揺する俺を見て、コテンと首をかしげる夜羽。



 ど、どうすればいいんだろうか……。

さてさて、瞬君どうするのやら。


お楽しみに……?





あ、ついでに、あとがき小話を一つ




 ――会長と副会長の会話。


「……飯田さん、いつもと違ってさらっとすごいこと言ったなぁ」


「あー……まなちゃん、何か感動するようなことあると、無自覚にああいうことやらかすみたい。あたしも似たようなこと言われたし。……後、まなちゃんの中学の友達から聞いたんだけど、昔、まなちゃんにああいうこと言われた男子が、別高校に行って、どんなに人気者になっても、未だにまなちゃんのことが忘れられないって言ってた」


「なにそれこわい。どんな魅了だよ」


「と言っても、結局告白する勇気が無くて諦めたヘタレらしいけど」



「ふーん……でも、今はそんなことより……見たか?」


「ええ、見たに決まってるわ」




「「ついに神尾(君)が飯田さん(まなちゃん)を意識しだした」」


「顔、赤かったな」

「誤魔化して逃げたわね」


「面白くなってきたわい」

「言っちゃ悪いけど、そうね」




「俺たち」「あたしたち」

「「『見守る会』の楽しみが増えた」」



「みんなに心して見守るように言っとけよ」

「もちろん……すでに言ってあるわ」



続く?



……感想お待ちしております!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ